21.校長。補導。
週明けは、朝礼があり、校長のありがたいお言葉で新週間が始まるのが常だった。しかしその日は少し様子が違っていた。
「三年の女子、名前は伏せますが、が警察に補導されました。中学はこの事実を踏まえて校内の風紀をとりしまります。今タバコを持っているもの、正直に出しなさい。三年の女子たちはしばらく自宅謹慎処分とします。他校とやり取りのあるもの、正直に名乗りなさい。無免許でバイクに乗っている者たちも同様です。
私は前の校長のように甘くありません。自己申告しないなら通報します。そして罪悪感のない皆さん、繰り返しになりますが青春は今だけです。若い楽しい時代を謳歌しなさい。のびのび過ごし正しい方向性で楽しみなさい。以上」
一方で良いニュースも舞い込んできた。信子の読書感想文が市のコンクールに入賞したのだ。
「なんだか私自信がついた」信子はかなり喜んでいた。
「実はね、村上先生のアドバイスをもとに着想を得たの。交換日記してて良かった」
そして麻帆。彼女はある意味裏切り者だった。
補導された三年とは一華、ナノ、有佐、唯だった。麻帆は休みを利用して大阪のドラッグストアで万引きする三年の情報を詳しく日記に書いていた。村上先生はそれを校長に報告。校長は警察に連絡して一華たちは張られていた警官に現行犯逮捕されたのだ。これがことの顛末だった。
凛はるみから悩みを打ち明けられていた。
「先輩とそりが合わないの。」るみは言った。
「ダブルスでね。私は協力してやりたいのに先輩は個人プレーに走る。」
るみは一緒に走り込みをするバスケ部が羨ましいといった。一緒にすることで切磋琢磨できる。うちの先輩は練習せず下らないおしゃべりばかりなの。と。凛にも思い当たる節があった。
「うちの三年もおしゃべりだけだったよ。るみもバスケ部にきなよ。」
「どうしよっかなー。キツそうだからなあ。」
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