【百鬼ノ宴】飯ウマ妖怪は誰だ!? 料理王決定戦!!! 其ノ二

[料理乙カレー]

[三期生の料理凄かった]

[きいてるかぎりみんなおいしそうだったよね]

[鴉様は料理ができすぎて嫁に来て欲しいと思った]

[七尾様が料理できて驚いたby子狐]

[やらかさなかったの奇跡でしょ]

[でもまあやばい料理はあったよね]

[七尾様のあれでしょ、あのワサビ盛り寿司]

[9000円:料理お疲れ様代]

[これからの料理審査楽しみだなー!]

[料理する企画だったから無言が多くなりそうで怖かったけどみんな喋りが上手かったから飽きなかったわ]


 料理を運び司会の三人がいる部屋に戻ってきてから画面のコメントを見てみれば、こっちにネタバレにならない範囲のものばっかりで、何故かそれが無性に嬉しかった。

 それにちょっと満足しながらも用意されたテーブルに料理を置いてから、私は神虎様の言葉を待つ事に。

 残りの七尾様と椛様も同じように料理を並べて司会の言葉を待ってるみたいだ。どんな料理を作ったのか気になりますが、それはもうすぐ知る事が出来るのでちょっと我慢しないといけません。

 でも、阿久良様の馬鹿でかすぎるクローシュの中身とか凄い気になります。 


「よしお前ら揃ったな、ひとまず料理お疲れだ。クオリティが高い? でいいか分からんが……みんな個性があり見応えがある料理風景で実況してて楽しかったぞ」

「ですね、特に盟友の料理中の鼻歌の時とかはコメント欄が沸きに沸きまくったりととても楽しかったです」


 え、儂……鼻歌とか歌っておったのか?

 いや、流石にそんなわけないじゃろ……そんな事になってれば、きっと儂の配信でのコメント欄で何か言われる筈だし……。


[めっちゃ動揺してるのか周り見てるの草]

[可愛い]

[あ、コメント欄見たのかさらに顔が赤くなった]

[何故かあの時黙ってようって天啓が来たから黙ってたけどまじでやってよかった]

[まさか俺以外に天啓を得た奴がいたとはな]

[お前らも? 私の所にも来たわ]

[怪奇現象じゃん]

[こっわ]


 えぇまじなのか……というかなんなのじゃその啓示、妖ぷろの視聴者多いはずなのにその全てに行ったのか? そうだったのならまじの怪奇現象ではないか。


「なんかやべぇことになってるきがするにゃんが、そこは気にしない方がいいってお酒が言ってるにゃん」

「おい馬鹿猫、酒は喋らないしなんで司会席の下に酒瓶が五本転がっているんだ? いつのんだ? おい目をそらさないでこっち見ろ」

「いやー、ウチ思ったことがあるにゃんね。この企画中に何本開けれるかなーって……でもあれにゃんよ? ウチのマネちゃんともみにゃんのマネさんは許可出してくれたから問題ないのにゃ」

「お前も共犯か阿久良?」

「妾は知らぬ……そもそも、仙魈の奴に禁酒を提案したのは妾だし、そんな事を許可する訳ないのだ」


 なんか此処のやり取りだけで普段の神虎先輩の苦労が見て取れる気がしますが、そこはツッコまない方がいいのでしょうね。

 それと、仙魈先輩のマネージャーさん自由すぎませんかね? いやこの場合稗田様も共犯だから彼女もかなり自由って認識した方が……。


「まあ先輩方料理も冷めますし、これ以上仙魈様にツッコんだら進みませんよ?」


 少し責められている仙魈様を庇うようにそう言う鶫様。


「それはその通りなんだけどな、司会中も思ってたが鶫は馬鹿猫に甘くないか?」

「甘くありませんよ? ただ推してるだけなのでそう見えるだけじゃないですか? まあ正直めっちゃ甘いと思いますけどね!」 

「……どっちなのよ鶫さん」

「流石私の一升瓶にゃん! ほら、もみにゃんも河童ももっとウチに甘くなれ」

「ふふっ、仲いいですね皆様」

「あっ浮世鴉様が笑ってるまじで尊い……なんだ主ら、妾の方を見て?」


 結局どっちか分からなくなるようにいつもの構文を使う鶫様と、ツッコむ七尾様そして調子に乗る仙魈様……とかいうカオスな図が広がり、それを見た私は自然と笑ってしまった。

 ……一瞬だけだったのですがなんか阿久良様が限界民化してるのが見えたけど気のせいですよね?


