ごわめっ!ばくだんおにごっこ!(7)
『では、次がラストゲームです。次の鬼を三名選出してください。ただし、
鬼になれるのは胡桃を抜いた五名、
優太は残り二分で胡桃に捕まり鬼になったが近くにいた参加者の男の子に死に物狂いで追いかけ鬼を変わった。結構な激闘で気づけば残り五秒前でつかまえることに成功していた。
四葉はというと彩香と一緒に隠れていて最後まで見つかることはなく隠れ切った。
樹、鉄平の友人で今回のゲームには鉄平が誘ったことにより参加、一ゲーム目、二ゲーム目とすべり台の上を占領して上ってくるようなら滑り降り上がってこなければ上で陣取りをし、ラストゲームまで生き残っていた。
「さて、おまえらどうするよ?おれはおにになってもいいとはおもっているけどほかにやりたいやつはいるか?」
文也は五人を見渡し鬼になるかを聞いて回る。鬼になりたい奴が自分以外に三人いる場合は譲るつもりで聞いた。
「わ、わたしは……お、には、むりです……」
彩香が小さく手を上げて答える。それに合わせるようにして樹が手を上げて文也に近づいてきた。
「ぼくはいいですよ、おにになっても。」
「いつきでふたり、よつばとゆうたはどうする?」
「わたしはゆうたくんにゆずるよ。」
「え?あ、じゃあ、まあわかった。いいよ、おれがおにになる。」
三人の鬼が決まったのと同時に機械音の声が公園内に響き渡る。
『鬼が決定しました。鬼は文也様、樹様、優太様です。今回のゲームはラストゲームであるため最初の逃亡時間は一分とし、またゲーム時間は八分とします。それでは各自位置についてください。』
「さて、やりますかね。よしいくぞ~い~ち、に~い、さ~ん―――」
「はからずもおとこの子たいおんなの子といったかんじになりましたね~」
「そ、そうだね。くるみちゃんはどこにかくれるの?」
「わたしはかくれずにすべりだいにいこうかなとおもいまして~あやかちゃんはどこかにかくれるんですか?」
「う、うん。もうよつばちゃんはかくれちゃったからわたしもどこかにかくれようかなって……」
「う~ん、そうなりますとすべりだいはすこしきけんかもですかね~」
「どうして?」
「お二人ともかくれて見つからないと三人ともわたしのところにきちゃうじゃないですか~そうなるとすべりだいに三人きちゃうとさすがににげきれませんからね~」
「たしかにそうだね……」
「ではわたしはここで、あやかちゃんもきをつけてがんばってくださいね。」
「うん!あとでね。」
胡桃は彩香と別れてトイレ前の遊具のない広い広場に向かう。
「さて、もうここでにげきるしかないですかね~八分ですか~すこし長いですががんばりましょうか~」
「「「―――ごじゅうは~ち、ごじゅうきゅ~う、ろくじゅ~う!!げーむすたーと!!!」」」
開始の合図とともに顔を上げすぐに捜索に入ろうかと思っていた文也に優太から声がかかった。
「ふみや、いつき、すこしはなしをきいてくれないか?」
「どうした?」
「お?どしたよ?」
「ちょっとちかづいてくれ。」
優太の呼びかけに三人円になって顔を突き合わせてヒソヒソ話を行う。
「おれさ、くるみをねらおうかとおもうんだけどさ、しょうじきひとりじゃぜったいかてないとおもうんだよね。で、ものはそうだんなんだがさ、ふたりもきょうりょくしてくれないか?ほかのじょしふたりをねらうよりかはきぶんはいいとおもうんだが?」
「さんたいいちできぶんのはなしされてもな~」
「いやでもそうでもしないとかてなくないか?」
「「まあ~たしかに……」」
「で?どうするよ?」
「……わるい、おれはやっぱせいせいどうどうあいつとたたかいたい!」
「そうか、いつきは?」
「おれはやってもいいぜ!」
「りょうかい!じゃあふたりがかりでやるぞ!」
「がんばれ。」
文也は二人と別れ近くにある遊具から一つ一つ丁寧に捜索する。
「さて、どこにいるかな。」
茂みの中などを探していると、「うおおおぉぉぉ―――!!!」っと公園中央から雄叫びが聞こえてきた。
(ゆうたたちか、がんばれ!)
