48.小休止
「ナイスラン奏歩ちゃん」
休憩タイム、まず真っ先に信子が奏歩を労った。
「奏歩は宇宙から地球目掛けて落ちてくる隕石だよ。勢いが凄い」
雄がおどける。
「奏歩ちゃんには絶対追いつけない」
「信子のパスを期待して走ってんだよ」
「私もまず奏歩ちゃんの位置を把握してからリバウンド行ってる」
「おいおい両思いかい、お2人さん」
雄がちゃちゃを入れるがそれほど奏歩信子ペアのコンビプレーはしっくりきていた。
「地道だけど、凛はナイスディフェンスするよね」
るみがスコアブックを眺めながら言った。凛は見ていてくれた人がいたことに感激だった。
「スコアブックを見るとね、凛は特に目立ってないのよ。空欄ばかりで。でもオフェンスのきっかけを作っているのはいつも凛なわけ。影の功労者だよ」
「ありがとう。後半も見ていて」
るみは5人のタオルを見分けていたり給水ボトルをきっちり冷やしていたりと細やかな気遣いが素晴らしいと凛は思った。るみこそ影の功労者だよ。
1人心強い味方がベンチにいるとテンションがあがる。かっこいいとこを見せたくなる。応援の声出しだって1人なのに恥ずかしがらずにやっている。
あたしたちチームは6人だ。
このチーム最高かもしれない。
1回戦から3回戦では感じられなかった感情が込み上げてきた。ふつふつと胸の中が沸くような高揚感を感じた。
今まで走るのは嫌で仕方なかった。バスケ自体もシュートがきまると気持ち良いなくらいの認識だった。
それが、どうしたんだろう。なんだろうこの気持ち。あたしバスケ好きかもしれない。
今永遠に走り続けられるような気がする。ハイになってる。
ボールを持つ奏歩がとてつもなくかっこよく見える。おかしいな。目悪くなったかな。
奏歩が輝いて見える。雄は隕石って言ったけど、麻帆さんは以前蛇座って言ったけど奏歩は本物の流れ星だよ。
あたしたちを、高見にまで引っ張っていく希望の彗星。
どうしよう。あたし何かおかしいな。あれ? 感動してるのかな?
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