第41話 『食卓を囲む/食卓に囲う』/お題「ごはん杖」

 この子達にお腹いっぱい食べさせて、健康的に大きくするのが私の仕事。

「給食や外食よりも、よそのお家の料理よりも、お母さんのごはんが一番おいしい」そう言わせたい。


 主人と出逢った時、恋人になりたいと思って、料理教室に通い始めた。

「今時花嫁修行なんて」と友達は笑ったけど、「家庭的な子がタイプ」と公言する彼の胃袋を掴むため。見事成功して、お嫁さんになれた。

「今時男も料理すべきだよ」と言っていたあの子は、いまだに独身。


 家族の健康管理は私に任せて。ごはんで家族を支えたい。歩き疲れた時に杖をつくと、楽に歩けるようになるでしょ。そんな存在に。

……なのに、どうして?

娘は、杖をつかないと歩けないようになってしまった。

私が作ったごはんを見るだけで、吐き気を催すんですって。

冗談でしょ。


 食卓につかせるために腕を掴んだら、びっくりするほど骨張っていて、今にも折れてしまいそうだ。


「お母さん…杖ってね、昔は罪人を打つ為の刑具だったんですって」

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