第3章
36.ウィンターカップ。1回戦
ウィンターカップが巡ってきた。新1年生チームとしては初出場の舞台である。気合いは十分。練習も十分つんできた。雄率いる三波第3中学は村上先生の期待も背負って燃えていた。
木枯らしが吹く寒い冬。お揃いのウィンドブレーカーをきて6人と1人は綾波中学の体育館に現れた。バスケットボールを6個担いでいるだけでも大した迫力であった。試合は綾波中学のコートを借りておこなわれる。
1回戦。同市内の青山中学と対戦である。青山中学の部員数は10名程度。実力は、小浦中学よりは強いが中の下あたりとの噂であった。勝てるだろうな。凛は思っていた。
青山中学のウォーミングアップを覗き見しつつ、全員の身長差を比べてみる。信子、雄の方が断然上だ。足のふくらはぎを観察する。まあまあ走ってきてはいるだろう筋肉のつきかただったが、山本学園の強敵たちと比べると見劣りする。凛は相手の偵察を終えた。
試合が始まった。試合は、奏歩中心に回った。狙う狙う。奏歩はオールコートでディフェンスにつき相手の隙をつきまくった。ガンガン狙う。相手はあわてふためきボールを守ろうと必死になる。
青山中学全員がハーフコートラインまで上がってきた。が、奏歩がぴったりと相手のガードをマークしてパスはおろかドリブルすらさせないほどにきつくあたった。奏歩以外のメンバーはこぼれ玉を狙いまくった。
結局試合は、ハーフコートラインをほとんど跨がせないでほぼ奏歩がレイアップシュートをきめて終わった。凛たちは呆気にとられた。全然バスケらしくないじゃん。勝ってはいるが何となくつまらない。もっと強い相手を求めてしまう。ハンドリングのレベルの差がでた試合だった。40分のゲームで点差は80と大いにひらいた。1回戦は黒星で、三波第3中学は体力も削られず青山中学に屈辱を与えて終わり、という結果になった。
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