15.Cチーム。3on3
一旦休憩、水分補給。せっかく男子で人数が増えたので3on3をすることになった。女子チームは赤のビブス、男子は無し。ハーフコートの勝負だ。
「まずは基本の動きを説明するわ。3対3だからポジションは関係ない。トップにたった人がボールをもち、残りの二人がミートする。ディフェンスの裏をかいてパス回しをうまくやること。中央が空いたら躊躇せず1対1をしかけなさい。といってもあなたたちはまだスリーポイントが打てないからドライブでぬくこと。中央にディフェンスを集めて外へとパス。パスをもらったらワンドリブルでジャンプシュート。できるわね?」
村上先生は無茶をいう。ジャンプシュートなんてまだ練習していないのに。
「とにかく動き続けることよ。もちろんできるならスリーを打っても構わないけどリバウンドはとることね」
3on3が始まった。流石に男子は強い。女子たちは全然ゴールできないでいた。それどころかドリブルをスティールされまくりだ。
だが奏歩は違っていた。ドリブルをうまく使って一人抜くと次のディフェンスが奏歩をマークする。パスすることを覚えた奏歩はフリーになった麻帆へパス。麻帆は言われた通りワンドリブルで斜め45度からの一番率の高いシュート。入った。
なかなかの底力を見せつけた。抜かれた男子は悔しげだ。雄も男子相手だとディフェンスの遠慮がない。体を当ててセンターラインにきた男子のシュートを阻止していた。勝負は五分五分。奏歩のシュートミスが目立つが身長の高い信子がリバウンドをとりゴール下からシュート。入った。
凛はまだ活躍できていない自分に焦っていた。男子のディフェンスはきつく、ミートでパスをもらえない。スリーポイントラインのあたりをうろうろするばかりで体力だけが削られる。だが凛の特技は相手の観察と状況判断。ドリブルもパスもシュートも苦手だが、相手の弱点を見抜く眼力があった。
凛に張り付いている男子は左ドリブルが苦手。だから凛はあえて右側を守り男子が左ドリブルをするよう仕向けた。予想どおりおぼつかない。一瞬の隙をみてスティール。うまくいった。ボールは凛の手に渡った。そこでゲーム終了となり得点は男子相手に12対10。凛は自分が冷静に判断できるという特技に気づいた。オフェンスよりディフェンス向きだ。弱点がわかる。ちょっと楽しい。村上先生から集合がかかった。
麻帆は村上先生と伊東先生のコンビをみていた。今まで麻帆は自分ってなんて可愛いんだろうとずっと思ってきたが、よくよくみると伊東先生は村上先生にほれているようにみえた。村上先生って、笑顔がなくて怒ってばかりで、バスケの指導も理屈っぽいけど。でもさ、なんか魅力的なんだよね。大人の女性って、感じ。メイクにヘアスタイルも地味だけどなんだろう、この魅力。わからないな。なぜキレイにみえるのか。麻帆は密かに村上先生を観察しようと心に決めた。そして弟子入りする。キレイと魅力の秘密を探ろうと思ったのだ。額にしたたる汗をタオルで拭き取り、麻帆は日記になんて書こうかと思案した。
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