さらに奥を探して言っているとガサガサという茂みが揺れる音が聞こえた。
(ん?だれかいる?)
音がした方向へ向かうと誰かわからないが誰かが立ち大急ぎで逃げていく姿が見えたので文也も立ち上がり追いかける。居たのは四葉だ。
「よつばみつけた!まて!」
「うわ~!みつかっちゃった!!」
四葉は走ってジャングルジムがある場所に向かう。
「はあはあ、ここまでくれば……」
「うまくにげられちゃったな~」
「ふふん~ふみやくんでもここならしばらくじかんかせぎできるでしょ。」
「そうだね、たしかにつらいかもだけどぜんりょくでおいかければたいりょくてきにもいっぷんくらいでけっちゃくつくとおもうんだけど。」
「う~ん、たしかにつらいかな~」
二人でジャングルジム越しに話していると、
「ふみやく~ん!わたしとたたかいませんか~!?」
という胡桃から声がかけられた。
「くるみ~ゆうたたちは―――」
文也が言いかけている視線の先に見えた。
なんと優太と樹が二人して地面に手をついて息を切らしている。
「まじか……」
どうしてこのようになっているのか、それは三分前に遡る。
「さくせんをかんがえよういつき、ふみやのやつはほかのやつをさがしにいった。てなわけでおれらふたりなんだがどうする?」
「どうするってふたりではさみうちしてつかまえるしかないだろ。」
「まあそうだな。」
「くるみのやつのこわいところはうんどうしんけいがめちゃくちゃいいところだ。だからふたりがかりであいつのうごきをとめてつかまえる!」
「お~け~!」
「よしいくぞ!」
「おー!」
二人は立ち上がりドームを迂回して胡桃がいるであろう場所に向かうといた。
「おにごっこなのににげもかくれもするきないよなくるみ!」
「かくれてはさみうちなどされてしまうとつらいですからね~」
「ここでならはさみうちされてもだいじょうぶだと?」
「ええ、ここでならあなたがたふたりならだいじょうぶですかね~さすがにふみやくんまでいちゃうとつかまっちゃいますけどね~」
「いつき!さくせんどおりにつぶすぞ!ほえずらかかせてやる!」
「よっしゃ~いくぜ!ゆうた!」
優太と樹は「うおおおぉぉぉ―――!!!」と言う雄叫びを上げながら胡桃の左右に分かれて挟み撃ちを行おうとする。
優太は右、樹は左から容赦なく胡桃に迫る、のだが二人掛で捕まえようとするが二人掛にもかかわらずかわされ続けている。
「あたらね~!」
「くそ、つかまらん!」
「う~ん、つまらないですね~目をつぶっていてもかわせそうなんですが~」
胡桃の言う通りか胡桃はその場で踊るように二人のことをかわしている。その舞に二人は触れることすらできずにいる。
「はあ、はあ、くそ!いつき、ぜんりょくでいくぞ!」
「も、もうぜんりょくなんだけど!」
「それでもだよ!いくぞ!」
「おう!」
二人は胡桃をコカす勢いで突撃する。コカす勢いなのではなく樹も優太も相手をコカすために突撃している。
「コカしてでもとめるぞ、いつき!」
「わかってる!」
「こわいですわね~あまりおんなの子にひどいことしないほうがいいですよ~」
「「うるせぇ!!」」
もう半ばキレながら胡桃を捕まえようとするが一向に捕まえることができずただただ体力だけを奪われていき最終的に二人とも地面に手をついてぜーはぜーはーと過呼吸気味になっている。
「ざんねんですね~もうすこしたのしみたかったのですけど~」
「はあー、はあー、く、くそ……」
「もう、むり。はあーはあー」
胡桃は少し退屈そうに辺りを見渡すとジャングルジムで四葉と戦っている文也を見つけて目を輝かせる。
「ふみやく~ん!わたしとたたかいませんか~!?」
「くるみ~ゆうたたちは―――おいおい、うそだろ……にたいいちだぞ。」
「あまりたのしめなかったのでふみやくん、どうでしょうか?さきほどのつづきを~!」
「……やるか。」
「え?ふみやくん、くるみちゃんのところにいくんですか?」
「ああ、よつばもそっちのほうがいいだろ?あいつもいちげーむめのさいせんをのぞんでいるみたいだし。」
