第40話 雨
しと、しと、しと、しと、しと、
しと、しと、しと、しと、しと、
しと、しと、しと、しと、しと、
雨は中々、止みそうにない。
夕方になり辺りは暗くなってきた。
今夜はここで泊りね。
「さあ、お風呂に入って体を温めてください。そのままでは風邪を引きますよ」
「いえ、ですがお風呂なんて入ったことがありません」
「大丈夫です。教えますから」
「あ、ありがとうございます」
「今日は雨も止みそうもないし、もう遅いから泊まって行って下さい」
「いえ、でもそこまで甘えるわけには…」
「まあ、そういわずに。お子さんが風邪を引いてしまいますよ」
「ではお言葉に甘えて泊まらせて頂きます。申し遅れました私はエルミナ、この子は娘のヨランデです。さあ、挨拶をしなさい」
「こんにちは」
ヨランデちゃんははずがしがり、おかあさんに抱き着いた。
「まあ、この子ったら。もう10歳だというのにまだまだ子供で」
「仕方ありませんよ。私の名はレナです、よろしくお願いいたしますね」
「こちらこそ、よろしくお願いいたしますレナさん」
「ではお風呂に入りましょうか。タオルと石鹸は、と」
エルミナさんたちの服は濡れているので、私の予備の服を着てもらうことにした。
子供用の服はないのでヨランデちゃんには大きいけど我慢してね。
「はいどうぞ」
突然、何もないところからタオルがでてきたので、エルミナさんたちは驚いている。
「これを使ってくださいね」
「は、はい。ありがとうございます」
そして風呂場に入り使い方を説明する。
まあ、たいした説明じゃあないけど。
よお~く温まってね。
「いいお湯加減でした。こんなにさっぱりするなんて」
「ヨランデちゃんも温たまった?」
「うん、体がホクホクしてるよ」
「それにあの石鹸は良い匂いがしますね。はじめて使わせて頂きました」
「喜んでいただけでよかった」
「では髪を乾かしましょうか」
「え?乾かすのですか」
「じゃあ、最初はヨランデちゃんからね。こちらにきて」
そういうと私は鏡台の椅子に座わらせた。
「じゃあ、いくね」
ゴォ~~!!
「あ、暖かい!!」
「これであっという間に乾くからね」
私は空気を収納し、ストレージ内の火で温めて噴射した。
「はい、出来上がり。今度はエルミナさんね」
「あ、ありがとうございます」
この世界の人は髪が長い女性が多い。
きっと理容費がかかるからかな。
だから髪の毛が長いエルミナさんの方が、時間がかかるから後にしたの。
なんだかこうしていると家族のような気になる。
久しぶりにほのぼのとした気持ちになった。
その晩は部屋が一部屋しかなくなったので、エルミナさんたちには居間で布団を敷いて寝てもらった。
おやすみなさい、また明日…。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読んで頂いてありがとうございます。
面白いと思って頂けたら★マーク、♥マークを押して応援頂くと励みになり嬉しいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます