ろくわめっ!さつじんきからにげろっ!(3)
体育館へ向かった
「これは~誰かが漁ってこうなったと考えるべきか、それとも元々か。少し探索するべきかな。」
黒川は落ちているボールなどを避けながら歩き体育館の壇上下までたどり着いた。
黒川は横にある壇上まで上がる階段を使い上に上がると壇上の奥にポツンと一つ生徒が授業で使う用の机とその上に真っ黒なアタッシュケースが一つ置いてあった。
「あれが、特殊な武器が入っているものかな?」
黒川がアタッシュケースに近づくとそのケースには南京錠がかけられており、力を入れ壊そうと試みるが固く閉ざされびくともしない。
「普通の南京錠程度なら壊すことは簡単だと思ったんだけど、やっぱり壊せないか。……ん?」
南京錠を壊すためアタッシュケースを手に取って壊そうとしたが壊れないとわかりアタッシュケースをもとあった机に戻そうとしたとき机に紙が貼ってあることに気づいた。
「これは――――」
黒川が見つけた紙は
「なぞなぞ、とは違うかな?書かれたことをそのまま受け取る感じだと一つ目は正直わからないかな、二つ目はゴールっていうくらいだからゴールがある場所、例えばこの体育館のバスケット”ゴール”もしくはグラウンドにあったサッカー”ゴール”、今のところ思いつくゴールはこの二つかな?三つ目は――――」
と言いかけたところでガラガラガラっと体育館正面入り口の扉が開けられた。
「……ッ!」
ゆっくりと壇上横に後ずさりする黒川。もし鬼であればあの距離から照明のない少し暗めのこの壇上は絶対に見えないと考え、鬼かどうかの確認ともし鬼であれば音で気づかせないためにゆっくりと後ろに下がる。
ただ入り口から現れたのは鬼ではなかった。
「なんとかおににばれずにたどりつけましたね。あやか、いつきだいじょうぶですか?」
「だいじょうぶ。」
「ああ、おれもだいじょうぶだ。けどすこしここできゅうけいしようぜ」
「わかりました。あるかはわかりませんがとくしゅぶきをさがしたあときゅうけいしましょう。」
体育館に入ってきたのは
(!……園児たちがだったのね。でもここで合流できたのはでかいわ、声をかけましょうか。)
「びっくりしたよ。入って来たのはキミたちだったのね。」
『!?』
「あ!驚かせちゃってごめんなさい。私よ。ゲームに参加させてもらったお姉さん。」
黒川が壇上を飛び降り近づきながら話すと三人は顔を突き合わせてまたヒソヒソと話し始めた。
「まさかたいいくかんにかくれていたとは。どうします?」
「どうするってどうすることもできなくないか?」
「わたしは、おにいちゃんにまけせる。」
「そうか。じゃあぼくにまかせてください!」
黒川が立ち止まって三人のことを待っていると三人のうちの一人、彩人が一歩前に出て話しかけてきた。
「おねえさん、ぼくたちはここにとくしゅなぶきがあるとかんがえてきたのですがありましたか?」
「ん?ええ、この奥の壇上の上にね。ただ鍵がかけてあるの。その下に鍵の在処を示す紙と一緒にね。」
アタッシュケースの場所と鍵のことを話すと彩人は少し考える素振りをした後また話しかけてきた。
「おねえさんはぼくたちのてきですか?みかたですか?」
突然の質問に黒川はびっくりしたが質問の内容が内容だったためにすぐに答えた。
「私は味方のつもりよ。正直こんな危険な遊びに参加することになるとは思わなかったけど参加したからには大人として君たちのことは死んでも守るつもりでいるわ。」
そう伝えると彩人は二人の下に戻りまたヒソヒソと少し話した後三人で近づいてきた。
「いちおうこんかいのゲームはむずかしいですからいっしょにこうどうする人がおおいとたすかります。ぼくたちといっしょにこうどうしてもらってもいいですか?」
「ええ。かまわないわ。むしろこちからお願いしたいくらいよ。」
そうして黒川は彩人たちと合流して一緒に行動することになった。
黒川はアタッシュケースがある場所と紙を彩人たちに案内して鍵のある場所の情報を共有した。
