【雑談コラボ】鬼と鴉の糖杏菓配信【浮世鴉/阿久良椛】
─────20XX年8月4日─────
13:20 浮世鴉 椛先輩にコラボ誘われたんですが、受けても大丈夫ですかね?
13:40 日祀社 椛さんとのコラボですか? 私の一存では決められませんが、彼女のマネージャーが許可も出してるでしょうしいいですよ
13:40 浮世鴉 本当ですか社さん!
13:44 日祀社 はい、嘘をつく必要ないですし、そもそも三期生と二期生の交流を深めようという話は進めてましたからね。本当は料理企画をきっかけに一・二期生との交流を始めさせようという感じだったのですがそういう事なら都合がいいです
13:46 浮世鴉 了解です。先輩にこの後伝えておきます
13:48 日祀社 そういえば内容はASMRという事ですが、その前に一度雑談
コラボ的なのをやってもらえませんか? 一応急にコラボするより、雑談コラボなどで慣らしてからの方がいいでしょうし……どうですかね?
13:52 浮世鴉 ですね、自分もまだ動画だけでしか彼女を知りませんし、本コラボの前に一度通話で打ち合わせでも思ってましたし、そんな感じでやらせてもらいます
13:56 日祀社 了解しました。では本コラボの調整は彼女のマネージャーである甲山さんも交えて近々やりましょう。
期待に応えるためにも説得する気で始めた社さんとのDM。
渋る気配すら一切なく進んでいったこの会話は、驚くほどスムーズに進んでいってしまって、気づけば本コラボの前に雑談コラボをすることになってしまった。
というかあれじゃない? 決めるの早くない? 俺的には、一度会議でもとか思ってたのに、なんでだろう? いや、いいことなんだけどさ……なんか拍子抜けというか意気込んでたのが無駄になったというか――――。
「まあいいか、決まったんだし」
とりあえず今は先輩に連絡してさっきあったことを伝えよう。
先にやる雑談コラボの内容もそこで決めなければいけないし、今日はこれから忙しくなりそうだな――――まぁ、やるのはどうせ数日後だろうしゆっくり決めるとするか。
浮世鴉【妖ぷろ所属】@ukiyo_youpuro
先輩とコラボすることになったのじゃ! マカロンも募集するのでどんどん送ってくれると嬉しいぞ!
#浮世童子
#子鴉劇場
#鬼と人の宴
[この二人のコラボとか予想外]
[ちゃんとマカロン送ったぞ!]
[読まれるといいなぁ]
[浮世童子楽しみ!]
[俺この時の為にさっき電気屋で高いヘッドフォン買ってきた]
[雑談だぞこれ]
[二人の声を同時に聞けるとか、死ぬぞ私]
[九十又仙魈:もみにゃん頑張ってー!]
[源鶫:ママ頑張ってください!]
[保護者と息子もよく見てる]
[草]
[竹]
[森]
[怪異マロどのぐらいかな]
[怪異マロ待ってる!]
「今宵も妾の元に来てくれて助かるぞ?」
「マヨイビトの皆様方、こんこんばんはじゃー! 妖ぷろ三期生所属の浮世鴉、今日は告知通りに椛先輩とコラボしていくのじゃー!」
それから約一日後の月曜の夜。
凄まじい速度で雑談コラボをすることになった儂は、未だ状況を理解できぬままで始まったコラボ配信の枠にいて、もうすでに彼女とディスコを繋げていた。
一応は動揺を隠しながら喋っているが、いつボロが出るか分からないので何処までも頭を冷静に……いや、やばい緊張するわ。
俺って総大将から入った勢だけど、箱推しだし……憧れている一人との一対一のコラボとかやばいレベルで、緊張してしまうというか……何を喋っていいか分からなくなる。
昔だったら遠慮なく、話すぞーって感じだったけど……数百年間ぐらい憧れた人間と会話することなんてなかったから、正直心配すぎるのだ。
[コラボの時間じゃぁ! 酒を飲むぞ!]