[やっぱり一升瓶の俺らは仙魈様に甘くなるよな!]

[それはマジで仕方ない、癖になるからね甘やかすの]

[安定のつぐみん構文]

[調子に乗る仙魈様可愛い]

[それに頬を引き攣らせる神虎様……]

[い つ も の]

[なんか阿久良様バグってない?]


「まあ言われたし進めるが、最初は誰から審査する? 俺としては量が少ないモノから食べたいから浮世鴉の奴の飯から食いたいんだが……」

「あ、僕もそうですね。盟友のご飯は冷めたら味が落ちてしまいますのではやめに食べた方がいいと思います」

「鴉の飯ニャン? あ、そうにゃ鴉ワイン余ってたらウチにくれにゃ」

「あ、いいですよ仙魈様企画が終わった後お渡しします」


 流石に配信中にこれ以上飲ませるのはノー。

 そんな事を思った私はちゃんとそう言ってから料理を運ぶことにして、三人の前に牛フィレ肉のポアレと即興で作ったオニオンスープを置いた。


「めっちゃ美味そうだがよく作れるな、確かフランス料理だろ?」

「この料理は結構簡単ですよ。よければ今度作り方お教えしましょうか?」

「そうなのか? なら今度コラボでもするか」

「それなら私で良ければその誘い受けさせて貰います」


 なんか流れでコラボが決まってしまいましたが、正直めっちゃ嬉しいですね。

 多分メイド状態でなければ叫んでいる自信しかありません……というかニヤけていませんよね? 最近演じてると気が抜ける事が多いから怖いのですが。


[鴉様がニヤけまくってるの可愛い]

[やっぱりこの鴉女だろ(確信)]

[河童×鴉?]

[ひらめ……いた?]

[薄い本厚くしないと(使命感)]

[やばい妖ぷろ配信に現れるお姉様方がアップ始めたぞ!]


「ンっ――とにかくお召し上がりください。鶫様何笑ってるんですか……ぶっ殺しますよ?」

「あの盟友笑ったのは悪かったんですが、怖いので急に口悪くならないでください」


 そんなに私が笑うのはおかしいのですか?

 そういう圧を込めながら睨んでみればすぐに屈する私の盟友。

 やっぱり三期生で一番強いのは私なんですねと確信しながらも、自信満々に笑ってみればコメント欄がまた加速するという光景を見ることが出来た。


「悔しいけど料理に関してはウチの負けにゃんね。まあゲームで勝つからいいにゃんけど」


 少し不貞腐れながらも料理を食べてくれる仙魈先輩は、なんでかそんな事を言いながら料理を完食して最後に美味いと言ってくれたのだ。

 やっぱりいつになっても褒められるのは嬉しいもので、また頬が緩んでしまい妖ぷろの謎技術のせいで私の表情が配信で筒抜けになっているのか、恥ずかしいコメントがどんどん襲ってくる。


「この鴉かなりチョロくない? 不覚にも可愛いとおもったにゃんけど……本当に男なの?」

「一応こんな姿ですが……男ですよ? 正直いうと今すぐ布団に入ってゴロゴロしたいぐらいには恥ずかしいです」

「じゃあなんでその格好で来たのかは聞くのはありにゃんか?」

「……聞かないでくれると助かります……いや本当に」


 霞と理沙先輩あたりは気付いているだろうが、俺には今酒呑童子の呪いがかかってるからな。

 そのせいでメイド服を脱げないし、何より口調を維持しなければ何が起こるか分からない……ので本当に仕方ないのだ。女に変化することさえ許されてればいくらでも本当に着られるのになぁ。


