らすとげーむっ!えんじとですげーむ(3)

『しゅ~りょ~うで~す!!!彩香あやか様、謙吾けんご様お疲れさまでした!ゲーム時間はなんと二十二分三十三秒です。もう少し長くなるものだと思っておりましたが謙吾様がかくれんぼなのにも関わらず隠れなかったため一早く鬼に見つかってしまい殺されてしまいました。残念!!そして生き残った彩香様!木の葉で自分を覆い隠しうまく隠れ切りました。おめでとう!これにより一対ゼロで文也ふみや様チーム優勢です。それでは彩香様自陣に戻しますのでジャンプの衝撃に備えてくださいね。』


 そうしてこの第一ゲームの勝利は彩香が収めた。


「おつかれさま!あやか!」

「すげえなあやか!」

「おつかれさまです~あやかちゃん~」

「おつかれさまです。あやか、よくがんばりましたね。」

「みんな、ありがと……。」

「うおおお!!もえてきたぜ!!つぎはおれにいかせてくれ!みんな!!!」


 鉄平が声を上げて興奮している。


「まあおれはいいよ。どうせさいごだろうし~」

「ぼくもかまいませんよ。」

「わたしもいいですよ~」

「よっしゃ!!つぎはこのてっぺいさまのばんだぜ!」


 園児チームは大人に勝利をしたということもあり、やる気を見せていた。一方内調の長谷川はせがわチームらは暗い空気に包まれていた。


「だからあれほど言ったのですが……」

「いや、あれは仕方ねえよ。弾が貫通して当たらない上向こうの攻撃はこっちには当たるとかマジで予想つかねえよ。」

「謙吾のやつ、本当に死んだのですかね。」

「わからん。まじで死んだかもしれないし、戻ったら何事もなかったように生きているかもしれない。正直あの坊主の能力がここまで化け物だったとは、これは確かに最高ランクAだと言われても納得してしまうな。」

「それで、次は誰が行きますか?」

『……』

「俺が行ってもいいですか?」

亮介りょうすけ……」

「あいつの、謙吾の奴の仇を取ってきます。俺はあいつ見たいな油断はしません。」

「……わかった。行ってこい。」

「はい!」


 そうして園児チームからは鉄平てっぺいが内調チームからは明里あかり亮介りょうすけがワープリングの上に立つ。


『それでは第二ゲーム出場者が決まりましたのでジャンプを開始します。出場者のお二人は目をつぶってジャンプに備えてください。それではジャンプします。』


 ジャンプが完了し目を開けたときそこはクイズ会場だった。


「「え?」」


『皆様お待たせいたしました!ただいまより第二ゲーム早押し!生物クイズ!を開始したいと思います。参加者のお二人は回答席にお座りください。』


 アイの言われるがままに回答席に座る鉄平と亮介、先ほどのかくれんぼを見ていただけに理解が追い付かないでいる。


『ではこのゲームのルールをご説明しますね。このゲームでは私の出す生物クイズに早押しでお答えいただきます。問題は全部で五問、一問一点の計算で先に三点を獲得した参加者の勝利です。何かこのゲームにかんして質問があればお答えします。』


「は、はい!」


『鉄平様どうぞ。』


「も、もんだいがわからないときどうすればいいんですか!?だれかにきくとかもありですか!?」


『どちらも答えがわからない場合は四択にして正解を選ばせます。他の方に聞くことはできません。』


「……おわったあああ!!!!」


 鉄平の心からの叫びがクイズ場に木霊する。


「あれは……だれがかいたんでしょうね。かんぜんにてっぺいがしんじゃってます。」

「たぶんおれらじゃくてむこうなんじゃね?」

「そうみたいですね。てっぺいはつくづくうんがわるいといいますか……」

「だな~」


 鉄平の叫びを聞いて亮介がアイに質問する。


「聞きたいんだが幼稚園児でもわかるような問題なのか?」

『はい。鉄平様もよく考えればわかる問題となっていますよ。そうでないとゲームが成り立ちませんからね。』


「ほ、ほんとうか!!?」


『はい。』


「よし!がんばるゾ!!」


『他にご質問が無いようでしたらゲームを始めたいと思いますがよろしいですか?』


「だいじょうぶ!」

「私もです。」


『わかりました。それでは第二ゲーム早押しクイズを始めたいと思います!!それでは第一問目を始めます。問題!』

 

