第43話 『戦国時代の児童、宗十』/戦国時代の自動操縦

 戦国時代の児童、宗十に思いを馳せる。

小勢力な武家に生まれた宗十は、大名の家へ人質に出されたらしい。


「家康だって人質だったんでしょ?」

「人質にも様々なパターンがあって、家臣の子を人質にするのは英才教育という側面もあったからな」

「敵対勢力の家へ差し出されることもあったの?」

「そう。人生を自動操縦されているようなものさ」

「自分の人生を自分で選択できる現代は、幸せなんだね」


 目の前の児童に、逆に教えられた気がした。

自分で選択……か。俺はできていないかもしれない。

 

 幼い頃から歴史の本を読み漁っていた俺は、歴史学者に憧れていたが、親が薦める教育学部へ進学した。

ならばせめて、中学や高校の社会科教員になろうと思っていたのだが……

なぜかこうして、保険で採用試験を受けていた自治体で、小学校の教員になっている。


 人生を自分の意志で、手動操縦しなきゃ。

書き出したはいいが止まっていた、宗十を主人公にした歴史小説を完成させることから始めよう。

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