「なんか闇深そうだから聞かないでおいてやるニャン、感謝するにゃんよ後輩」

「助かります……そうだお二方はどうですか? 私の料理、変な味しないでしょうか?」

「問題ないどころか、一番手にはもったない味だ。あとの事を考えると気が重くなるぐらいには美味かったぞ」

「優勝候補ですね盟友、前遊んだときに手料理食べさせて貰いましたがあの時より美味しくてビックリしました」


 二人のその言葉を聞く限りこの反応なら高評価と思っていいはず。

 神虎先輩の口からちょっと気になる言葉が出てきましたが、多分ソレは七尾様のわさび寿司……ですよね? 阿久良様の料理はまだ見えてませんが凄い良い匂いですし、問題とかなさそうですから。


「次は私の番ね、あんまりインパクトはないと思うのだけど今回作ったのは肉じゃがと味噌汁よ……あと仙魈先輩用のワサビ寿司よ」

「カメラで見てたから知ってたけど、大トロが飾りになってるワサビ寿司とかもうワサビが本体にゃんよね」

「でもちゃんと大トロは使ってるわよ?」


 確かに寿司の上に大トロは乗っていますが……その下になんでワサビが層みたいになってるのですか?

 これまじで人の食い物じゃない気がするのですが……でも不思議ですね、その他の料理はすっごい普通の物ですし神虎様と鶫様が怖がるような物じゃないです。


[家庭的だなぁ]

[あれ、やばいのってこれ?]

[全然普通というか、むしろ食べたい]

[嫁に来てください]

[鴉様を嫁にください]

[和の七尾と洋の鴉]

[なやむなぁ]


「普通に美味しかったな」

「ですね、とても安心できる味でした」

「まって……ウチの心配してよ、死ぬワサビに殺される……本当に待って」


 完食して満足したのかそんな言葉を残す男組とワサビに殺されて悶絶する仙魈様。

 しかもあまりにもつらいのか、いつものキャラを保てなくなっている。

 しかも安心して食べれる肉じゃがの後にワサビ寿司を食らったんです。きっとそのダメージは計り知れないでしょう、なんかぴくぴくと痙攣もしてますし、これ大丈夫なのでしょうか? 


[嫁に本当に来て欲しい]

[カメラに写ったけど本当に美味しそうだった]

[まあその美味しそうな料理を食べた後にワサビ寿司にやられた妖怪いるんだけど]

[あの寿司は絶対に人の食べ物じゃない]

[酒猫死去]

[くそう酒に俺は倒されると思ってたのに!]


「な、なんとか復活にゃん。じゃあ最後は本命のもみにゃんの飯にゃね!」

「あぁ……そうだな。逝くしかないか」

「盟友……僕達の生存を願ってください」

「あの男性の皆様、どうしたんですか? 顔が死んでおりますよ?」


 阿久良様の料理を食べる直前、復活した仙魈様は待ってましたと言わんばかりにナイフとフォークを構えた。そしてその反応の裏で男組の表情が死に、どこか覚悟を決めたような雰囲気を漂わせたのだ。

 なんでしょう? もしかしてヤバいのって、阿久良様の?


「よし妾の番じゃな、今回作ったというより用意したのは……これなのだ!」


 やっと自分の番がきた阿久良様は自分が持ってきた巨大なクローシュが勢いよく開いた。一体何が入ってるのでしょうと、思いソレを見たのですがそこには――――。


「牛の……丸焼き」

「そうだ妾が用意したのは松阪牛の丸焼き! この日のために奮発して買ったのだぞ」


 そうやって笑顔で言うのはいいのだが、その量はあまりにも規格外。

 一頭だったら良かったのだが、巨大すぎるクローシュの中には三頭の牛……つまり本来なら大人数で食べる筈の牛の丸焼きを一人一頭食べる計算に……。


[にっこにこで草]

[善意100%]

[既に酒猫の分が半分なくなってるの草なんだ]

[絶対ブラックホールが胃袋に入ってるって(恐怖)]

[男組頑張って]

[牛三頭が並ぶ光景とかやばいな]


