第38話 来訪者
ザザァー、ザザァー、ザザァー、
ザザァー、ザザァー、ザザァー、
ザザァー、ザザァー、ザザァー、
ザザァー、ザザァー、ザザァー、
「酷い雨降りになって来たわね」
「おかあさん、寒いよ~」
「こちらに来なさい」
私はそういうと幼い娘を抱き寄せる。
タラスの街で暮らしていたけど、夫が炭坑の事故で亡くなり働き頭を失った。
私と娘は路頭に迷いタラスの街から、2~3日のところにある東の街ライナルの親戚を頼ることにした。
軒下だけでも貸してもらえれば、後は頑張って仕事を探すしかない。
朝の天気は曇っていたけど、もう一泊できる余裕はなかった。
お金にも余裕がないので、無理をして街を出たのに。
でも、まさかこんなに降るなんて…。
街道の木の下で雨宿りをしているけど、ずぶ濡れになってしまう。
こんなことならもう一泊、どこかで野宿してから街を出ればよかった。
それに雨が止んでも水たまりがたくさんできている。
地面がこれだけ濡れれば、野営で横になることもできそうもない。
いったい、どうしたらいいのかしら。
シトシト、シトシト、シトシト、シトシト、
シトシト、シトシト、シトシト、シトシト、
シトシト、シトシト、シトシト、シトシト、
シトシト、シトシト、シトシト、シトシト、
「さあ、少し小降りになってきたわ。今のうちに少しでも前に進みましょう」
私は娘にそう声をかけた。
そして水溜りの中を雨に打たれながら歩いて行く。
するとどうだろう。
街道沿いに平屋の家がポツンと一軒建っている。
まさか、こんな道沿いに誰が…。
街から外に出ると野盗や魔物が出ることが多い。
そのため、人々は城壁の中で暮らし一生、外に出ることはない人も多い。
村規模なら木の柵を作り、外敵に備えることが出来るのに。
一軒だけではそれもできないから、街の外には村以外は人は住んでいないのに。
でも逆に助かったわ。
「さあ、ここの軒先で雨宿りをさせてもらいましょう」
「はい、おかあさん。クシュン、クシュン、」
「まあ大丈夫、ヨランデ?風邪を引いたのかしら?」
「さ、寒いよ。おかあさん」
「待っていて、この家の人に頼んでみるからね。ちょっと待っていてね」
そう私は娘に言うと家のドアを叩いた。
こんなところに家を建て住んでいるなんて。
良い人だといいけど…。
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