第3話 初めての魔物討伐

 私は街道筋を歩いている。

 今日は天気も良くて暖かい日だ。

 歩きながら練習を兼ねて【鑑定】を使い薬草などを採取していく。

 採取用のシャベルがなくても、ストレージで収納すれば手が汚れず便利だわ。

 薬草があると言うならポーションを創っておこうかな。

 いざと言う時に役に立つからね。


 そう思い私はストレージの中で魔力を練り込みポーションを創ることにした。

 入れ物は木材をくり貫いて、小説で読んだようなポーションの入れ物を創った。

 まあ、どこまで効くのかはわからないけどね。




 しばらく歩いて行くと何かが争う音がした。

 見ると馬車が一台止まっており魔物に襲われているようだった。


 護衛の人と思われる人が二人、盾と剣で魔物と戦っている。

 そして40歳くらいだろうか。

 商人らしい小太りの男の人が馬車の上でうろたえている。

 馬車を引いている馬も攻撃されたようで、馬車を動かすことが出来ないみたい。


 あれ?他に護衛の人は居ないのかしら?

 しかし馬車一台に対して護衛が二人は少ないわね。



 念のため【鑑定】

『ダイアウルフ

 ランク上位の獰猛な恐狼。

 魔力を取り込んで強化されたその身体能力は高い。

 野太く耳障りな吠え声。全身を覆う、夜のような群青色の毛。

 鉄ですら噛み砕けるほどの発達した歯。

 ギザギザの恐狼の歯は、鋭い先端を持った武器。

 その攻撃性は非常に高く縄張り内に踏み込んだ者は、何者であれ優れた追跡能力で追いかけられ仕留められる。


 体格は大きく、成人男性の平均よりも総じて重い。

 大きい個体の体重は百キロを越す。

 その重さを支えるために、四肢は太く筋肉が付いている。』



 奇麗な群青色の体毛て、そこじゃないわ。

 全然、強いでしょ。

 でもどうしよう?

 私は戦ったことなんかないから。

 護衛のお二人さん、頑張って~!!

 と、数十メートル離れた木の陰から顔を出して応援する。

 私はストレージを使い音の空気を揺らす振動を収納し、距離があっても会話を聞くことが出来ることを思い付いた。



「ぐゎ~!!」

 護衛の一人が魔物の攻撃を受け倒れる。

「も、もう駄目だ。パウロさん、逃げてください!!」

 護衛の人が商人にそう叫ぶ。

「む、無理だ。逃げきれない…」


 し、仕方がない。

 この距離なら石のつぶてを飛ばす、ストーンバレットを考えたけど精度が…。

 他の人を巻き込む可能性があるわ。

 ではどうすれば…。


 そうだ!

 私はストレージに収納し、圧縮していた空気をダイアウルフの頭上から排出した。

『パンッ!!』

 ダイアウルフの頭に当たった圧縮した空気は炸裂音と共に消えた。

 ガウ?

 炸裂音に驚きダイアウルフは空を見上げる。

 いまだ!!


 私はダイアウルフの数十メートル頭上に、ストレージの排出口を定め『石の剣』を

 排出する。

 剣は自身の重みで加速し見上げたダイアウルフの口から体に突き刺さる。

 グァツ!!


『グァ~~!!』


 後二本足で立ち口から、串刺しにされたダイアウルフは一声泣き息絶えた。

 重くて扱えない剣なら、その重みを利用すれば良いことを思い付いたのだ。


 ストレージはとても便利!!

 中二病の発想と空想力次第で最高に役立つ。


 こうして初めての魔物討伐は終わった。

 ある意味、影からこっそり攻撃するなら強さは関係ないのでは?と私は思った。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 読んで頂いてありがとうございます。

 面白いと思って頂けたら★マーク、♥マークを押して応援頂くと励みになり嬉しいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る