第31話 グレタ公爵

スナイパーライフルの試し撃ちも終わり再び進みだす。


やがてラルフの街が見えて来た。

城門を通してもらいグレタ公爵家に向う。


しかし街中を通るマドック公爵の一行は余りにもみすぼらしかった。

馬車二台に対して護衛の騎士が六人。

冒険者らしい女性が一人。

考えられないくらい、バランスが悪い。


街を行く人達はそのみすぼらしさに目を向いた。

どこかの貧乏貴族さ、と陰で笑う者もいる。


グレタ公爵家の前に着き執事のカドマスさんが、門番に到着の報告をする。

護衛が少ないので門番が不審に思いどうしたのか聞かれ、ブラッディベアに襲われたことを説明する。


「ブラッディベアですと!!それは一大事です。騎士団に報告しないと」

「安心してください。もうブラッディベアは我々の手で倒しましたから」

「倒されたと!!あの高位の魔物を…。さすがは公爵様の護衛ですね」

「その代わり護衛の兵士を失いました」

「そうですか。それはお悔み申し上げます。さあ、どうぞ。こちらになります」


門番の許可がおり中に入る。

庭がとても広くマドック公爵のお屋敷にも負けないくらい広い。

貴族ってこんなに広い屋敷が必要なのだろうか?

掃除が大変そうだな。

その分、人を雇えばお金が掛かるのに。

なんて、くだらないことを考える。

それがきっと貴族のステータスということね。


屋敷の中に入った私は公爵達と別れ、侍女、騎士と一緒の部屋に案内される。

その間にグレタ公爵家で今夜の宿の手配をしてくれている。

宿屋の手配も現地に着いてからなんて不便な世界ね。


晩餐会は夜になり、それが終わるまで私達はここで待機することになる。

まだ陽も高く始まるまでには時間がありそうだわ。

来賓らいひんが段々とやってきている。

暇だ…。

屋敷の中を探索するのもいいわね。


私が許可をもらおうと立ち上がった時だった。

ドアが開きグレタ公爵の侍女が入ってくる。

「レナ様はいらっしゃいますか?」

「はい、私です」

つい、以前の癖で手をあげてしまう。


「グレタ公爵がお呼びです。どうぞこちらへ」

そう言われた私は侍女に案内され長い廊下を歩く。



コンッ!コンッ!

「レナ様をお連れ致しました」

「うむ、入ってもらってくれ!」

「こちらになります」

ドアを開けてもらい中に入ると、そこにはマドック公爵と50代前半の紳士が居た。


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