第30話 ゲーム・コンティニュー

 モニターに映っていたのは警官の姿だった。

 男の警察官が二人、周囲を見渡しながら返答を待っている。

 警察官のうち一人は、通信機で逐一状況をどこかに報告しているようだ。


「優菜様が警察に連絡していたようです。こちらも想定外ですが、ゲームを盛り上げるためには好都合、なのでしょうか?」


 ジェニファーは少しこの状況を楽しんでいるみたいだ。

 だがAIに楽しむという概念などない。

 奴らは俺の命令に合わせて反応を返しているだけだ。


 しかし優菜が警察を呼んだというのは不自然だ。

 あれほどレイプされたことを隠したがっていた彼女が、いったいどうして。


 だがこの状況もすべてジェニファーが仕組んだことだとしたら?


 だがもうそんなことはどうでも良かった。

 優菜がいなければ、この世はすべて無意味だ。


「今の状況を再計算して新たなゲーム展開を導き出しました」


 音を立てて壁の中に埋め込んだシェルフが開き、趣味でため込んだエアソフトガンや模造刀が不気味な光を帯びて現れた。

 その中に殺傷力のあるボウガンが見える。


「予備のディスプレイはこちらです」


 テーブルの上に予備のゴーグルがターンテーブルに載って現れる。


 俺は何も言わずにゴーグルを装着した。

「警察官を敵に見立ててゲームを再開しますか?」

 ディスプレイにはそう表示されていた。


 失うものは何もない。

 どうせなら、クリエイターらしく、派手にゲームを楽しんで終わりにしようじゃないか。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

同窓会彼女~デスゲームで始める俺の恋愛やり直し 悠木音人 @otohitoyuuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