第39話 『投稿マニア』/親切な暗殺

 俺にはちっとも面白いと思えないWeb作家がいる。

ペンネームは『筆まめ豆太』。

その名の通り筆まめで、毎日投稿している。

フォロワーも三桁を優に超えていて、やけに抒情的な描写や小難しい言い回しを好んでいるらしく、「天才肌」とか「高尚な文章だ」と信者達から持ち上げられている。

普段使いの言葉で綴りたい俺とは肌が合わない。


 豆太は執筆のみならず、コミュニケーションもまめみたいだ。

フォロワーがやっと二桁に届いた俺の弱小垢の投稿を読みに来ては、「参考になります」だの「勉強になりました」だのコメントを残していく。

内容には一切触れていないので、本当に読んでいるのか怪しいところだけど。


 豆太が俺の記事に「スキ」を付けるので気になるのか、豆太の信者達まで俺の投稿を読みに来て、コメントを残していくようになった。


 〔筆まめ豆太先生の作品のオマージュですか?〕

ここには、読解力の無い読者しかいないのか?

親切な暗殺だと思って、アカウントを消去した。

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