第42話 キックボード

 私たち3人はライナルの街を目指して歩いている。

 しかし10歳の子供連れだ。

 子供の歩みは遅い、なかなか思うようには進まない。

 はたして今日一日歩いてどれだけ進めるのか。


 なにかいい手はないかしら?

 そうだわ?!

 私はあるものをストレージの中で『創生魔法』を使い3つ創った。


〈〈〈〈〈 ドン!! 〉〉〉〉〉


「レナおねえちゃん、これはなあに?」

「これはねえ、キックボードというのよ」

「キックボード?」

「そうよ、ここにこうして足を置いて、もう片方の足で漕いで…」

 私は2人に説明をする。

「さあ、やってみましょうか?。さあ、いくわよ~」


 ガラガラ、ガラガラ、ガラガラ、ガラガラ、

 ガラガラ、ガラガラ、ガラガラ、ガラガラ、

  ガラガラ、ガラガラ、ガラガラ、ガラガラ、


 おぉ、これは?!

 断然に早い。

「わ~おかあさん、早い!楽しい~」

 ヨランデちゃんもこれなら遊び感覚で漕げるみたいね。

 これで早く着けるかな。


 途中、何度が休憩を入れて進む。

 テーブルを出しお茶を飲みながら進んで行く。


「まるで夢のようです。こんなに快適に旅ができるなんて」

「そう言って頂けると嬉しいです。エルミナさん」

「普通は旅といえば野宿で食べ物も大変なのに…。お茶を飲みながら進めるなんて」

「さあ、もうすぐ日が暮れます。今夜も野営の準備をしましょうか?」

 そういうと私はログハウスを出すスペースを作るために、道沿いの木々を収納する。


「本当に凄い能力です。これだけでも生活できそうですね」

「それが意外と使い道が無いものですよ。さあ、中に入りましょうか」

 私たちはログハウスの中に入った。

 その夜は夕食を食べお風呂に入り窓から星を眺めた。

 なんてのどかなんだろう。

 そしてこれから私はどこに行こうとしているのか、つい考えてしまう。


 朝がやってきた。

 ログハウスを収納しキックボードで走り出す。


 さあ、いよいよライナルの街に到着。

「あれがライナルの街です」

 城壁に囲まれ大きそうな街ね。

 門の入口に私たちは並び順番が来るのを待っている。


 すると突然、後ろから声をかけられた。

「あの~、すみません」

 振り向くと50歳くらいの商人風の男性だった。

「呼び止めてすみません。私はこの街で商人をやっております、サンドロと申します。つかぬことを伺いますが、お三方が乗っているその器具はなんでしょうか?}


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