VTuber生活始動

【初配信】儂、参上である!

【VTuber】三期生二人組について語るスレ:その2【妖プロ】


1:名無しの小妖

新スレ立てたわ、語るぞ

2:名無しの小妖

初配信で謎の歌を披露して唐突に酒猫語りする鵺VS全部自分の声であれを歌うPP信者式神……ファイ!

3:名無しの小妖

やばい字面だけで妖ぷろすぎる。

4:名無しの小妖

昨日寝落ちたんだけど、結局七尾様の勝ちでおk? 色々デカいし

5:名無しの小妖

個人的には鶫の方。やばいネタが切れた→推しについて語る! からの熱量に自分も推してたんじゃないかと思わされたから。

6:名無しの小妖

あれは凄かったよな、ガチ恋勢みたいな事言ってたら無理だったけど純粋にファンって感じがして好印象。 

7:名無しの小妖

陽キャだこいつ低評価、みたいにしようとしたらアレだからな、気付いたら二つのボタンに色がついてた(小並感)

8:名無しの小妖

おい七尾様派のお前らなんかないか? 今のままだとこっちが優勢だぞ。 

9:名無しの小妖

皆忘れてないか? 七尾様はあの配信の中でアレを歌った動画を流し、中学時代の人生を晒しあげ、挙げ句今日のカンペを見せながらPPの良さについて時間いっぱい語り続けたんだぞ?

10:名無しの小妖

それで届いたマカロン食えなかったんだっけ? 

11:名無しの小妖怪

そうそう、二人とも何かを歌う、語る。みたいで初配信の流れは同じだったけど、方向性が違うから自分はどっちも推す予定。

12:名無しの小妖怪

ちょい話変わるけど、七尾様最後金曜日を楽しみに待てとかいってたけど、なんかあんの?

13:名無しの小妖

そういえば鶫君も言ってね、サラッとだったから忘れてた

14:名無しの小妖

今HP見て見たけど何もないぞ? 

15:名無しの小妖

じゃあ、なんかコラボでもやるんでない? そのぐらいしか思いつかないし

16:名無しの小妖

妖ぷろだし案外サプライズで何か来るかもよ? 

17:名無しの小妖

流石にないない、だって今回のオーディション落ちたやつ結構多いらしいしな。それに何か来たとしても、面白くない奴とかだったらアンチとか落ちた奴らがなんか騒ぐだろ。 

18:名無しの小妖

そんな危ない橋渡る必要ないし、ないやろ 

19:名無しの小妖

ないかぁ、ちょっと楽しみにしてたんだけど 


     ・


     ・


     ・


     ・


 


212:名無しの小妖

で、瓢鮎様が言った訳よ、「人生ってのは信じて足掻き続ければ結果は出る。少し立ち止まっても、また歩けば可能性は広がるんだぜ」ってさ。俺はあの言葉に救われて、夢を叶えたんだ。

213:名無しの小妖

感動的だな、流石総大将は違うぜ! 

214:名無しの小妖

ここ三期生スレだからスレチじゃんって言おうとしたんだが、あまりに良い言葉なせいでツッコむの忘れちゃったじゃん

215:名無しの小妖

待て、その言葉ガチャ配信で六人の諭吉が召されたときの言葉だろ 

216:名無しの小妖

えぇ……。 

217:名無しの小妖

で、その後出ずに台パンして配信終了END。 

218:名無しの小妖

周年の確定チケで推しを手に入れた後、無料ですり抜けたときの光景はマジ笑ったわ 

219:名無しの小妖

流石総大将 

220:名無しの小妖

おいなんかHP更新されるぞ!? 三期生のページになんか黒い毛玉が!

221:名無しの小妖

嘘だろそれURL間違えてるんじゃないか? 

222:名無しの小妖

HP時定期確認民から言わせて貰うが、本当だぞマジで黒い塊が急に現れた 

223:名無しの小妖

そんな民がいるのか(困惑) 

224:名無しの小妖

二十人ぐらい居るらしい。妖ぷろは不定期にHPにネタ仕込むから、それを確認する為だけにずっと開いていて統率とりながら決めた時間にページを更新する猛者達だ。 

225:名無しの小妖

なんだそれ怖すぎる。

226:名無しの小妖

一種の怪異じゃん 

227:名無しの小妖

こわいな家に鍵かけてくるわ 

228:名無しの小妖

鍵かけ忘れ兄貴はちゃんとしめて 

229:名無しの小妖

姉貴だぞ、間違えるな 

230:名無しの小妖

脱線しすぎだ。とりあえず追加情報はよ 

231:名無しの小妖

塊触ったら変なチャンネルに飛んだぞ 

232:名無しの小妖

ほんとだ……『正体不明Ch』?

232:名無しの小妖

いつの間に出来てたんだこんなの……しかも今日配信あるっぽいし、

233:名無しの小妖

俺はみるがどうする? 