 アイが問題!というとダ、ダンっというクイズ番組定番の音が流れ始め鉄平と亮介の前に問題が現れた。


『秋の夜の虫の声。リーン―――』


 アイが問題を言い切る前に亮介が答える。


「スズムシ。」


『せいかいで~す!!亮介様一ポイント!』


「は、はやい……。」

「ごめんね。こっちも負けられないんだ。」

「うう~くそお!!」


 亮介と鉄平がバチバチと睨み合っている。


『では第二問、問題!!エンマコオロギがコロコロコロリー、コロコロコロリーとしっかりアクセントをつけて鳴いてい――――』


 ピンポン!またもや亮介がボタンを押す。


「誘い鳴き」


『せいか~い!!おめでとうございます!亮介様これで合計二点、リーチですね!鉄平様後がありませんよ~頑張ってください!』


「くううう~~~~!!!」


 このままいけば勝てるだろう。彼には悪いけど勝たせてもらうよ。


『では第三問、問題!!鉄平様の通っている幼稚園では動物が飼われていますそれは―――』


 ピンポン!今回押したのは鉄平だ。やっと答えられる問題が来たとウキウキしながらボタンを押した。


「うさぎ!」


『正解です!!おめでとうございます!鉄平様一ポイント獲得です』


 正解して喜ぶ鉄平、ただ亮介は不満の声をこぼした。


「少し不公平ではないですか?その問題は身内贔屓すぎると思いません?」


『いえ、贔屓ではないですよ。私はあくまでもの問題と言っただけですので。』


 亮介は苦い顔をしたがそれ以上は追求せず問題に集中した。


『それでは第四問、問題!!鉄平様の通っている幼稚園ではとある動物が飼われていましたが今はいません。どんな動物だったでしょう。』


 二人は考えて硬直している。鉄平はわからないため一か八かで答える。


「ん~~~にわとり!!」


『ぶっぶー不正解です~』


「ちがった!!」

 

