よんわめっ!うみのまもの!(2)
玄関を出て白線の上にのる。目的地は近所にある八百屋さん距離としては約一キロ、本当に近場にはあるが幼稚園児には少し遠い場所となっている。
「ごくりっ……よしっ!!いくぞ~」
幼稚園児にとっても広いとは言えない白線の上を片足片足とゆっくり一歩ずつ歩いていく。
車道を見ると一面底なしの海が広がっていて海に潜む見えない魔物が今か今かと文也の落下を待ち望んでいる。
「いっちに、いっちに~」
一歩一歩着実に進んでいっている。ただここで悲劇が起こる。前から車が来たのだ。文也が歩いている道路は車一台分少し避ければ二台目がギリギリは入れるぐらいの狭い道路であるため白線の上を歩いている文也は物理的に危ないのだ。
ただ白線から出て白線の内側に入ればいいのだがそうも言ってられない理由が内側には白線が無い。車を避けるには海に飛び込まなくてはならないため文也にとっては重い選択肢が迫られている。
「ど、どうしよう~」
辺りを見渡して少しあたふたしていると脳裏に先ほどのお母さんとの会話がよみがえる。
(文也、車には絶対に気を付けるのよ。危ないんだからね!絶対よ!)
お母さんとの約束。これは文也にとって何よりも最優先しなければならないお願いであるため文也は覚悟を決める。
「し、しかたない!とりゃ!!」
文也は白線上から白線の内側にジャンプして入った。
ドボンッ!という通常海も川もない住宅街のど真ん中では聞かないような、ど派手な飛び込み音を出しながら海に飛び込んだ文也。
ぼこぼこぼこっと口から二酸化炭素を出しながら鼻と口を可愛らしく両手で包む文也、ただそんな文也に海の魔物の間の手がすぐそこまで迫っていた。
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