第33話 姉貴をエスコート②
俺と姉貴はオープンして間もない今大注目のショッピング施設に足を踏み入れた。
「日本初出店のお店とかコラボのお店とかもいっぱいだ。
相良グループ凄すぎ」
「至れり尽くせりだな」
何十億円という規格外の金を投資し、作られたこの施設はないものがない。
日本が世界に誇るアニメや漫画とコラボした期間限定ショップ、アニメショップ、日本初出店の海外人気ブランド、言わずと知れた超人気ブランド、デパ地下のような地下の食品街だけでなく、ペットショップ、動物カフェ、屋上のバッティングセンター、ボウリングなどの色々なスポーツアクティビティが楽しめるL1といったものまで網羅されている。
「姉貴、ここ見ようぜ」
「AJかぁ、スニーカーもいいよね
うん、行こう」
俺と姉貴は世界的に人気で中には数十万を超えるプレミア物もあるスニーカー専門店へ。
このスニーカーは俺も好きだが麗蘭も好きだ。
「姉貴、麗蘭の誕生日にここ来るのありだよな?」
「うん、あり。
デートして、選んでもらうの結構好きだからね。女子は
あと選んであげるのも好き」
姉貴は緑と黒が入ったスニーカーを手に取り、俺のジーパンと合わせる。
かっこいい。
「姉貴、どう?」
「うん、似合ってる。
そうだ、遥斗、球技大会学年一位のお祝いに買ってあげるよ」
「ありがとう、姉貴」
「いえいえ」
俺は満面の笑みを向けた。
姉貴は本当にきっぷがいい。
「ところで姉貴、結構儲かってるみたいだけど、どのくらい儲かってんの?」
「アニメが2期と映画決定して、原作売れまくり。
印税やばいんだよねぇ
先月6000万とかだった」
「すっげ」
小説投稿サイトに投稿し、徐々に注目され、一年が経つ頃にはランキング1位の座を不動のものとし、書籍化が決定した姉貴の小説は半年前にアニメ化が決定。
アニメは大注目を集め、原作の知名度はグンと伸びた。
そして、瞬く間に6000万円の印税が入る。
これぞ、ドリームだ。
「マロン、友達欲しいかな?」
「大人しいし、可愛がるんじゃない?」
「じゃあ、行こっか」
「あぁ」
「可愛い子に会いに行こー」
俺たちはペットショップへ。
「ベンガルだ〜、にゃーお」
「姉貴、ロシアンブルーもよくない?」
「この子も可愛い〜」
このペットショップは猫より犬の方が多いがそのかわり、猫は選りすぐられた子が多く見える。
「猫ちゃんをお探しですか?」
「はい、もう既にいるんですけど、お友達作ってあげようかなと」
「難しいですね、結局相性なので。」
店員さんは腕を組み、考え込む。
「大人しい子でもですか?」
「そうですね。大人しい子でもテリトリーがあるので」
「ならやめときます」
「わかりました」
姉貴は諦めた。
マロンは姉貴が高校生の頃に迎えた子だ。
姉貴がママと言っても過言ではない。
「姉貴、マロンに友達は無理そうだな」
「だね〜、まぁ遥斗が高卒でプロ行っても凛ちゃんいるから心配してないけどさぁ」
姉貴は残念そうにため息を吐いた。
「姉貴、出てくの?」
「26だからねー、もうちょいしたら一人暮らしかも。
でもー、東京だと出るメリットないからなぁ」
姉貴の言う通り、東京住みだと一人暮らしをするメリットがない。
「彼氏とはどうなの?」
「別れた」
「へぇ」
いい人そうだったが合わなかったんだろうな
「次、あの店ね」
「あぁ」
俺と姉貴は3店目へ。
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