 次にボタンを押したのは亮介だ。


「……豚、」


『ファイナルアンサー?』


「ファイナルアンサー」


『せいか~い!!!亮介様おめでとうございます!一ポイント獲得これにより亮介様は合計三点となりましたので第二ゲーム亮介様チームの勝利です!!』


「おっしゃあああ!!!」


 大人げなく喜ぶ亮介、その裏腹に落ち込む鉄平。


『それでは鉄平様、罰ゲームの時間です。敗者には死を。』


 その文言を最後に鉄平が座っていた椅子が下に落ちて行き、鉄平も一緒に落ちていく。


「うわあああぁぁぁ―――――…………」


 落ちていった鉄平はもう声も聞こえることもなくなった。


『それでは亮介様、戻しますね。動かないでください。……ありがとうございます。それでは第三ゲーム出場する人を選んでください。』


 返ってきた亮介は暗い顔をしていた。


「ま、まあ落ち込むなよ。仇を取るって言って出て行って本当に取れたんだから良しとしようぜ!」

「ありがとう。達也たつや

「部長!次は俺が行きますがいいですよね?」

「ああ、構わん。次の勝ち点は逃せない、勝ってこい。」

「了解です!」


 文也チームは鉄平が死んでも落ち込むだけで切り替えはすごく早かった。


「あいつ、まけちゃったな~」

「うんがわるすぎたんですよ……さてくるみ?つぎはどうしますか?」

「おゆずりしますよ~」

「わかりました。ではぼくがいってきます。できればあたまをつかうゲームがいいのですが……。」


『それでは第三ゲーム出場者が決まりましたのでジャンプを開始します。出場者のお二人は目をつぶってジャンプに備えてください。それではジャンプします。』


 ジャンプが完了したというアナウンスを聞き目を開けるとそこはビーチの砂辺だった。


『それではゲームの説明を始めます。第三ゲームの名前はビーチフラッグスです。ルールは砂浜の上で二十メートル先の旗を奪い合うシンプルな競技です。参加者は砂浜で約二十メートル先に立てられたフラッグとは逆方向でうつ伏せになり、スタートを告げる笛の音を聞き1本のフラッグを奪い合ってください。ルール説明は以上です。何かこのゲームにかんして質問があればお答えします。』


「おわった……。」


 彩人あやとが静かに告げる。彩人にとって運動の中でも短距離走が苦手なものの一つ、しかも相手は大人のため勝ち目が極端に少ない。


「おにい、ちゃん……。」

「うんが、わるかったな~」

「ですね~」


 落ち込む彩人に達也が近づいて握手を求めてる。


「俺は達也だ。俺は生きる死ぬの話の前に全力で楽しもうと思っている!だから君も全力で挑んできてくれ!!」

「あ、はい。よろしくお願いします。」


 彩人は手を握り返した後、二人で位置につく。


『では笛が鳴ったらスタートです。それでは!よ~い!ピ――――――!!!!』


 笛の合図とともにバッ!と後ろを向き全力で走る。決着は一瞬で着いた。彩人とは圧倒的なまでの差をつけて達也が旗を握った。


『しゅうりょ~う!!勝者、達也様です!これにより達也様チームは二点先取しリードを取る形となりました。文也様チーム次は負けられません!!それでは彩人様の罰を執行します。』


 アイがそう言うと海の方から大津波が彩人に向かって襲ってきたのだ。


「あ、危ない!!」


 達也が彩人を助けるために動こうとするが体が石になったみたいに固まって動かない。


「な、に?……くそ!」


 そのまま彩人は波に飲まれていき消えていった。


「くそっ!!」


 帰ってきた達也は壁に八つ当たりをしている。


「体が動けば助けられたかもしれないのに……!」

「仕方ないわ。それが罰ゲームなら絶対に執行されてしまうから。……じゃあ行ってきますね。」

「気をつけろよ。」

「はい。」


『それでは第四ゲーム出場者が決まりましたのでジャンプを開始します。出場者のお二人は目をつぶってジャンプに備えてください。それではジャンプします。』


 黒川が目を開けたときに視界に映ったのは一面の海、そして塩の匂い。足場は固い鉄。黒川が立っている場所は船の上だった。


『それでは第四ゲームのゲーム名を発表しますね。ゲーム名は爆弾鬼ごっこ!一対一の戦いで鬼になるかそれとも逃亡者になるのかはランダムです。制限時間は十五分。鬼は船の中にいる客から従業員まで鬼が触れることで鬼の手先にすることができます。そして鬼の勝利条件は逃亡者を時間内に触れることです。逃亡者の場合色々な場所にある武器を手に入れることができ手先となったものを撃って無力化でき、また手に入れた武器で鬼を撃つことができれば逃亡者の勝ちとなります。ここまでの説明でわからないことまた質問がございましたら教えてください。』


「はい。一つよろしいですか~?ふねからおちたばあいどうなってしまうのですか~?」


『はい。ただいま胡桃くるみ様からご質問がございましてもし、参加者のうちどちらか一人が海に落ちてしまった場合海に落ちていない参加者の勝ちとなります。』


「わかりました~」


『他にご質問はございますでしょうか?無いようですのでゲーム開始したいと思います。それではスタートです。』


 一つの船の上で女同士の熾烈な戦いが幕を開ける。

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