よんわめっ!うみのまもの!(3)

 海の中に入った文也ふみや、文也の一面には透き通り光輝く海が広がっていた。


(うわ~すご~い!!!)


 海の中にいることを忘れ関心に浸っている文也、そんな文也の後ろから迫りくる影が一つ。それはゆっくりと文也の後ろに近づいている。


(……ッ!?サ、サメだ!!)


 後ろで自分以外の気配に感じたのだろう。水中でバッ!と振り向くと文也よりも数倍でかいサメが背後でゆっくりと泳ぎながら文也を獲物として狙っていた。


(や、やばい!!いそいでうえにあがらないと!!)


 文也は上に見える陸という名の道路の白線へ向け拙い泳ぎながらも一生懸命に上に向かい泳いだ。


 落ちた場所がよかったのかそれともまだサメが文也の存在に気づいていなかっただけか、今回は運がよかったと言えるだろう。何せ目の前にいたサメからけがをすることなく逃げ切れたのだから。


「ぷはっ!た、たすか~た~あ、あぶなかった、すごくあぶなかった!!」


 近くを通って行った車ももういなくなっている。


「くるまよしっ!はくせんも~よし!しゅっぱ~つ!!」


 文也は再びコロコロを右手で引きながら八百屋を目指す。白線の上しか歩くことのできないこの縛りはやはり危険でもありとても難しいものだろう。それでも辞めずに進んでいく。次の場所にどんな苦難が待ち受けていようとも。

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