[なんか少し鴉様緊張してる?]
[ないでしょいつも通り]
[画面にロリとショタがいる……でも実質ロリは二人なんだよね]
[ショタロリ爺婆って冷静に考えたらやばくない?]
[コラボのきっかけってなにー?]
[気になる気になる]
「コラボのきっかけか? それは妾がこの妖怪と話してみたいっていうのがあったのと……あれだな、あとは今度浮世鴉殿とASMRをやる事になったので、その前に一度交流をという感じなのだ」
[ASMR……だと?]
[大丈夫それ死人でない?]
[鴉様のチャンネルはまだスパチャ投げれないからどうか椛様の方でオナシャス!]
[それはやばい、この二人のASMRとか死ねる自信あるわ]
[ありがとう、ありがとう]
[俺……今まで生きててよかった]
[ありがと母さん、そして妖ぷろ]
[もう何も怖くない]
[期待しかできない]
流れるいつも通りの様子のコメントと、この先のコラボも期待してくれる好意的なコメント。
それは俺の緊張をかなりほぐしてくれて、そのおかげか幾分か余裕が出来てきた。それに椛先輩も、こっちが緊張しているのを分かってるのか、ゆっくりと喋ってくれているし――――いつまでも、日和ってる場合じゃないなこれは。
「そうじゃな、とても喜ばしい事に先輩の方から誘いがあったので、その前に一度雑談コラボでもと、儂が提案した感じじゃ……主な内容としては、昨日から募集しているマカロンを二人でも食べていき、あとはかるーく妖プロについて駄弁っていくつもりなのじゃ」
[そういえば椛様がコラボ誘うの珍しいね]
[というか初じゃない?]
[気になったんだろうなぁ]
[鴉様もよく受けた]
[男性コラボは、あれだね大型いがいなかったもんね]
[ポンコツ二人が合わさった時……世界が……]
[きっと萌え死ぬんだろうなぁ]
[すでに可愛い、鴉様超ウッキウキじゃん]
[羽がパタパタしてるのが見える見える]
[椛様も心なしか嬉しそうだ]
「ではでは、さっそくじゃが……届いたマカロンでも食べるとするかのう。なんとマヨイビトと鬼の餌? ……の方達のおかげで数百件の洋菓子が届いたのじゃ! 虫歯になりそうな量ではあるが、出来るだけ多く返すつもりなので、安心して欲しいのう」
「それになんと今夜返すマカロンは、質の良いものを妾の第一の配下と浮世鴉のマネさんで選ばせてもらったんだぞ! 楽しみにするのだ」
画面に映る妖怪二匹。
コラボ的には、ウチの枠でやってるから配信画面を切り替えるなどは儂がやらないといけない。なんか変な物が映らないかとかで怖いが、さっきまでの緊張していた儂はもういないので失敗などはしない。
だって儂、強いから。
「という訳で一通目じゃな!」
鴉様は二度目ですが、椛様は初めましてー
私は前回鴉様のおかげで成仏できた呪霊なのですが
ヘブンにいるときに、二人がコラボすると聞きまして帰ってきてしまったのです
このまま現世に留まってしまうと、怒られて地獄に落ちてしまうので
どうか私を昇天させるようなセリフをどうか言ってくれませんか?
あ、煽ってる感じがあれば最&高です!
「え……なにこのマロ、なんで混じってるの?」
もはや体に染み付いてしまった怖いとロリ化する何かの病。
それが一瞬で発動する程の恐怖体験。だってこんなの怖いじゃん、儂はお互いの第一印象はなんですか? というマロを表示したはずなのに……なんで選んでる時に来てなかったマロが来てるの? え、マジでこれ送った人妖怪じゃない? 儂に恐怖与えるとか相当だぞ……。
「これが噂に聞いていたロリ化か全然印象が変わるのだな……だがどうしたの……このマロ、なんだ?」
椛先輩が紛れ込ませたのかと思ったが、この反応を見るに違うらしい。
DMにも社さんからこのマロ選んでないですって急に来たし……ガチの呪じゃんこれ。
[|∀・)+ジロジロ(。-∀-) ニヒ]
[え、なにこの二人の反応]
[これは恐怖した時に現れるロリ鴉!?]
