収益化記念雑談枠&凸待ち その壱
エクソシストの家に一泊し、家に帰ってから約二日。
遂に待ちに待った日が来たのだ。
……そう、その待ちに待ったモノとは収益化。しかもタイミングが登録者が八万人いったのとほぼ同時。
収益化の審査はかなり厳しく、少し時間がかかったようだが、もう通ったので心配する必要は無し。
それに合わせての企画も色々進行しており、ついでにボイス販売も行う予定だ。
「収録は理沙監修だから怖いよなぁ」
浮世鴉様のボイスなら私が録音しますと名乗り上げてくれたのは嬉しいが、気合いが入りすぎで心配である。
蘇る前回の台本暗記の記憶、それに少し身震いしてしまったが……その分いい物が出来るので我慢しよう。
「……それにしても儂も遂にスパチャ解禁か、感傷深いのう」
いやぁ、嬉しい。
この事を報告したら教えてくれたが、鶫も七尾ももうすぐらしいので近々皆で集まってお祝いでもしたいな。
一応説明しておくと、スパチャとは分かりやすく言えば投げ銭。
投げれる最高額は一日で五万円であり、普段なら流れてしまうコメントを目立たせる機能だそう。単純にその配信者を応援したいからとか、名前とコメントを読んで貰い人が使っているイメージだ。
「――よし、では始めるかのう」
嬉しさが抑えきれないので早速枠を開き、俺は配信を開始した。
タイトルを付けていつも通りの時間に配信を開いたおかげか、ちらほらとよく見る名前がちらほらと。
「――タイトル通りじゃが、収益化通ったので記念&凸待ち配信じゃー!」
[遂にか!]
[5000円:よっしゃー投げるぞー!]
[審査長かったね]
[10000円:さっそく投げてる人いるの草]
[3000円:オマエモナー]
始めた瞬間流れていくスパチャの嵐。
人生二度目のリアル桃鉄に少し頭の中に猫が現れたが、これから先も経験するかもしれないので出来るだけは慣れよう。
まあ儂、あんまりスパチャはONにしないと思うのじゃが、会社の収益を考えると解禁していた方がいいが……まあそこら辺は要相談。
「さっそくコメント欄がカラフルになっておるな。第弐の盟友の配信で経験はしたが、やはりこの光景は凄いのう」
第弐の盟友である阿久良椛先輩。
彼女とのコラボ配信で経験はしていたが、いざ自分がってなると驚くモノがある。
これ、慣れれるか? ……ちょっと心配になったが、本当になれなきゃ見てくれる人にも悪い。善意で送ってくれる人もいるだろうし、スパチャ読みとかしたいから。
[50000円 NN首塚から出れない生首:これが洗礼だ]
[50000円 NN最近の巨人漫画に似たの出てきた巨大な怨霊:受け取ってもろて]
[50000円 NN神出鬼没な幼女:お菓子食べてね!]
[50000円 NN石の中のアイドル狐:上限キエロ]
[こえぇ」
[赤スパが流れてくるよ――あ、字余り]
[富豪やん]
何やってるんじゃ彼奴ら、さっきのスパチャでも驚いてたのになんてもん渡してるんだよ。というか、もしかしてだけどこの配信見てる視聴者やばい?
長く表示されるから分かるが、今見ただけでも餓者髑髏に酒呑童子、そして玉藻前と座敷童がいる。既に戦争が起きそうなメンツにさらなる目眩に襲われるが、もうこいつらって事で割り切った。
「―――さん、ありがとうなのじゃー」
とりあえず今の段階で目に通せるかぎりの名前を読んでいるが、多分追いつかなくなるので一旦止めることにする。
「さぁ雑談もよいが、そろそろ凸待ちの開始じゃ――神虎先輩のように凸待ちゼロ人とかは止めて欲しいが、どうなるかのう」
通話アプリの凸待ち部屋は、二人しか入れないようになっている。
こういう企画用に立てられた部屋であり、よく使われているらしい。さぁ、最初は誰が来るのか……楽しみが過ぎるが、心の準備もまだなので最初は話しやすい人がいいのう。
前もって全体に凸待ちやるとは伝えてあるが、ネタとして誰もこない可能性もある――ちょっと怖いが……。
と、そう思った瞬間にピコンという音。
誰かが入ってきたみたいだ。
「しゃー! 僕が一番乗り! 敗者の皆様には悪いですが、僕が最初に喋ります!」
「あ、盟友ではないか……というかなんだその口上? いつもと違うが……」
それにやけにテンションが高いし、何より全力疾走したかのように息が乱れている。マジで、なんだ? 儂の知らない所で何が起こっておる?
「改めまして、ヒョーヒョーという鳴き声からこんにちわ、妖ぷろ三期生所属源鶫っです! 今回はママ兼盟友の凸待ちに参加させて貰いまーす!」
だけどやはりこいつも配信者。
すぐに息を整えていつもの名乗りを上げた彼は、とても満足げにそう言ってくれた。
[つぐみんだ-!]
[(゚∀゚)o彡゜つぐみん(゚∀゚)o彡゜つぐみん]
[常識枠だから安心だ]
[敗者って何だ?]
「よく来てくれたのう鶫。儂誰も来ないと思って心配だったのじゃ……」
「盟友の凸待ちに行かないわけないじゃないですか!」
「嬉しいが、さっきからコメント欄に見知った名前が多いぞ?」
[阿久良椛:はよう]
[七尾玲那:あとが詰まってるわ]
[依童神虎:抑えとくからゆっくり喋れよ]
改めてなんだこの状況?
なんじゃ? 儂の知らない所で別部屋でも作られてるのか?
かなり気になるが、それは後で聞けばいいしとりあえず今は鶫と話すとするか。
何話すかはデッキ組んできたので話は途切れないだろう……多分。
「でじゃ、鶫早速質問何じゃが……今年の良かった出来事とかあるか? まだ八月じだし、それまでの範囲で良いぞ」
「うーん……そうですね、一番は仲間が出来たことですね! 七尾さんに盟友本当に大切な仲間です!」
儂は妖怪の特性として相手の感情が直に分かる。
だからこそなのだが、彼は本当にそう思ってくれてるようで……かなり嬉しかった。
[てぇてぇ]
[マジで嬉しそうに語るじゃん]
[いいなぁ、そういう仲間]
[……つぐみん]
「ありがとうな鶫、儂も主の事は大好きじゃぞ」
本心だからこそ、俺もちゃんと言葉を返す。
本心で何より本気で彼を仲間だと思ってるからこそ、そう伝えた。
「短いですが、他の方が怖いので僕は失礼します! では盟友またゲームしましょうねー!」
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