第34話 ワイバーン
進路方向に空飛ぶ魔物がいる。
商隊が襲われ冒険者が戦っていることをマドック公爵に伝えた。
すると『なんとかなりそうかね?』と言われた。
「そう言われましても…」
「このままではいずれ、他に犠牲が出てしまう。何とかできないものか…」
「こんな時、誰かが居れば…」
「絶対的な強者よ、来たれ~」
マドック公爵は私の方をチラチラ見ながら、一人で何かを言っている。
わかりましたよ、やればいいんでしょ。
私はスナイパーライフルМ110改のスコープを覗き込む。
まずは頭を狙ってと…。
バンッ!!
弾は当たったけど魔物はふらつきながらも健在のようだ。
弾かれた?!
頭部は硬いのね。
それなら腹部はどう?
魔物は警戒したのか、上空に舞い上がる。
それ!!
「「バンッ!!「「バンッ!!「「バンッ!!「「バンッ!!
「「バンッ!!「「バンッ!!「「バンッ!!「「バンッ!!
「「バンッ!!「「バンッ!!「「バンッ!!「「バンッ!!
「「バンッ!!「「バンッ!!「「バンッ!!「「バンッ!!
「「バンッ!!「「バンッ!!「「バンッ!!「「バンッ!!
腹部や翼の被膜に『硬弾』が当たる!!
特に皮膜は貫通している。
「ギァォ~~~ン!!」
魔物は叫び声をあげ落ちて来る。
これならいけるわ!!
私は威力をあげるために、魔物に近付いて行く。
魔物は地に落ち、もがいている。
馬車や冒険者の人達はすでに逃げている。
それなら遠慮なく。
私はライフルを単発からフルオートに切り替えた。
「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!
「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!
「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!
「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!「「ドドドドッ!!
これだけ距離が近く魔物も大きいから、フルオートでも簡単に当たるわ!!
それ、それ、それ~~!!
もういいかしら。
魔物の鳴き声もしなくなった。
〈〈〈〈〈 テレレレッテッテッテー 〉〉〉〉〉
『レナはレベル15から24へレベルUPした。【スキル】魔弾を覚えた』
ふぅ~。やっと終わったわ。
私は魔物に近づく。
そこにはビルの二階くらいはある大きな魔物が横たわっていた。
この魔物は何かしら?
それ、スキル【鑑定】
名前:ワイバーン
種族:飛竜
レベル:41
特徴:ドラゴンの頭、コウモリのような翼、ヘビの尾を持つ。
赤い舌が伸び炎を吐く。
まあ、あれがワイバーンなのね。
私が眺めている間にマドック公爵の馬車がやって来た。
「いや~、やっと追いついたよ」
そう言いなが公爵が馬車から降りて来る。
「しかし大きな魔物だね。なんという魔物だろうか」
「ワイバーンです。こんな大きな魔物は頻繁に出没するのですか?」
「そんな訳がないだろう。ワイバーンか、初めて見たよ。しかしブラッディベアと言い魔物が活発化しているようだ。何かの予兆か?戻ったら警戒するように騎士団に伝えよう」
そうだろうね。
こんな上位の魔物が頻繁に出没したら、旅なんて安心していけないよ。
「ありがとうございました。ありがとうございました」
商隊の責任者なのか、人がやって来た。
話を聞くとラルフの街に向っている所だったという。
突然、影が差したと思うとワイバーンが襲ってきたという。
目当ては人のようで、護衛を咥えて行こうとしていたらしい。
「こんな怖い思いをしたのは初めてです」
「安心してください。ワイバーンは討伐されましたから」
そう私は答える。
すると商隊の一人が、公爵に話しかける。
「御貴族様、その女性は…。さすがは御貴族様の騎士様です。ワイバーンはA級の魔物です。それをお一人で倒せるなんて、聞いたことがありません」
すると冒険者の一人がこう言いだした。
「ドラゴンバスターいいえ、ドラゴンアーチャーの誕生をこの目に焼き付けました」
そうなんだ…。
あはは!!
しかも弓矢(アーチャー)ではないし、スナイパーですよ私は。
まあ、銃なんていってもわからないだろうけど。
なんだか段々と平穏な生活が出来なくなるような気が…。
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