放課後パズル部

くすのきさくら

第1話 放課後の先輩

ここはとある高校の特別棟。

普段はあまり使われてなくて放課後になると一部部屋は部活動に使われている建物。でも教室とかがある棟からみるとかなり静か。

たまに生徒は歩いているが。教室とかから聞こえてくる賑やかな声はこの特別棟ではあまりない。


ちなみに今は放課後の時間。

いつも通りこの特別棟の廊下は静か。階段を上っている時に数人の生徒とはすれ違ったけど。私のお目当ての部屋へと続く3階の廊下はびっくりするくらい静か。

でも窓から差し込むに太陽がいい感じ。もう少し時間が経つとさらにいい感じになる。


そんな廊下を私は1人で歩いている。これはいつもの事。

そして一番隅っこにある部屋に私は向かい……。

ドアにある窓から中の様子を確認。

いつも通りの場所。席にお目当ての人影があるのを確認してからドアを開ける。


ガラガラ……。


静かな場所なのでドアを開けると音が響く。しかし部屋の中に居た人影はまるで何も聞こえていないかのようにそのまま机に向かっている。

まあこれもいつもの光景。なので私はいつも通り……。


「先輩ー。また来ましたよー。今日は何のパズルしているんですかー」


話しかけた。


普通話しかけたらこちらを向いて返事をする人がほとんどかと思うが……少し前の事を言うと声をかけても私は無視されていた。

本当に無視されていた。まるで何も聞こえていない。私の姿は実は見えていないのでは?とこっちが心配になるレベルで無視されていた。


けど、今は違う。

私と先輩にそこそこ?の関係が出来たはずなのでね。ねえ?先輩?


「……うん?あー、また来たのか。お前もホントこんなところに毎回毎回物好きだよな。同じこと言うが来ても何もないぞ?」


そう言いながら1人の男子生徒。先輩がこちらを見る。いやーこうやって返事をしてくれるまでが……長かった。ホント長かった。ってそのことは今はいいか。


えっと私が話しかけてこちらを振り向いてくれた先輩とは……。

見た目は……まあ普通って言ったら先輩怒るかな?でもまあ普通でも褒めてる方だと思うんだけど……ちょっと長めの髪でくせ毛なのか。または面倒だから適当なのか。いつも通りのボサボサの髪。ホント一度美容院に押し込んでやりたい。ってのが本音ですね。見た感じ顔のパーツはいい感じなのに髪型で完全に損してますね。間違いない。


でもまあ先輩は私のいうことは聞かないでしょうね。いや……意外と聞いてくれるかも?


あー、でも今は無理かな。なんたって大好きなパズルが目の前にあるからね。あのパズル雑誌を取り上げないと動きませんからね。このボサボサ先輩は。


ちなみに自分で言うのもなんだけど私は結構かわいいはず。

なのに……うん。めっちゃ頑張ってるのに未だにこの先輩は全く私のことには触れないでパズルばっかやってる先輩です。まあやっと話すようになったから……まだなのかもしれませんが。でも少しも私に対してかわいいとか言ってくれない男子は初めてです。

もう何週間この教室に通ったかな?他の生徒はうざいほど絡んでくるのにこの先輩は全く絡んでこないんですよね。困ったもんです。

ってなんかいろいろ語っちゃってますが。先輩が返事をしてくれたので私も返事をしないとですね。


「来ますよー。ここ楽しいですから」


と私が言うと先輩はなんか意味わからん事言ってるよ。みたいな顔をして……またパズルの方に視線を……まあいつも通りですね。


とまあ私はここ――何週間くらいだったかな?うーん。2、3週間?1カ月はまだかな?まあとりあえず最近は放課後になるととある教室に来ています。


多分この部屋は昔は何かの部活が使っていたみたいだけど。今は……生徒数が減ったとかで部活動の数も昔からみると減ったみたいですからね。空き部屋となっているみたいです。

そしてこれは私が勝手に思っていることですが。多分この先輩が勝手にこの場所を使っていると思っています。

この先輩がどんな人か何となくはわかってきたのですが。多分というか。めんどくさいことにというか。自分が興味ないことには全く耳を傾けないからね。手続きとか絶対してない。

数週間この部屋に私が突撃してきてやっと数日前から部屋に入ったらちょっと反応してくれるようになりましたけど。はじめはホント私が見ているだけ。でしたからね。


先輩がこちらを見てもチラッと。チラッと見たらすぐに手元に……だったですからねー。こんな美少女を前になんたる態度ですよ。頭はたきますよ?ですよ。いや普段はウザいほどクラス。教室で私は絡まれるので……絡まれたくはないんですが……先輩は逆に絡んでこなさ過ぎて……なんですよ。


ってか。ちょっとは話してくれるようになりましたが。また自分の世界に今は先輩は入り込んでしまったので……どうしましょうか。


そうだ私がこのパズル馬鹿の先輩を見つけた時のことを説明しておきましょうか。出会いって大切ですからね。ってかそんなことを話してないと暇なんですよ。


チラッと先輩の現状を見てみると……。

パズルの問題とにらめっこ中。こっちの事なんてもう眼中にない。ホント先輩は挨拶したらすぐに……。


大好き大好き大好きな大好きな大好き大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな大好きな…………。


――言うの疲れました。でもまだ後×100くらい言わないとだめですね。とにかくホントパズルが大好きな先輩なんですよ。

……キモいくらいに。はい。とりあえず恋人のように大好きなパズルに今ももう視線は戻ってますしね。

あっ、私が先輩の事を馬鹿と言っているのは秘密ですよ。はい。普通に先輩に向かって馬鹿。とか言っちゃうことが最近あるんですけどね。今のは秘密ですよー。


そしてえっとあれは数週間前の放課後のことで……。

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