第17話 球技大会③

「リフティング何回出来るか、勝負しようぜー」

「あぁ」


今日は前日ということで全ての授業が球技大会の練習。

俺は麗蘭と風夏、男子数名とサッカーをしていた。


「九条さん、うま!」

「一之瀬さんも頑張れ!」


難なくこなす麗蘭と風夏。

回数は10回を超えた。


「わぁ!ごめん!」


力加減をミスし、強く蹴ってしまったのは麗蘭。

ボールは勢いよく大野の顔面目掛けて飛んで行く。


「大丈夫、俺とってくるねー」

「ごめんねー、ありがとうー」


大野は上手く避けると笑顔を向け、ボールを取りに行く。

麗蘭は手を振り返す。

記録は18回。


「やば」

「一之瀬さん、21回」

「もう少し行けたなぁ」


風夏は不満そうに唇を尖らせ、地面を軽く蹴った。

子供みたいで可愛い。

俺たちはキュンとする。


「遥くん頑張れ〜!」

「遥斗〜、私に負けたら奢ってねー」


俺の番になると黄色い声援が二人から飛ぶ。


「リフティングは中学の時、コツ教えて貰ったから余裕だぜ」


俺は余裕で30を越した。

これで最低限の面目は立ったな。


「頭も行けんだぜ」

「だーくそ!」


俺はボールを高く蹴り上げ、落下点に入る。

だが、そう上手くはいかなかった。

ボールは頭に当たったがヘディングシュートのようになってしまった。

クソ、何がダメだったんだ。


「惜しかったね、遥くん」

「ナイスヘディング」

「風夏、ジュースな」

「オッケー」


戦利品のジュースは何にしようか、オレンジかな。


「本格的な練習いくよー」

「レッツゴー!」


リフティングも終わり、本番さながらの練習へ。

俺たちは5対5になる。


「遥斗、結構下手だね」

「悪かったな」


俺の動きを止めたのは風夏。

俺はボールを奪われないように足を動かす。


「いただき!」

「それ、トラップ」


風夏もサッカーは素人。

俺はボールを後ろに軽く蹴り、ボールを追いかける風夏の背中に手を触れる。


「ちょっ、触るのありなの!?サッカーって」


背中を触れられた風夏はビクッとなり、こけそうになる。


「ありだよ、普通に、てか、あぶねぇよ、バカ...」


俺は体操着を引っ張り、転けないようにする。

だが、これがダメだった。

俺は引っ張ってはいけないものを引っ張ってしまったからだ。


「ちょっと、やめ!」

「皆に見られちゃう...」


俺が引っ張ってしまったのはブラのホック。

ホックは外れ、風夏は頬を真っ赤にして、女の子座りで胸を抑える。


「どうしよ...」


立ち上がれない風夏。

俺は麗蘭を呼ぶ。


「遥くん、隠してね」

「あぁ」

「風夏ちゃん、もう大丈夫、ほら治った」

「ありがと、麗蘭」


俺は男子から見えないように風夏を隠す。

麗蘭は手際よく直した。

風夏は泣き止む。


「キーパーやる」

「それがいい」


風夏はキーパーの位置へ、誰も反対しなかった。


「キーパーむず」

「今、動きたくないんだと思う、今日スポブラしてないみたいだから」

「あーね」


ゴールポストに寄っかかり、不貞腐れる風夏。

麗蘭が教えてくれた。

当然俺にはわからんが違いがあるんだろうな。


「実は私もしてなくてさ、だから今日動き悪いのごめんね」

「明日はしてこいよ」

「うん!」


麗蘭の胸がいつもより揺れていたのはこのせいもあるんだろうな。

明日が楽しみだ。

────────────────────

「あー、恥ずかしかった」

「スポブラにしてこようね」

「ね」


練習終了後、更衣室にて、私は麗蘭ちゃんと話す。

明日は絶対に忘れないようにしよう。

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