第39話 最低限、必要な環境

 う~ん。寝落ちしてしまった…。

 まあ、特に急いではいないので良いけど。


 雨かしら。

 窓を開けるとやはり雨が降っていた。

 この世界ではガラスは貴重で、窓は基本は木戸できている。

 そして雨の日もあるので、窓や玄関の上には軒下が付いている。

 これで開けても濡れません、ということね。


 あれ?

 何か外で話声がする?


 顔を出してみると玄関に誰かいるみたい。

 野盗とかなら困るなけど。

 よく見ると20代後半の女性と、10歳くらいの女の子が玄関に立っていた。

 服はずぶ濡れみたいね。

 可愛そうに…。


 トンッ!!トンッ!!


 するとドアをノックする音が聞こえる。


 はい、はぁ~い!!


 私はそう答え、玄関に向かう。

「どちらさんで?」

 怪しい人だと困るので、私はわざとお爺ちゃん風に答える。


「雨が凄くて娘が寒がっておりまして。中で雨宿りをさせてほしいのですが」

 嘘ではないみたいね。

「わかったわ。さあ、どうぞ」

 私はそう言ってドアを開けた。


 あっ!!

 ドアを開けると女の人は驚いていた。

「どうされましたか?」

「いいえ、なんでもありません」

 まさか本当にお爺ちゃんが居ると思ったのかな?

 そんなことはないよね?


「まあ、ずぶ濡れですね。よかったらこれをどうぞ」

 そう言いながら私はタオルを2枚親子に渡した。

 タオルと言っても綿などではなく、一年草などの茎を使って編んだものだけどね。

 ゴワ、ゴワだし。


「ありがとうございます。ハクション!!」

 女の子も鼻をグズグズしている。

 外に居たからさぞ寒かったでしょう。

 体を温めないといけないわね。


 少しでも暖かくなればと思い、暖炉に着火石を使い火を点けようとした。

 カチ、カチ、カチ、

  カチ、カチ、カチ、


 駄目だ。

 火が付かない…。


 買ったはいいけれど今まで石を打ち付けて、火を起こしたことなんてなかったから。

「あの~、宜しければ私がやりましょうか?」


 見かねた女性が声を掛けて来る。

「えぇ、お願いできますか」

 着火石を渡すと器用に女性は火を点けた。


「さあ、点きましたよ」

「あ、ありがとうございます。さあ、もっと近くに来て温まってください」


 こんな時、お風呂に入れればね。

 あぁ、そうだ!!良いことを思い付いた。


 ストレージ内に【ゴミ箱】機能があることに最近気づいた。

 これを応用すれば。


 私は居間の一部屋をストレージに収納し、『創生魔法』で風呂場を創った。

 そして収納してある気を使いお風呂を創り設置した。

 排水はストレージに繋げれば、これで排水問題も解決!!

 部屋が一部屋なくなったけど、お風呂は必要ね。


 まずはお湯にする時は暖炉の火と収納してある小川の水をストレージ内で温める。

 浴槽にお湯を入れる。

 やった~!!これなら毎日でもお風呂に入れるわ。


 それならトイレも…このやり方で…。

 解決!!


 良かったわ!

 生前の記憶が抜けない私は風呂無し、『おまる』生活にはどうしても慣れなかったから。


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