第23話 球技大会⑨

「突撃!突撃!風夏!!」


野球の初戦、俺たちは先攻。

先頭打者の風夏への声援がこだまする。


「風夏、よく見てけよ!」


俺はネクストサークルでしゃがみながら声援を送る。


「よっしゃ!」


5球目に投げられたストレートを風夏は捉え、ライト前へ運んだ。

俺はガッツポーズし、打席に向かう。


「キャァァァァ!!!」

「椎名くん〜、がんばって〜!!」

「遥斗様〜!」


左打席に入った瞬間、どデカい声援がこだまし、俺を含めたグラウンドの全員が驚く。

懐かしい感覚だ。


「しいーな!はると!!」


俺のテーマソングが鳴り響く。

俺は呼吸を整え、ノーステップ打法で構える。


「おせぇ」


俺は投げ込まれたストレートに対し、軽く踏み込む。


「先制」

「キャァァァァ!!」


俺はバットを後ろに放り投げ、女子たちを指差す。

女子たちの声が鳴り響く。


「お、俺のレクサスが...」

「あんな簡単に入った、やっぱり椎名バケモンやん」

「やべぇよ、場外やん」


フルスイングでシバいた打球は防球ネットを超え、ハゲ自慢の愛車のボンネットに当たった。

唖然とするハゲと男子。


「ナイス遥斗」

「風夏もな」


ホームインした俺は風夏と軽くハグする。

さて、次は麗蘭だ。


「ナイバッチ」

「麗蘭ァァァァ!」


麗蘭は俺と同じように初球をシバいた。

打球はライトへ

今度は男子と麗蘭親衛隊が盛り上がる。


「よし!」

「YES!!麗蘭!!」


スタンドイン!

麗蘭は親衛隊と男子に1と指サインを向け、某野球選手と同じパフォーマンスをする。


「ナイスバッティング」

「遥くんもね」


俺と麗蘭は軽く抱き合う。

素晴らしい感触だ。

そして、2回表、再び俺に打席が回って来た。


「もう一本行くぜ」


俺は踏み込み、捉え、流した。

打球はレフトへ。


「逆方向!?」

「やば、村上やんけ」


俺はスタンドインしてから走り出し、ニヤつく。

7ー0


「この試合は投げなくていいな」

「だね」


俺は麗蘭とハイタッチを交わし、ベンチの椅子に腰を下ろした。


「もうそろ、お昼だね」

「だな」


俺と麗蘭はバスケの学年別準決勝を休ませて貰い、校舎を歩いていた。


「ユニフォーム姿カッコいいね、やっぱり遥くんはその格好が一番似合う」

「ありがとう」


褒めてくれる麗蘭。

俺は微笑む。


「次はサッカーだよね」

「あぁ、午前最後だな」

「一緒に着替える?、私は良いよ」

「あぁ」


麗蘭からの誘いに乗った俺は心の中でガッツポーズする。


「野球と比べるとサッカーって、楽だよね」

「そうだな」


ズボンを下ろした麗蘭。

当然、スラパンだが妙にエロい。


「えっち、スラパンだけど、そんなジロジロ見ないで」


麗蘭は胸を隠すポーズをする。

俺は視線を逸らす。


「この上からサッカーのユニフォーム着たらおかしいかな?」

「暑いんじゃね?」


実った胸。

今にもアンダーシャツが破れそうだ。


「でも、脱ぐとまた着ないとならないしなぁ」


麗蘭は考え込む。

俺は脱いだ。


「遥くんが脱ぐなら私も脱ごうかな、えい!」


麗蘭はアンダーを脱ぎ捨てた。

実った果実が揺れ、緑のスポブラが露わになる。


「興奮した?」

「はい、しました」


ここは正直に答えておこう。

にしてもエロい。

エロすぎる。


「スラパンもぉ」

「え!?」


俺は興奮し、素っ頓狂な声を上げた。


「スラパンはやめた、襲って来そう」

「すまん」


麗蘭はスラパンから手を離し、素早くサッカーのユニフォームを着ると俺を睨む。

俺は苦笑いを向けた。


「行こっか」


サッカーのユニフォームに着替えた俺たちはグラウンドへ。

正直、今の俺の頭の中は麗蘭のスパッツの中でいっぱいだ。

スラパンは直で履くからな。

ーー脱いだら見えちゃうよな、大事なとこ






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