[早速ロリが見れて嬉しいけど、なんか怖い]
[ホラゲより怖がってない?]
[さりげなく送ったヒト? が来てるけど、なんだ? 何が起こってる?]
[より厄介になって帰ってきてるの草]
[そういえば前回も鴉様何故か混じってたっていってたけど……今回も?]
[正解( *• ̀ω•́ )b グッ☆]
[こわ]
[ガチもんの怪異]
「なあ椛先輩やらなきゃ、駄目じゃよな……これ」
「そうだなやらなければ、命の危機を感じるのだ」
だけど……罵った感じってなんだ?
儂はあまり思いつかんし、何より選択肢を間違えたら終わるような感じがする。どうする? 何が正解なんだ? 儂らはどんな事を言えば――――。
ピコンッ!
そんな風に悩んでいた時に、送られてきた一件のメッセージ。
それは、いつも放送に来てくれる母上からで……内容としては、一個の台詞。
続くメッセージには「椛ちゃんにも送ったよ頑張ってねb」とあり、送られてきた特級呪具に感謝をしながらも、結局性癖大戦になってることにめまいを覚えた。
「よしやるぞ、浮世鴉即興だが合わせてみるのだ!」
「儂を誰だと思っている? 妖怪の中で史上最強の演者じゃぞ? その程度造作もないわ」
タイミングは俺が勝手に合わせるので始めてくださいと、それを高速で打ち込んで送り一度深呼吸する事で、儂を切り替える。
「お前様? なんでサボってるのだ? ――――あぁ、そういえばそういう人間だったな貴様は」
「クハハ、姉様よ……そう言うでない、彼奴は彼奴なりに頑張っておるのじゃぞ? 可哀そうではないか……だがまぁ、そんな風に怠惰に過ごすとならば仕方ないかのう」
演じるのは、鬼の姉弟。
シチュエーション的には怠惰な人間を煽る的な感じなのだが、台詞は母上が送ってきた奴。たった数秒でここまでの業の深いものを送ってくる母上もかなりやばい気がするが、今は助かったので後は反応をみるしかない。
[(´Д`).∴カハッ……最高、でぇす……もう悔いはありません]
[予想以上に破壊力やばいんだけど]
[働いてきます]
[まじでこれは、ずるい]
[また来いよ]
[ありがとう]
[怖いからこなくてもいいよ]
よ、よし……反応は上々じゃな。
なんか色々やばい方々がいっぱい出てきたけど、なんとか儂らはこの難題を乗り切ったようじゃ。
正直この部分だけでも、打ち上げして酔いつぶれたいと思いたくなってくるが……まだまだマカロンはあるので気が抜けない。
「ふっ、もう妾達は友だな……浮世鴉」
「そうじゃな、儂らはもう親友じゃ」
[怪異によって生まれる友情]
[そこから芽生える恋心]
[イエーイ!]
[やったぁ!]
[きっかけが地獄]
[それな]
それから少し時間が飛んで十二件目のマカロンを儂らは返し終わった。
最初の奴以外は、選んだ通りだったので、特に返信に困ることがなく……配信自体も順調に進んでいた。
「では次は先輩が選んでくれた十三件目のマロなのじゃ!」
幼女二人組である浮世童子様方に質問です!
好きな男性のタイプを教えてください!
「なあ親友よ、儂ロリじゃないぞ?」
「あれだな、また紛れ込んだ感じなのだ!」
「あの先輩目が泳ぎまくってるのじゃ、これは故意じゃろ」
「知らないのぞ?」
[草]
[目が泳ぎまくってる]
[こんな椛様初めて見た]
[可愛い]
[鴉様の表情草]
[あと好みのタイプは聞きたいね]
[俺だね]
[帰れよ]
[雪椿:ウチの子の好みは私だよ]
[母 上 降 臨 !]
