第22話 球技大会⑧
次はテニスの初戦。
俺と梨依奈先輩のペアは相手を圧倒し、ラスト1プレーという局面を迎えていた。
「椎名くんいっけぇ!」
「決めちゃお!」
ボールを上に放ると梨依奈先輩のクラスメイトの黄色い声援が飛んでくる。
このサーブを決めれば俺たちの勝ちだ。
「フッ!」
俺はジャンプし、サーブを打ち込んだ。
ーー勝った
「凄い、凄い!」
「さすが!」
サーブは決まり俺たちの勝利が決まった。
よし!
「ナイスサーブ、初戦突破ね」
「先輩も良い動きでした、ありがとうございます」
俺は先輩とハグを交わし、健闘を讃えあう。
「椎名、ナイスゲーム」
「相良も!」
「あざっす」
「ありがとう」
俺たちより一足早くシングルスで初戦を突破した先輩達が出迎えてくれる。
「誰もいないよな?」
俺は先輩達と別れ、教室の扉を開けた。
「遥斗...」
「ごめん!」
ドアを開けるとバスケユニに着替える風夏がいた。
俺は視線を逸らす。
「わざとじゃないよね。
服で隠してるから早くあっち行って」
「あぁ」
椅子でも飛んでくるかと思ったが意外にも風夏は怒った様子もなく、しゃがみ、服で胸元を隠して、ドアを指さす。
俺は指示に従いなるべく見ないようにして、ドアを閉めた。
「ごめん」
「わざとじゃないみたいだから許す」
「良かったね」
「そうね。」
廊下に出て、たまたま居合わせた麗蘭と俺は風夏と共にグラウンドへと歩く。
謝ると風夏は頬赤く染める。
やっぱりちょっと恥ずかしかったらしい。
「凛ちゃん頑張れ〜!」
「球走ってるよ〜!」
グラウンドに着くとバックネットの観覧席から凛のクラスメイトがマウンドの凛に声援を送っていた。
「今、何対何?」
「5ー4」
凛結構打たれてんだな。
まぁ、ほとんど初心者みたいなもんだからな。
しゃーないか。
「浅倉は?」
「さっきスリーラン打って一点差にしてました。」
「誰から打った?」
「歌恋ちゃん」
相手は歌恋が投げてるのか。
歌恋の調子悪いのか、それともましろが絶好調なのか。
果たしてどっちだろうか。
────────────────────
「サヨナラホームラン〜」
最終回、私が捉えた打球はスタンドに突き刺さった。
私はバックネット裏で観戦するせんぱいを2回指差し、一塁を回る。
「ナイバッチ」
「アイスね」
「オッケー」
「私からはタピオカで良いかな?」
「うん、ありがと」
ホームインした私は凛とハグして、犬飼とハイタッチを交わす。
ーー先輩〜、対戦しよーね〜
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます