閑話 千条明美のトラウマ パート2

「では千条せんじょう明美あけみ様そちらのソファーにおかけください。」


 私は医院長室だと思われる豪華な部屋へ案内されこれまた豪華なソファーに座らされた。白衣を着た男性はその体面に座る形で目の前に書類と一緒に座った。


「始めまして、私はこの鳳城総合病院医院長の鳳城ほうじょう明彦あきひこと言います。よろしくお願いします。」


 そう言うと鳳城先生は名刺を渡してきた。


「あ、ありがとうございます。」

「ではまず、あなたの症状とその症状に至った経緯であるゲーム内容を教えてもらってもよろしいでしょうか?」

「あ、えっと、わかりました。私は幼稚園の先生で――――」


 私は自分に起こったこと、ゲームの内容、現れた魚に生きたまま食べられたこと、そのせいで魚に対してトラウマを持ってしまい見るだけでも吐き気を催して気分が悪くなることを事細かく先生に伝えた。


「……わかりました。お話しいただきありがとうございます。症状の話を聞いてまず結論を言いますね。そのPTSD、トラウマなのですが症状の改善は可能です。ただ完全に克服するという行為は残念ながら今の医術力ではできません。症状の改善を優先して治療していきましょう。」

「は、はい。」


 話が着々と進んでいっているのだけれど話の内容的にも理解しているのだろうか……


「あ、あの!」

「はい?どうしましたか?」

「あのですね。もしかして私がトラウマの原因になったゲームのことを何からしら知っているのですか?」

「……申し訳ありませんが治療の話以外はお教えできません。」

「わ、わかりました。」


 この感じ、やっぱり何か知っているよね?でも教えることができないか……


「では治療の話を進めましょう。それとあなたが体験したことに関しては口外しないようにお願いします。」

「え?」

「まあ口外しても信じてはもらえないかもですが話さないでください。その代わりと言っては何ですが今回の治療すべて無料とさせていただきます。口止め料と言うものです。どうでしょうか?」


 ……どうしよう、でも確かに話しても信じてもらえないような話だし―――


「わかりました。お願いします。」

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