234:名無しの小妖

声も分からないしビジュアルも分からないからアーカイブで見るわ。 

235:名無しの小妖

気になるし見る 

236:名無しの小妖

同じく 

237:名無しの小妖

じゃあ、ここで実況でもするか 

238:名無しの小妖

そうするか、酒買ってくる 

239:名無しの小妖

じゃあそれまで考察でもしようず


               β

 

 配信前夜の木曜日、掲示板で仲間達の事が語られているスレがあったからずっと見ていたのだが、スレの住人達は深夜二時……つまり丑三つ時に更新されたHPを確認したようだ。

 自分のチャンネルページを見てみれば、好奇心故か既にちょくちょくとチャンネル登録者が増えていくので、掴みは上手くいったって事が確認できる。

 作っておいたSNSのアカウントもページが更新された数秒後に公式からフォローされ、準備は万端。

 配信自体は今から約十九時間後の二十一時から始まるようになっており、それまでは今まで準備してきた物が問題なく動くか確認する。 

 そして俺は作り込んだ台本を再度読み込んで、少しでも完璧な配信をする為に長い時間を潰すことにした――――。


 気がつけば俺の初配信まで十分をきっていた。

 待機してるとされる視聴者はまだ何もしていないのに一万人に近く、果てしないプレッシャーが襲いかかってくるが、そこは昔を思い出しながら心を落ち着かせ、口調を治す。


「俺……私……僕……我……ワタクシ……儂!」


 ちょっと特殊な変え方だがよくこうしてるので問題ない。

 そして残り五分になった事で今まで目を通してこなかったコメントに目をやってみれば、少し否定的なコメントが流れているものの、大体は俺を心待ちにしてくれている者達が沢山で、それらの為に頑張らないと、という風にやる気が湧いてくる。


[めっちゃ気になる]

[そもそも性別はどっちなんだ?]

[どっちでもいい、俺はどっちでも……だけどショタかロリのどっちかであってくれ]

[大胸筋が大きければそれでいい]

 

 なんかコメントから邪な物を感じるが、それは最早恒例行事なので気にしない。

 ただ今は全力で何より本気で過去に戻ればいいだけだからだ。


 妖魔蔓延る平安時代  

 玉藻前、酒呑童子、崇徳上皇これらの三大悪妖怪は有名だが、皆様は歴史の流れによって消されたある大妖をご存じだろうか?

 暗く閉ざされた神社の中から現れるのは、仮面を被った性別不詳正体不明。

 灯籠もなく、周りの全てが闇に閉ざされているというのにその誰かの周りだけが怪しく光っており、目を逸らそうにもそれから目をそらすことが出来ない。


[アニメ!?]

[なんだこの声!? 普通に金が取れるレベルだぞ!?]

[声優かと思ったけど、こんな声聞いた事ない」


 配信が始まったときに流れ始めるのは、和を意識して作られたようなアニメ風のプロローグ。

 自分が使える妖怪としての能力を全て使って作り上げたそれは、問題なく視聴者に様々なインパクトを与えているようだ。  


 異質なほどに静かな空間で歩き続ける男の姿は胡散臭く、姿が何度もブレてみえる。  

 少年少女、男性に女性、更には長い年月を生きた老人……姿は変わらないはずなのに一挙一動から様々な人間の姿を思い浮かばせるそれは、どうにも気持ち悪いのに、何故か目を離せない。


「それでは皆々様、今宵語るはとある妖の不思議な噂――闇夜を渡る浮世鴉の物語」 


 物語を伝える語り部のように、それの言葉はとても聞きやすく頭に入ってくる。 

 ゆっくりと静かに告げるような言葉は、静寂に満たされたこの空間の中でとてもよく通り、聞き逃すことを許さない。 


「曰く……その妖怪は人畜無害な青年である」 


 そう一言喋れば仮面が消えそこに写るのは、何の特徴を持たない青年が、 


「曰く……その妖は絶世の美女である」

 

 別の言葉を語り姿を騙れば、次にその場に写るのは見るモノ全てを魅了し跪かせるような美女が、 


「曰く……その物ノ怪は、とても歳をとった老人である」 


 またまた姿を騙れば、そこに写るのは仙人のような出で立ちの老人――――曰く曰くと語る度に姿を変えて何かを騙り続ける何者か。 


「様々な姿で伝えられたその妖怪の正体は終ぞ明かされることなく、謎に包まれたまま消えていきました。全てを演じるからこそ、誰にも素顔を明かさない――ですが、今宵集まった皆様にはその素顔をお見せしましょう」 


 加速していくコメント達。培った知識により作られたこのアニメは、これでもかという程に好奇心を刺激して、絶対にこの配信から逃がさない。

 何がくるんだ? どんな姿なんだ? 

 といった風な、溢れる興味が抑えられないような反応をするコメント達に、俺は画面前で笑みを浮かべる。

 そしてそのタイミングで画面に映る誰かの仮面が外れ、闇に溶けるようにその姿を消した。

 そのせいで一瞬で[え?]や[は?]などでコメント欄が埋まったとき、神社の灯籠が灯り始めて――――。 


「浮世鴉、ここに見参! 人間よ儂の姿を目に焼き付けよ!」 


 そして境内に置かれた全ての灯籠が灯り、月を背にして大妖怪が現れた。


 


 


 

 

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