ろくわめっ!さつじんきからにげろっ!(4)
「じゃあ私が先に行くからみんなは後ろからついて来てね。」
『はい。』
この感じ保育園の先生みたいね。結構大変だな~。
園児のためにも先頭に立つ
「おねえさんすこしまってください。」
「ん?どうしたの?」
「あのケースもっていきませんか?そちらの方がかぎを見つけたときにここまでもどってこなくてもいいですし。」
「う~ん、たしかに私もそれは考えたんだけどね、持ってみて思ったのだけれどあれ、結構な重さをしているのよね。だからもし持って行くってなると荷物になると思うから持って行かない方がいいと思うよ。」
「そうでしたか。おねえさんでもおもいというのならぼくらじゃもつこともむりですかね。」
「あの重さなら多分無理だね。じゃあ今度こそ行きましょうか。」
扉を開け周りの様子を見ながら移動する。さながら映画などである特殊部隊の潜入作戦のような行動を行う。
鬼が二人ということもあり最大限警戒しながら進むこと二分。なんとかグラウンドが見える位置までたどり着いた。
「なんとか着いたはいいけどあれはちょっとどうしようか……?」
グラウンドに目をやるとサッカーフィールドのちょうどセンターマークのところに明らかに鬼だとわかる青い鬼の仮面を装備した両腕に地面までついた長い鎖を巻き、両目を包帯で隠した包帯だらけの特徴的に女?が立っていた。
「これはどうしましょうか。」
「明らかにあれ鬼だよね?新しく追加された鬼がまさかグラウンドにいるなんて運が悪いというか……。」
「どう、するの?」
「う~ん、ここは離れて屋上に向かいましょう。あの鬼はどうも動くことはなさそうだし無理にサッカーゴールを探すよりは安全に屋上に行くべきよ。」
「おねえさんのいうとおりここははなれましょう。二人もそれでだいじょうぶですか?」
「わたしはだい、じょうぶ。」
「おれはさがしにいきたいが、まあひとりでいってもしんじゃうだろうしね。」
「じゃあ静かに移動してあそこから校舎に入りましょう。」
三人は静かにうなずくとゆっくりと移動して特に気づかれることもなく校舎の中に入れた。
「よかったわ。見つかることなくは入れて。」
「ええ、そうですね。ただあいつがあそこからうごかないともかぎらないのでなるべくいそいでおくじょうへむかいましょう。」
「そうね。」
校舎に入ってからも油断はできないがもう一人の鬼はギ―ギ―という特徴的な金属音と共に近づいてくるためそこまで警戒する必要がない。
そして一度近くで金属を引きずる音が聞こえたが遭遇することもなく、なんなく屋上までたどり着いた。
「つきましたね。じゃあみんなで手分けしてさがしましょうか。」
屋上をくまなく探しはしたのだが特にどこにもなく諦めかけていた。
「ねえな~」
「ええ、ありませんね。」
「うん、そうね。空に一番近い場所だから屋上だと思ったんだけどな~。う~ん、……あ!あそこじゃないかな。」
黒川が指さしたのは屋上に入るための扉の上のスペース。ここからは上の方は見えないが昇れば何かあるかもしれない。
「じゃあ私が登ってみるわね。」
「おねがいします。」
黒川が屋上の扉上に上るとそこに拳程度の小さな箱がポツンと置いてあった。
黒川がそれを開けると中から南京錠のものと思われる鍵が出てきた。
「これだ!」
「ありましたか~!?」
「ええ、あったわ。」
黒川が箱ごと持って下りて三人に中身を見せた。
「よかったです。これでぶきをかくとくできましたね。」
「ええ、じゃあ戻りましょうか。」
箱だけは地面に置き鍵をポケットに入れて屋上の扉を開けて三階に降りる。
今回も安全に帰れるものだと思っていたがそんなことはなかった。
ジャラジャラジャラという鎖を引きずる音が三階廊下の奥から聞こえた。
『ッ!?』
「この音は……」
階段を降りきる前にそいつは現れた。グラウンドで見かけた包帯姿の青鬼、そいつから感じるものはあの般若の鬼とは別のベクトルの恐ろしさがあった。
鬼はこちらに見向きもせず目の前を通り過ぎて階段を降りていった。
(危なかった、やっぱり目が見えていないのか。ただ今の状況だと気づかれた一発で終わってた。)
鬼は階段を下りて行く。音もなくなり見えなくなった時園児たちはお尻をついてため息を吐いていた。
「はあ~~こわ、かった……」
「ええ、まじであぶなかったです。」
「た、たすかった~~。」
「みんな、よく耐えたわね。あいつが返ってくる前に速く戻りましょう。」
四人は立ち上がり階段を下りた。途中鬼が出す特徴的な音が聞こえることもなく無事一階まで下りることができた。
「よし、早く行きましょう。」
一階に降りるなりみんなで小走りをして移動した。気持ちが焦っていたのかもしれない。もう少しで外につながる扉の前にたどり着こうって時前方から現れた。先ほどの青鬼が……
「うそ!?」
「アアァァ―――――――!!!」
甲高い声で叫ぶ鬼、叫んだ声を聞いてか足が動かない。
「くっ!」
ジャラジャラジャラジャラ、鎖を引きずりながらこちらに向かって走ってくる鬼。足はまだ動かない。
(まずいっ!このままじゃ……!)
鬼は距離にして二十メートルくらいのところか、右手に巻いていた鎖を飛ばしてきた。
それは黒川の横を通り過ぎ
「え?」
樹のキョトンとした声が後ろで聞こえたがそれはすぐに悲鳴へと変わった。
青鬼は右手を後ろに引っ張る形で鎖を引きそのまま鎖につられ飛んだ来た樹の首元を鷲掴みにした。
「ぐわっ!?」
鬼の体系は女性ではあるが相手は園児の首、簡単にへし折ることは可能だろう。
樹は苦しそうに苦痛の声を漏らしている。鬼は容赦なく力を入れていきみしみしと音が鳴る。
「や、やめ、やめなさい!」
いつの間にか私は走り出していた。間に合わないんと心のどこかではわかっていた。足が動くのならば残り二人を連れて逃げるべきだったのかもしれない。それでも、助けられるのなら助けたい。
「やめろおぉ――!!」
黒川が叫び走っているときに見えた。鬼は口元を吊り上げ笑っていた。
それが見えてすぐにはっきりと聞こえたボキッという骨が折れた音。先ほどまで腕を掴んで必死に抵抗していた樹の手は力なく垂れ明らかに息をしていない。
青鬼はもう息もしてない樹を投げ捨てるとこちらを向いてニタァ~と笑いまた甲高い奇声を上げる。
「アアァァ―――――――!!!」
体が震え動きが止まる。またあの奇声だ。体が思うように動かない。
「くっそおーー!!」
あの時、あの時彩人君の意見を聞いてアタッシュケースを持ってきていればあの子も助けられたしこの子たちが殺されることもなかったのに……
黒川は後悔しているが何もかも遅かった。鬼は黒川に鎖を付けるまでもなくその手を黒川の首元に伸ばす。首を鷲掴みにされそうになったその時だった。
パンッ!っという乾いた銃声音が廊下に木霊する。打たれた標的は青鬼、口から血を吐いてゆっくりと私にもたれるかのように倒れた。
「な、何が!?」
「みんな~ぶじ~!?いきてる!?」
その声に私は聞き覚えがあった。何度も調査のために聞いた声。このゲームを作った張本人、
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