SS2: 勉強会

 高校2年の春休み。試験が終わった2月28日から学校が休みになり、浮かれた状態になっていたが、学校の課題があまりにも多く、少しずつ進めないと後で大変なことになると美奈からアドバイスをもらった。


 今日は、午後から片山と遊ぶ約束をしているため、午前中のうちに決めたところまではやりたいところだ。


 課題をやるといったら美奈も一緒にやるということでこうしてリビングでやっている。


「悠斗くん、そこ、間違えてる」


 数学を問題を解いていると隣に座っている美奈から指摘された。


「えっ、どこ?」


「ここだよここ」


 どこを間違っているか教えるため美奈は、俺の法へグイッと寄ってきた。


 近い近い。そんな寄らなくてもわかるから。美奈がどこを間違っている教えてくれているが、美奈から甘い香りがしていることが気になりすぎて全く内容が入ってこない。


 聞いていないことに気付いたのか美奈は、俺の頬を引っ張ってきた。


「聞いてるー?」


「聞いてる聞いてる」


 匂いとその密着していることが気になりすぎて全く聞いてませんでした。とは言えず聞いてると言ったが、つねっている手に力をかけてきた。


「痛いんだけど……」


「教えてるっていうのに全く聞いてないことと、聞いてるって嘘ついた罰だよ」


 優しい罰だな……。あんまり痛くないし。


「ちょっと休憩しない? 私、なにか飲み物持ってくるよ」


 そう言って美奈は、イスから立ち上がりキッチンに行く。


 数分後、美奈は両手にマグカップを持って戻ってきた。


「はい、どうぞ。キャラメルラテだよ。熱いかもしれないから気をつけて」


「ありがとう。……美味しい」


 ゆっくりと少しずつ飲む。体が温まった少し温まった気がする。

 春が近づいているといってもまだ寒い日が続いていた。


「悠斗くんは進路決まってる?」


「まぁ、一応……。経済学部のある大学に行こうとしてるかな。行こうと思ってる大学は家から遠いから一人暮らしする予定かな」


「へぇ~一人暮らし……えっ、一人暮らしってことは家出ていくの!?」


 美奈は、バッと立ち上がり俺の肩をガシッと掴んだ。


「えっ、そんな驚くこと?」


「そりゃ驚くよ。ってことは再来年には悠斗くんと離れて暮らすっこと?」


「そうなるね……」


 そう言った瞬間、美奈は俺に抱きついてきた。物凄い勢いで来るものなのでイスから落ちそうになる。


「ちょ、美奈?」


「行かないでとはさすがに言えないから。今、悠斗くんが近くにいるうちにもっと甘えておこうかと……」


 まだ決まったわけじゃないんだけど……。けど、高校を卒業した後、どうなるかなんてわからないし、この1日を当たり前だと思わず、美奈と過ごす時間を大切にしないとな。






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