概要
新婚の妻がダブルベッドで見知らぬ女の死体を見つけた夜に夫は帰らない
杏奈は殺人事件のあとはじめてダブルベッドで寝たが、もちろん眠れるはずもなかった。
真夜中をすぎても、暗闇の中でますます目がさえて、窓の外の通行人の足音や遠くの車のタイヤのきしむ音などが、耳元ではっきりと聞こえた。
ひと月前に結婚したころは、身も心も彼が大きく包み込んでくれたが、今ではだれひとり守ってくれるひとなどいない。
・・・不安で心細い。
それでも、いつの間にか知らずに眠ったのだろうか、カチャリと玄関の扉を開錠する音で目が覚めた。
【ダブルベッドに死体がひとつ(最終章)から】
「空き部屋なのにひとが住んでいるみたい・・・」
同じことを思ったのか、杏奈ひとり言のようにつぶやいた。
その時、傍らの可不可が唸り声をあげ、袖を咥えて猛烈な勢いで引っ張った。
引きずられるようにして中廊下に出ると
真夜中をすぎても、暗闇の中でますます目がさえて、窓の外の通行人の足音や遠くの車のタイヤのきしむ音などが、耳元ではっきりと聞こえた。
ひと月前に結婚したころは、身も心も彼が大きく包み込んでくれたが、今ではだれひとり守ってくれるひとなどいない。
・・・不安で心細い。
それでも、いつの間にか知らずに眠ったのだろうか、カチャリと玄関の扉を開錠する音で目が覚めた。
【ダブルベッドに死体がひとつ(最終章)から】
「空き部屋なのにひとが住んでいるみたい・・・」
同じことを思ったのか、杏奈ひとり言のようにつぶやいた。
その時、傍らの可不可が唸り声をあげ、袖を咥えて猛烈な勢いで引っ張った。
引きずられるようにして中廊下に出ると