「妾は優しくて頼りになる男性が好みだな、出来ればリードしてくれると嬉しいぞ!」
[ごめん、俺だわ」
[は? 何言ってるんだ俺だぞ?]
[妄言吐きが多いな、我だって]
[え、何言ってるの? お前ら、俺だけど]
[女子っぽい]
[可愛い]
[で、鴉様の男性のタイプは?]
[おらあくしろよ!]
[あの……鴉様は男では?]
[え? 矛盾の塊の鴉様はイケメンでショタ爺で、クソ可愛いロリ婆ママメイドなんだよ? ――実質両性]
[草]
「あの、儂男じゃよー? おかしいのう、こないだも初見です! 可愛い女性ですねってコメントをみたばかりじゃし……何かがおかしいのじゃ」
「またまたー……親友はロリではないかー?」
「味方が敵なの笑えないのじゃ……」
一応儂には性別ないが、五百年以上は男でいるので……一応好みのタイプは女性の方に偏っている。
確かに一時期は女性となっていたし、生き様の格好いい男はいたが、やっぱり惚れるのはそれでも女性の方が多いな。
「とにかく好みの異性は! 生き様が格好良くて一緒に生きたいと、心から想える者じゃな……こいつとだったら生きていける。そして、一緒に過ごして悔いがないと思える者が好きじゃ……」
[なんかいいね]
[凄い妖怪っぽい]
[鴉様……俺とかどうです?]
[ンンン、ワタクシとかどうですかぁ?]
[どけ俺だ!]
[台無しや]
「なんか恥ずかしいしこの話題は終わりじゃ、次行くぞー!」
「妾とかありだぞ、浮世鴉?」
「え? まって急に告られたの儂?」
耳元で囁くような声で、そう告げられて急にばっくんばっくんと鳴る心臓。
とても頭に響くようなゾクゾクしてしまうそんな声に柄にもなく儂は照れてしまう。
「ふふふ、冗談だぞ?」
「リスナーの皆様ー! この鬼悪女じゃぞー!」
[なんかいつもと違う椛様だ]
[ちょう新鮮]
[鴉様草]
[揶揄い上手の鬼姫様]
[アニメ化はよ]
[むしろ言い出しっぺのあんたが作ってくれ]
「あぁもう恥ずかしいし次のマロじゃ! そしてちょっとしたサプライズじゃな!」
「ふふ、愛い奴だな浮世鴉は……さてやるのだな、あれを」
お二人は和楽器が得意という事なのですが
即興で何か一曲一緒に演奏するとかできませんか?
もはや定番となりつつある配信最後の演奏会。
こういうマロが来たらやろうという相談を先輩としていたが、予想通りに来てくれて儂としては本当に助かった。しかも曲も指定されていたので、練習時間が生まれよりクオリティの高いものを届けられるので、意気込むは倍以上。
「妾は笛が得意じゃからな、寝落ち配信でもよく使うし。何より親友は三味線が出来るからな」
「それにこれ先輩の持ち曲でもあるのでな、最高の音を主らに届けると約束しよう!」
そんな風に言葉を合わせて、それから妖ぷろのオリ曲を演奏する事になった。
それから残っている配信でマカロンを消費したり、総大将様がお互いに推しだったこともあって枠をオーバーする程に語り合ったりとかなり濃い配信になったが、時間という物を過ぎるので、いつのまにか終わりの挨拶まで来ていた。
「じゃあこの辺で終わりにするのだ。次は金曜夜のASMRで会おうではないか人の子よ!」
「儂的には初めて挑戦するASMRだが、絶対にいいものを聴かせるのでどうか楽しみにしてほしいのじゃ! そうじゃ、忘れていたが概要欄の方に先輩のチャンネルのリンクを貼っているのでまだ登録してないマヨイビト達はどうか忘れずにな!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます