第41話 出発

 う~ん。

 翌朝、目覚めるとすっかり雨は上がっていた。

 晴れ間がでて天気も良さそうだ。


「おはようございます!エルミナさん、ヨランデちゃん」

「おはようございます、レナさん」

「レナおねえちゃん、おはよう!!」

 私は昨日一晩考えたことを実行した。

 まず濾過槽をログハウスの裏に創り鉱石を使い水道管を配置した。

 これで水道の蛇口を捻ればろ過された水がでてくる。


「さあ、顔を洗って食事にしましょうか?」

 エルミナさんたちは朝、顔を洗う習慣がないのか戸惑っている。

「まずは私から洗いますね」

 そういって見本を示す。

「うわ~、冷たい!!」

 ヨランデちゃんが声をあげる。


「朝食は昨晩と同じスープとパンになりますが食べましょうね」

「まあ、そんな贅沢はいいません。朝食までいただけるなんて。本当に何から何までありがとうございます」

 あっ、そうだった。

 この世界では食事は生きるためであって、食事を楽しむなんて考えるのは余裕のある富裕層だけだったわ。


「晴れてよかったですね。これなら出発できそうです」

「色々とお世話になりました」

「あ、いえ、お構いもできませんで。私も出発しようと思いますが、目的地がありませんからエルミナさんたちが目指すライナルまでご一緒することにしましょうか」

「えっ、でもそれでは…」

「こうみえてもDランクの冒険者なんですよ。旅のお役には立ちますから」

「ありがとうございます。実はこの子と2人なのは不安でしたので助かります」

「私も色んなところに行ってみたいので構いませんよ」

「わぁ~い、レナおねえちゃんと一緒だ~!!」

「よかったわね。ヨランデ」

「うん、嬉しい~」

「では朝食を食べ終わったら出発しましょうか」


 朝食を食べ終わり私たちはログハウスの外に出た。

「ではいきますか」

「あの~、レナさん。家の鍵は閉めないのでしょうか?」

「あぁ、見ていてくださいね。それっ収納!!」

 吸い込まれるようにログハウスが消えた。


「あっ!!おかあさん、家が消えたよ」

「レナさん、これは…」

「私のスキルです。これがあればどこにでも家を出せるので、家に帰ってくる手間がなくていいんですよ」

「レナおねえちゃん、凄い~!!」

 まあ、普通は家は持ち運びができないので、家に帰ってくるんだけどね。


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