第15話 半笑いのポッキーゲーム

 大人数で群れるのは苦手。けど、目当ての人が参加するから来た。

サークルの「交流会」という皮を被った「合コン」。

新歓コンパの時は、まだ余所行きの優しい先輩面した、羊の皮を被った狼達だった。

でも今日は、途方もなく長い夏休み前ということもあり、理性が外れている。


 副代表の尚弥は、そんな雰囲気作りに加担している。

「ポッキーゲームをしよう」と赤い箱を掲げた。

秋田から上京してきた新入生女子は、陽キャの集合体特有のノリに怯えている。


「プルプル震えて、子犬みたい。清楚系、俺タイプ」

「嫌がってるだろ。俺が相手してやるよ」

「おいおい、ヒーロー気取りか。モテようとしやがって」

 呆れたように笑った。


 俺はポッキーを口に咥え、尚弥を待ち構えた。

参加したのは尚弥のストッパー役を買って出るためだった。

でも……。


「遠慮なく来いよ」

半笑いの中に、本心が混じっていること……きっと一生知られることはないんだろうな。

尚弥の顔が近づくにつれ、心臓が波打った。

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