第37話 お約束は一人では…

 住宅屋のオーナーにうながされ、ログハウスの中に入った。

 中は木の良い匂いがする。


 作りは居間が10畳くらい、6畳の部屋が2つ。

 その他に台所スペースがある。

 風呂は無くトイレも……。


 この世界では水は貴重だから、お金持ちでもない限りはお風呂に入る習慣がない。

 しかも下水が無いから排水が出来ない。


「これにします。おいくらですか?」

「新築なら1,500ベーロ(1,500万)だが、展示品だから1,300万で良いよ」

 う~ん。得した感が無い。

 仕方ないか。

「では、もらっていきますね」

 私はそういうとお金を払い、ストレージにログハウスを収納する。

「「 まいどあり~!! 」」


 オーナーと店員さんに見送られ店を後にする。

 家の中で寝るなら寝具や家具は必要ね。

 そう思い私は午前中、街で買い物を楽しんだ。


 家に住むというのは意外と必需品があってお金が掛かるものね。

 でもこの世界に来てからお金が貯まるばかりで、使うことがなかったからいいストレス発散になったわ。



 いよいよ、この街ともさようならね!


 マドック公爵に別れを言った方が良いかしら?

 でも引き留められるのが目に見えているからやめておこう。


 さあ、出発!!


 私は城門を出て街道を歩く。

 昼間なのに空には薄っすらと大小の月が2つ浮かぶ。

 ここはどんな惑星なのかしら?


 途中お腹が空いて来た。

 時間的に昼頃かな?


 街道横の道の木々をストレージで収納し休憩スペースを作った。

 そこにテーブルと椅子を出し、街で購入したスープを食べる。

 景色を眺めながら食事を始める。

 まるでピクニックみたい。


 しばらくそこでくつろいでいると、護衛に守られた乗り合い馬車がやって来た。

 パカ、パカ、パカ、パカ、

  パカ、パカ、パカ、パカ、


 通り過ぎる際に御者ぎょしゃや護衛の人にガン見された。

 それはそうよね。

 道沿いでテーブルを出し椅子に座り、食事をしているなんて。

 こんなところまでテーブルを持って来たの?なんて思われるわね。


 なんだかご飯を食べたら眠くなって来たわ。

 お昼寝でもしようかしら。


 私はそう思い道の脇の木々を更に大きく収納し、ログハウスが出せるスペースを作った。

 そしてログハウスを出す。


 それ!!


〈〈〈〈〈 ドン!! 〉〉〉〉〉


 トンッ、と私は軽くジャンプした。


 飛んでは見たものの一人で飛ぶお約束は寂しかった…。


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