第12話 ラッキーからのアンラッキー

「いいんですか!?」

「あぁ、減るもんじゃないからな」


こんなにも暑い普通なら外にも出たくない日に目の前の綺麗なお姉さんは満面の笑みを浮かべながらおっぱいを揉ませてくれるらしい。

あぁ、人間日々頑張っていればこんなご褒美が貰えるんだな。


「その前にこれ書いて、承諾書」

「はい!」


おっぱいを揉むための承諾書ね。

はいはい、そんなのいくらでもサインしますよ。

俺は緩み切った顔で渡されたペンを手に取る。


「ようこそ!」

「って承諾書!?」


目の前綺麗なお姉さんがニヤつく。

騙された!

俺は尻餅をつく。


「氷室てめぇ!

なんだ夢か。

何が悲しくて、トラウマの夢を見なきゃいけないんだ、なんかしたか、俺」


目の前のお姉さんは氷室だ。

俺は殴ろうとした。

だが、視界に広がるのは俺の部屋の天井。

はぁ、悪夢にもほどがある。


「歌恋、ちょっとイタズラな」


寝息を立てるのは歌恋だろう。

日頃迷惑をかけられまくっているからな。

少し揉むくらい構わないだろう。


「か、歌恋!お前!デカいな!」


俺は布団に手を突っ込み、歌恋の胸を揉んだ。

やらかい!

やらかすぎる!

なんだこの揉み心地の良さは!


「まずい!これじゃレイプだ。」

「寝てるよな?」


ハッとした俺は恐る恐る、布団で隠してる顔を見るため、布団をずらす。

歌恋のやつ、いつもは隠さないくせになんで今日は隠してるんだ。


「麗蘭!?」


布団をずらすと横で寝ていたのは歌恋じゃなかった。

俺は声を張り上げる。

やば、俺、麗蘭のおっぱい揉んじゃったの!?


「遥くん、おはよ、早いね」


麗蘭はそんなこととは露知らず、微笑む。

今すぐ土下座して謝りたい。


「朝ごはん何かな、楽しみだね」

「そ、そうだな。」


本当にすまん、麗蘭。

俺は階段を降りながら懺悔する。


「トイレお借りします」

「行ってら」


俺は麗蘭と手を振り合い別れるとため息を吐いた。

今日、学食奢ってやろ。


「遥くーん、凛ちゃんと葵ちゃん起こして来て」

「はーい」


おふくろに頼まれた俺は再び階段を上がる。


「凛〜、起きろ〜」

「今着替えてる〜」


ノックすると凛は明るい声で返す。

しっかりしてる妹だな、ホント。

それに比べてお兄ちゃんは...はぁ。


「姉貴〜」

「入るぞ」


姉貴はノックしても返事がない。

俺はドアを開ける。


「姉貴、起きろ」

「おは」


強く揺らすと目を開ける姉貴。


「あ、姉貴!下!」


起き上がり、ゆっくりと立ち上がる姉貴。

俺は驚き、声を張り上げた。(本日2回目)


「夜脱いじゃったみたい、てへぺろ」

「か、隠せよ!」


舌を出す姉貴。

俺は下に落ちていたのを渡す。

なんと、姉貴はパイパンだった。


「兄弟だし、オッケー。

それとも何、興奮した?」

「し、してねーし」


嘘です、クソ興奮しました。

俺はニヤつく姉貴から視線を外し、背を向ける。


「ふーん、童貞のくせに?」

「こ、これはちげぇ!」


姉貴は俺のアレをちょんちょん触る。

俺の顔は真っ赤になる。


「そういうことにしといてあげる」

「早くこいよ」


俺は逃げるようにドアを開け、階段を走って降りた。


「オッケー」


姉貴はニヤついているだろうな。


「その前にトイレ」


しょんべんしたくなった。

俺はリビングのドアを開けるのをやめ、トイレへ。


「シコるの?」

「違うわ!」


ニヤつく姉貴。


「あ、ごめん、歌恋」


トイレを開けると歌恋がしていた。

俺は苦笑いを向ける。


「は、遥斗〜!!!」


歌恋は顔を真っ赤にしながら立ち上がり、思い切り俺の頬をビンタした。

投手らしいスナップの利いた素晴らしいビンタだ。


「フン!」

「痛って!」


俺が倒れると歌恋はまだ怒りが収まらないようで俺のアレを蹴り飛ばす。

俺は昇天した。

今日は最悪の一日になりそうだ。


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