ごわめっ!ばくだんおにごっこ!(6)
「さてと!ふみやのやつはどこにいるかな~」
「う~ん?すべりだいにはいないかんじか~どこにいるんだ……?」
鉄平は公園を隅から隅まで探し、最後に残った場所、トイレのある場所までたどり着いた。
「もうここしかないよな~?お~い!いるんだろ!?ふみや~でてこいよ~」
「おそかったじゃん、てっぺい!」
「やっぱりいた。ふみや、いっきうちしないか!?」
「またか、まあいいぜ、やろう!」
鉄平と文也の距離はすでに離れている。いつでも勝負が始められる状況だ。
「このたいまーがいちぜろぜろになったらはじめようぜ」
「お~け~」
「ごびょうまえ~さん!にい!いち!かいし!」
開始の合図とともに文也に向かって走り出す鉄平、文也は合図とともにトイレの裏手に走る。しばらくの間トイレを間にぐるぐるとその周りを回り逃げる文也と追う鉄平。
「ま、まて!ふみや!おなじとこばかりぐるぐると!ひきょうだぞ!」
「ひきょうじゃないよ!せんじゅつだよ!」
「くそ~!!」
文也はこのまま逃げ切れると考えていた。ぐるぐると回っていたトイレ、その角を曲がると公園一帯が見える場所に出る曲がり角があるのだがその角にいた。
「たっち~」
「はえ?」
その角を曲がった瞬間手が出てきて文也の胸元目掛けて手が伸びる。
「うおお―――!?」
急に出てきた手を上半身を曲げ滑るようにその手の下を潜り抜け、急いで体を起こして走り出す。
「びっくりです~まさか下をくぐりぬけていくなんて~」
「うお!?くるみ!なんでおまえがここに!?」
「ふみやくんにちょっかいをだしにきたんですがね~にげられちゃいました~」
「くるみはふみやをねらわないっていったじゃないか!」
「いいましたね~ですのでさきほどもいいましたけどちょっかいです。」
「はあ~?いや、ちょっかいって―――」
鉄平の言葉を遮る形で鳴り響くタイマーの音に鉄平がびっくりした声を上げる。
「うお!?って!やばっ!おれ!あうとじゃん!!」
「そうですね~おつかれさまでした~」
「いや、くるみもだろ?」
「いえいえ~わたし、おにじゃないですよ~」
「はあ~?」
遡ること四分前―――――
「さて~ふみやくんとたたかいたかったですがさすがに二回れんぞくはかわいそうですからね~だれをねらいましょうか~うん?ふふっ、あの方にしましょうかね~」
「く、くるみ。や、やあ~」
「ええ~こんにちは~」
「な、なにしているんだ?ふみやのやつをねらわなくていいのかよ……?」
「わたしもそうしたかったのですけどね~こんかいはてっぺいくんにゆずってあげました~」
「そ、そうなのか。」
「はい~」
「……」
「……」
「そろそろおいかけてもいいですかね~」
「はは、あっちへいってくれるとありがたいんだが……」
「ではいきますね~」
「あ~もう!」
胡桃は先ほどの
「なんではしってこないんだよ!ぎゃくにこええよ!」
「こわいですか~では、はしっておいかけましょうか~」
「あ~いやちょっとやめてください。」
「どっちなんですかね~」
胡桃は走らないでも早歩き並みの速さで追いかける。
「あ~くそ!」
「……?それは~やめたほうがよかったのでは?」
優太はジャングルジムの中に入りその中で攻防しようとしている。
「へへ、ここでならまだにげきれるかもだろ?」
「う~ん、いえたぶんすぐにけっちゃくついちゃいますよ?」
優太は胡桃から距離をとるようにジャングルジムの中を移動する。ただ、距離は開かないどんどん距離が近づいていきついに胡桃の手が届くところまで距離が詰まった。
「な、なんで!?」
「いえ、こんなせまいばしょではすばやくいどうできないのはあたりまえじゃないですか。」
「ちくしょ~!」
「では、たっちです。のこりやく二分ほど、がんばてください。」
「くっそ~、ぜったいつぎはかつ。」
「ええ、いつでもおまちしてますよ~。さて~ふみやくんはどこにいますかね~」
胡桃は辺りを見渡すと鉄平と文也が一騎打ちを開始しだすところだった。
「おもしろそうですね~しばらくみてましょうかね~」
文也たちの攻防をしゃがんでずっと眺めていたが同じところをぐるぐるしているだけなので退屈しながら見ていた。
「……あっ!そうです~ちょっとふみやくんにちょっかいをだしにいきましょうかね~」
胡桃は立ち上がるとトイレの角に隠れ文也が出てくるのをじっくり待つ。
(ふみやくんがでてきたところをタッチしましょうかね~まあおにではないですからてっぺいくんにはおこられないでしょう。)
胡桃はわくわくしながら待っていた。文也がどんな顔をするのか、どういったことを言ってくれるのか。悔しそうな顔が見れるといいな~そんなことを考えながら隠れていて足音が近づいてきた。
(……きた!)
胡桃はゆっくりと手を伸ばす。狙うは文也の胸元、絶対に触ることができると確信した不意打ち。
「たっち~」
絶対に触れたと思っていたが触れなかった、ギリギリのところで自分の手の下をくぐるように滑りかわしたのだ。
(うそでしょ~、あのじょうたいからかわせるものなんでしょうか~)
「びっくりです~まさか下をくぐりぬけていくなんて~」
「うお!?くるみ!なんでおまえがここに!?」
「―――――と言ったかんじでわたしはおにではありませんよ?」
「じゃ、じゃあおれだけ……」
「ええ、ごめんなさいね。ではわたしははなれますね~」
そこから胡桃が離れてすぐ公園の三か所で爆発が起きた。
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