にわめ!どっちどっちげーむ(3)
「じゃあさんもんめ!!もんだい!いちばんちいさいくにはおおさかである!〇か×か。」
「……あの、ふみや?くにではなくとどうふけんでは?」
「たぶんそう!」
「い、いきなりむずかしくしすぎじゃないか!?おおさか?ってなんだよ!?食べ物か?」
「たべものではないとおもいますわよ~」
「んんん~~~よし!おれはじぶんをしんじるぜ!」
そうして三問目各自が正解だと思う方を選ぶ。
「のああ――!!おれひとりかよ!!だがおれはしんじるゾ!こい!」
「バンッ!せいかいは~
「ぬわああ~~!!というかもんだいがむずすぎるんだよ!!」
「てっぺいくんはおバカさんですね~あやとくんについていけばあたまをつかったもんだいはまちがえないですのに。」
「そ、そうだった~!!!」
「てっぺいはやっぱバカだな。じゃあばつどうしようか?」
文也以外の三人が考え込む。三人揃って「う~ん」と唸りながら。
「そうですね、ではゆかがあいておちるのはどうでしょう?」
「うん!それさいようで!じゃあばつしっこ~う!!!」
そう言うと鉄平の足下がぽっかりと開きそこに鉄平は落ちていく。
「うわああぁぁぁ――――――!!!」
最初こそ悲鳴が聞こえてきたがそれも数秒で聞こえなくなり鉄平はどこまで続くかもわからない落とし穴へ落ちていくのだった。
「じゃあつぎにいこっか!よんもんめ!!カピバラはひとよりあしがおそい!⚪︎か×か。」
文也はまた体を揺らしながらチクタクチクタクと時計の真似をしている。
「カピバラ……?あのどうぶつ、はやいのかな?」
「カピバラさん、かわいい……けどはやい?」
「カピバラですか~みたことはありますがはやいかどうかはわかりませんね~」
「ふっふっふ~むずかしいだろ~」
三人がう~んう~んと唸っている。
「はやくはやく、きめて~」
文也が両手を振りながら急かしている。
「よし、ぼくは〇にいきます。お二方はどうしますか?」
「わたしは……おにいちゃんについてく。」
「わたしはちがうとおもうので×にいきますね~」
「じゃあせいかいはっぴょ~う!!せいかいは~ドゥルルルル、バンッ、×でした~あやと、あやかちゃんざ~んね~ん。」
ここで少し解説を、正解は×。カピバラは実は遅そうに見えて時速五十キロで走れる意外な一面を持っているのだ。
「やりましたわ~」
「ぼくがもんだいでまちがえてしまうなんて、ごめんなさい、あやか」
「……ん。だいじょうぶ。」
「じゃあまちがえたふたりにはばつげ~む!!くるみ~なにかある~?」
「そうですね~」と顎に手を当てて悩む胡桃数十秒悩んだのち何か思いついたのかゆっくりと口を開いた。
「ではふたりですしふたりまとめてできるばつげーむはいかがでしょう?」
「ふたりか~あ!じゃあふたりまとめておもいものでつぶすのはどうだろう?」
「いいのではないでしょうか~」
「じゃあバツしっこ~う!!」
文也がそう言うと二人で手を繋いでいる彩人と彩香の左右に廃車となった車などを押しつぶす巨大なプレス機が現れた。
「ひッ!」
「だいじょうぶ」
二人の兄妹は一層身を寄せ合って支えている。ただプレス機はそんな兄妹のことなど一切気にする様子もなくゆっくりと二人を潰そうと近づいてくる。
そして三秒後先ほどまでじわじわと近づいてきていたプレス機はガコンという機械音がした後物凄い速さで近づき兄妹を容赦なくミンチにした。
完全にくっついたプレス機の隙間からは兄妹のものと思われる血が流れていた。そしてゆっくりとプレス機は消滅した。兄妹のものと思われるミンチを残して……
「しゅ~りょ~う!!しょうしゃはくるみ~おめでとう!!!」
「ふふふ、やりましたよ~」
「じゃあみんなをもどそっか。」
「ええ、そうですね。」
そう言うと文也はパンっと手を叩いた。
「あ~おちた、というかしんだかもわからなかった……」
「ぼくたちはただただこわかったですよ。」
そう言いながら彩香の頭を撫でている。彩香は泣いているらしく胡桃が自分のハンカチを彩香に渡している。
「いや~みんなごめんね~でもたのしかったでしょ。」
「いやいや、もんだいがむずかしすぎるんだよ!!」
「ぼくにかんしてはかんぜんにべんきょうぶそくでしたけどたのしめました。」
「わたしは~ものたりなかったですかね~」
「わだじは……ごわ…がっだ。」
「ご、ごめんね。」
「だいじょうぶ……」
しばらくの間、文也と彩人と胡桃の三人から頭を撫でられ続け彩香は泣き止んだ。
「あれ?そういえばあけみせんせいは?」
「うん?あけみせんせいならそこでねていますよ。」
彩人の指の指す方を見ると少し曇った顔で横たわって眠っている明美先生がいた。
「あけみせ~んせーい!」
文也が横たわっている明美先生の肩を揺らして起こすと「んっ」とゆっくりと明美の意識が覚醒した。
「ここは……私は、確か……さ、魚に……」
「あ、あけみせんせーおはようございます!」
「ひっ!!ふ、ふみやくん……?」
「そうだよ~だいじょうぶ?」
「えっと、う、うん。あの私魚に食べられちゃったんじゃ。」
「なんのこと?」
「あ、あれ?」
「あけみせんせーたのしかったです!ばいば~い」
「え、ええ」
そう言って胡桃を残して四人はおもちゃがたくさん置いてあるおもちゃ広場へ向かった。
(さっき見たのは夢だったの?いや、でもあの痛みも恐怖もまだ覚えているような……?あれ?う~ん…)
明美は文也たちを眺めながらボーッとその場で固まっていると横から声がかけられた。声をかけてきたのは残った胡桃だ。
「あの~あけみせんせい?だいじょうぶですか?」
「え、ええ、大丈夫よ。」
「そうですか~よかったです。もしなにかからだにいじょうがありましたらここのびょういんへいってくださいな。」
そう言って胡桃は腰に付けていた小さなポーチから鳳城総合病院と胡桃の名前が書かれた名刺を渡してきた。
「えっとこれは?」
「だいじにもっていてください~」
「えっと、わかったわ。」
胡桃は明美に微笑んだあと文也の下へ走っていった。
「本当に何だったの……?」
明美の呟いた疑問は誰に拾われるまでもなく虚空へと消えていくのだった。
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