第33話 『チキンの終宴』/あるべき成仏宴

「精肉売り場に花を手向ける珍妙な動画が回ってきたんだけど……」

「あぁ、ヴィーガン活動家な」

「あれウケ狙いでやってんじゃないの?」

「大マジらしいぞ」

「一周回ってウケる」

 フライドチキンを貪り食いながら、肉抜き食生活を思い描く。

「一日でギブ」


「綺麗に身ぐるみ剥がすよな。追いはぎ?」

「命をいただくなら、骨の髄までしゃぶらな。ヴィーガン先生に怒られる」

「そもそもヴィーガン先生は、フライドチキン店前で抗議活動」

「ただの過激派による迷惑行為」

 満腹になり、ゲフッとご挨拶。


「うちの実家さ、全部食べ終わったらざっと洗ってから煮るんだ」

「ごちゃ混ぜで?」

「あぁ、寸胴にぶち込んで鶏ガラスープにする」

「人の食ったもんと一緒は嫌かも」

「鍋、直箸で取らない?」

「家族やごく親しい間柄なら」

「それと似た感覚」

「ちょい違くない?」

 肉愛好家同士でも多少、価値観はイナメナイ~だろう。


「でも、精肉売り場で花手向けるよりは、あるべき成仏宴な感じするな」

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