「わ、わたしはうれしいけど……」
「んじゃ、いくか!」
文也はジャングルジムから胡桃がいる公園中央へ向かう。
「まさかにたいいちでかてるなんてどんだけつよいんだよ……」
「さあ~さきほどのさいせんです~このゲームでは二回もまけてしまいましたからね~こんかいばかりはかたせていただきますね~」
「ゆずらんよ、かつのはおれだ!」
「……あっ!のこりじかんはいくつですか~」
「ん?え~と~」
文也がタイマーを確認すると残り二分三十四秒とでていた。
「えっと~にー、さんぜろかな~」
「え~と二分三十びょうくらいですかね~わかりました~のこり二分ではじめませんか~に、ぜろぜろです。」
「お~け~わかった!にふんしょうぶだな!」
文也はタイマーをじっと見て残り二分になるのを待つ。
「ごー、よん、さん、にー、いち、すたーと!」
スタートと告げ文也はタイマーをポケットにしまいゆっくりと胡桃に近づく。
「はしってこないのですね~」
「はしってもつかまえられないしな~よくみてかんかくでおまえをつかまえる。」
「ふふふ、たのしみましょう~」
文也は歩いて近づきついにはとうとう両手を伸ばせは触れられるところまで近づいた。
「いくぞ!」
「いつでも」
それはまるで舞踏会で男女が息を合わせて踊っているような鬼ごっことは呼べない駆け引きがその場で行われていた。
(くるみはみぎあしのうごきがすこしふしぜんか?うごきをさそっている?なら!)
文也は踊りのような攻防から一転、肉食動物の狩りのような攻め方を始めた。
「……ッ!?いきなりうごきをかえましたね~どうしてですか~?」
「みぎあしのうごきがふしぜんだったからさ。」
「きづいていましたか~」
「けが、か?」
「いえいえ~べつにけがではないですのでおきになさらず~」
「そうか」
「はい~」
(みぎあしのスキをついてこうげきしてくれればらくだったのですけどね~)
二人の攻防は永遠に続くものかとその周りで見ていたものは思っていたのだが意外な形で勝負はすぐについた。
「あっ!」
「!?くるみ!」
胡桃が右足を捻り転びそうになったところを文也が胡桃の手を掴み助けたのだ。
「あ、あはは~さきほどもおなじようなミスをしましたがまさかおなじミスでつかまっちゃうなんて~」
「はあ~こんかいはかったとほこれないな~あし、だいじょうぶか?」
「ええ~ありがとうございます。」
文也が胡桃を引っ張り立たせると時間切れを告げるタイマーの音が公園に響き渡る。
「ふふふ~まけちゃいましたね~ざんねんです~」
「おれだってこんなかちかたいやだよ。」
「まあまあ、ここはすなおによろこんではどうですか?」
「う~ん……」
タイマーの音が止まりまた機械音の音声が公園に響く。
『タイムアップ、これより敗者の罰ゲームを行います。勝者の皆様は敗者の皆様からお離れください。』
敗者の罰ゲームが執行されるタイマーが赤く光り膨れ上がり大爆発した。
『ゲームセット、人数が残り三名になりましたのでゲームを終了します。皆さまお疲れさまでした。』
機械音音声は消え死んだ人たちが戻ってくる。
「おつかれ~みんな~」
「あ~つかれた~!!」
「くるみがこわすぎです。」
「わたしがなんですか~」
「い、いえなにも~」
「ふみや、かちのこりおめでと!」
「ありがと、ゆうた~」
「よつばちゃんとあやかちゃんもおめでとうございます~」
「あ、ありがと、くるみちゃん」
「ありがと~」
お互いがお互いを褒めながらゲームの感想を言い合っている、文也たちも同じだ。
「にしてもよくふみやはくるみにかてたよな~」
「うんがよかった、というかくるみがコケちゃっただけだけどね。」
「それでもかてたのすごいって!しかもにかいも!」
「ははは~」
「ふみやく~ん、」
「く、くるみどうした?」
「つぎはかちます。ですのでまたあそびましょうね~」
「おう、いつでもうけてたつよ!」
今回のゲーム、勝者は文也、彩香、四葉。
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