「一つ目はごめんなさい、わからなかったわ。二つ目は多分ここのバスケットゴールの上かそれとも外のグラウンドのサッカーゴールか。それで三つ目なんだけどこれは屋上を探せばいいのかなと考えたの。それで今からこの体育館の上を探そうかなって思った時に君たちが来たのよ。」
「そうなんですね。じゃあまずバスケットゴールからさがしましょうか。みんなで手分けしてさがせばちょうどよんかしょありますしすぐおわるとおもいますよ。」
四人で体育館横の階段を上り一人一か所ずつゴールの上を調査する。
「こっちはありませんでした!!」
「おれもなかった!」
「……わ、たしも……」
「こちらもありませんでした。」
四人はくまなく探したが鍵は見つけることはできず下に戻った。
「ありませんでしたね。」
「そうだね~」
「おねえさんのいけんだとあとはそとのサッカーゴールですか。」
「ええ、そこもなければごめんなさい。私にはどこにあるのかわからないわ。」
「そうですか。おねえさんすこしここできゅうけいしませんか?あやかたちもすこしつかれいるみたいですし。」
「あ、ごめんなさい、気づかなかったわ。ええ、少し休憩しましょうか。何なら私が一人で探しに行ってもいいですし。」
「いえ、やはりみんなでさがすべきなのできゅうけいしましょう。」
「そう、わかったわ。あっ!そうだ!そういえば私まだ自己紹介をしてなかったわよね?」
「そういえばそうですね。」
「すっかりわすれていたな~」
そうよ、私としたことがすっかり忘れていたわ。自己紹介ついでにここのこととか文也君のことについて少し聞いてみましょうか。
「オホンッ!ええ~まずは自己紹介ね。私の名前は
「はい。よろしくおねがいします。ぼくはとうじょうあやと、こっちはいもうとのあやかで――――」
「おれがいつきだ。よろしくだぜ!」
「ふふっ、三人ともよろしくね。それで聞きたいことがあるのだけれどいいかな?」
彩人の後ろに隠れている彩香ちゃんに小さく手を振りながら彩人に聞いた。
「いいですけどなんですか?」
「あなたたちの友達がこの空間を作ったんだよね?彼がこういった感じのことをしだしたのはいつ頃くらいなのかな?」
「……?ああ~ふみやのことですか?ここみたいなくうかんをつくったりしだしたのはさいしょからですよ。」
「最初から?」
「はい。ようちえんに入ってはじめてあそんだときからこんなかんじの力をつかってデスゲームをよくしていたんです。」
「デスゲーム……そうなんだ。この能力の詳細とかってわかるかな?」
「しょうさいですか?う~ん、ふみやがやりたいことがげんじつになるといったかんじですかね?」
「現実になる?」
幻覚系の能力者である線が濃厚かな?でも違うのではないか、と指摘されれば違わないと言いずらいのも事実。彼はどういった能力者なの?
深く推理をしながら一人考え込んでいると初めに聞いた機械音音声が学園中の放送機器から再び流れてきた。
『ただいまを持ちまして残り制限時間が二十分になったことをご報告します。残り二十分を過ぎたため新しく鬼をもう一人追加します。この追加により鬼は二人です。頑張ってください。』
「鬼の追加って……」
「さいあくですね。これはたぶんのこり十分でももう一人ふえるとおもいます。ぼくがふみやならそうします。いそいでかぎをさがしてぶきを手にいれるべきですね。」
「文也君ならそうするってこのゲームのルールを作っているのは文也君なの?」
「ええ、さきほどもいいましたけどふみやのしたいことがここではげんじつになる。あいつもゲームにさんかしますがきほんルールはあいつがかんがえています。」
「それで文也君なら鬼を残り十分でも追加すると?」
「はい、ですのできゅうけいはおわりです二人とも!いそいでグランドにむかいましょう。」
「うん……」
「りょうか~い」
アナウンスを聞き動き出す一同。ただグラウンドには新しき鬼が待っていた。
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