 コメント欄からも動揺が伝わってくるが、その気持ちは分かるので私は今何も言えない。


「美味しいニャン! でもこれじゃあ足りない気がするニャンね」

「妾も少ないと思ったのだが、まあこのぐらいならすぐだろうな。良い感想待ってるぞ?」

「食べるぞ鶫……終わったら打ち上げだ」

「ですね先輩、生き残りましょう」


 人間の限界を超える速度でもっきゅもっきゅと言う効果音を出しながら食べる仙魈様。

 その速度は昔見た酒呑童子の食う速度に近い物があり、ソレを見るだけでかつての妖怪達での宴を思い出し……私の胃に多大なるダメージが入っていくのが分かった。

 食費が……私が持ってきた食材が全部幼女の胃に……。

 そして、私がトラウマを思い出している中、食べる度に胃を抑える男組がいてこの場はあまりにもカオスなものに。


「提案なのですが、私も阿久良様のご飯を食べてもよろしいでしょうか?」

「む? 全然良いぞ! むしろ友である鴉には食べて欲しかったのだ。待っておれ、今切り分けてくるからな」

「私も貰って良いかしら阿久良先輩、こんな立派な牛だもの食べてみたいわ」

「そうか、なら七尾の分も持ってこようではないか」


 流石にこのままでは配信が終わらないと思った私がそう提案すると、近くにいた七尾も乗ってくれて流れ的にみんなで牛を食べることになった。

 阿久良様が鼻歌を歌いながら切り分ける中、男組に視線を送ってみればすっごく感謝するような感情を感じる事ができたので、それに気にするなと伝えるように笑う。

 すると何故か拝まれるとい事態に発展するという謎な状況になったが、その後は何問題なく配信が進み、みんなで牛を食べることに……。

 そしてそれから二十分後。


「完食……ですね――皆様お疲れ様でした」

「美味かったが俺はもうしばらく牛を見たくない」

「明日から僕はまじで走らないとやばいです」 

「美味しかったニャンね……そういえば男共はなんで死んでるニャン?」

「そうだな、美味しかったのになんで死んでおるのだ?」

「きっと……美味しすぎて昇天しかけてるのよ」

「そういうものなのか……まあ、満足してるならよしなのだ」


[死ぬ男子勢と全然元気な女子勢で草]

[やっぱり妖ぷろ女性陣の胃袋おかしいよ……]

[七尾様もあっち側だった件]

[牛三頭がなくなってる光景きっと人生でもう見ることないだろ]

[敬礼]

[表情三人ともまじで死んでて笑う]


「あとは結果発表なんだが……これって純粋な味で評価すればいいよな?」

「そっちの方が分かりやすいし、それでいいにゃんよ」

「僕も……異論はありませんね。まずは僕からの発表です」


 ちょっと配信時間がオーバーしてしまったが、待ちに待った結果発表がやってきた。

 誰が勝つのだろうか? そう思うとドキドキしてしまったが、インパクトだと私が負けているので正直勝てる気がしない。


「僕は盟友ですね。とても美味しかったですし何よりあんまり食べたことないフランス料理ってのがよかったです」

「じゃあ次は俺だな。俺は七尾の和食が勝っていたと思うぞ、優しい味だったしかなり拘って作ってたのを見てたからな」

「ウチはもみにゃんにゃ、豪快に牛を焼くのが最高だったし見応え食べ応え全部あったし美味しかったにゃん」


 鶫様が私に、神虎様が七尾様に、そして仙魈様は阿久良様……つまり結果は同票で優勝者はなし。


「これってみんな優勝ですか?」

「そうじゃない? 同票な訳だし」

「むぅ、勝つつもりであったのだが駄目であったか。まあこの結果もありだな」

「じゃあ優勝者は全員って訳で今回の配信はこれで終わり……か? かなり長い配信だったが、ここまで見てくれてありがとな。今日この場に出た全員のチャンネルは概要欄から飛べるから気になったら奴がいたら遊びに行ってくれ!」


 そして優勝者が決まった事で配信を終える事となり、神虎様が最後にそう告げて今日の配信を終わることになった。かなり長くてオチとしてはちょっと弱かったかもしれないけど、かなり盛り上がったこの企画。

 こうやって誰かと一緒に競うというのは久しぶりだったからかなり楽しかったし今日は参加して良かったな。


[おつー!]

[お疲れ様でした!]

[みんな料理美味しそうだった]

[鴉様の料理食べたいぞ]

[むしろ鴉様を食b]

[次のコラボ企画楽しみ!]

[牛ヤバかったね]

[鴉様がやっぱり可愛かった]



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