第35話 お泊まり2 プロローグ

渋谷から帰って来た俺は早速鈍った下半身を鍛えるため、走っていた。

今日からまず10km走ってみよう。


「そろそろ歌恋達帰ってくるな」


8kmほど走り、息が上がって来た。

時刻は6時半過ぎ。

俺は膝に手を当て、辺りを見渡す。

この辺は歌恋達の通学路だ。


「あ、遥斗〜」

「ただいま」

「今日お泊まり〜」

「にぃに〜」

「よ、お疲れ」


少しすると予想通り、歌恋、麗蘭、風夏、凛が現れ、手を振る。

俺は手を振り返す。


「凛、大丈夫?」

「うん」


笑顔を向けて来る凛。

俺はホッと胸を撫で下ろす。

そして、俺たちは雑談しながら帰宅した。


「マロン〜」

「みやぁ〜」


玄関で靴を脱ぐと凛にスリスリするマロン。

凛はギュッと抱きしめる。

本当に元気になったみたいだ。

俺たちはその光景を微笑ましいと思いながら見つめる。


「凛ちゃん、元気になったみたいね」

「あぁ、ホントによかった」

「ね」


部屋で着替えていると姉貴が入って来る。

俺と姉貴は微笑み合う。


「ご飯食べるよ〜」

「はーい」


麗蘭に呼ばれた俺は姉貴と勢いよく降りる。

この後、あんなことが起きるなんて知る由もなく。

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