第40話 超集中後輩
「先輩!」
2日後の放課後。
相も変わらずだが…。俺は放課後になってすぐに特別棟の3階いつもの教室に来ている。なお、本日は廊下を歩いている時に後輩のやつが話しかけてくる。ということはなかったが…。まあ教室では声をかけられた。というか。声デカいな。である。
とまあ、また元気な声がパズルをやっていると聞こえてきた。ってことだ。
って、今はタイムだ。書いている最中だからな。
「…」
「もう問題やってる!?」
今はなかなか大きな問題の漢字ジグザグをしていてな。
大きいのはヒントが少ないからな。これも進むときはどんどん書くのがベストなんだよ。詰まるとホント全然進まなくなるからな。進んでいる時はどんどん書け。である。
とまあ。俺が大きな問題をしていると。いつも来るやつ…。後輩。か。うん。奴より後輩にしてやるか。
ってことで俺が後輩の事をちゃんと後輩と呼ぶかと思いつつチラッと前を見てみたら…。どうやら先ほど声をかけてきたが…。俺がパズルに集中していると思ったらしく。後輩も俺の前にある椅子に座って…。俺がこの前貸した小冊子のパズルを開始していた。
なんやかんやでこの後輩。真面目にパズルしてくれているらしい。
まあとりあえず渡したパズルは順調に進んでいるらしい。良かった良かった。と俺が思いつつ自分のパズルに戻って…。しばらくすると…。
「えっ?白紙?」
とかいう声が前から聞こえてきた。
っか今は話しかけるなよ。
今また俺はいいところなんだよ。やっと進んだんだよ。さっきまでどこが進むかわからなくてずっとストップしていたんだよ。それが進みだしたんだから話しかけるなよ…。である。
「先輩。これ解答側に番号が全く無くて。なんかバラバラと少しだけ漢字がただ書いてあるだけなんですけど。リストには番号ありますけど、どうやるんですか?これ」
話しかけるなオーラを出したつもりだが…。後輩には効果なしだったらしい。5秒持たなかった。
だがちょっと待ってくれ…。このキリがいいところまでな。
「…」
「…」
「…」
「…。もう」
…。やべー。怒った?ってマジで今いいとこなんだよ。もうちょっと書かせてくれ。
なんか繋がりがいい感じでどんどんリストがうまってるんだ。ってこの流れ大切なんだよ。わかってくれよ。漢字が重なるところとかもあるから覚えているうちにどんどん攻めないとなんだよ。漢字が重なるの気が付かないで違うところに書いちゃうと…。やり直しになるからな。マスが足らないとか。問題が起こってな。
とか思いつつ。漢字を書いていく俺。うんうん。いい感じいい感じ。今のところスムーズに埋まっていく。
するとそのあとは静かになった。なので俺も黙々と進めさせてもらうと、…
♪♪〜
チャイムがなった。下校時間だ帰れのチャイムだな。
俺がそんなことを思いつつペンを置いて背伸びをする。
…。って、悪いなんか途中で俺に聞いてきてたよな?この後輩。と思いつつ。俺が声をかけようとしたら…。
「…」
後輩が…。めっちゃ集中していた。もしかしたらチャイムも聞こえていないんじゃないだろうか。俺が今見ていることも気が付いていないのではないだろうかというくらい後輩が集中してパズルをしていた。
いやいやチャイム鳴ったのだが…。ってかホント俺が見ていても気がつかない。
まあそんな後輩を見つつ俺はとりあえず片付けを開始した。
そして片付けを終えると再度後輩を見たのだが…。
「…」
「…」
「…」
「…」
うん。こいつなんかゾーンに入った?なんか目覚めた?まだ必死にジグザグしているんだが…。まあ別に俺はいいんだが。とっとと帰れよとか言う立場じゃないしな。
って…。この後輩マジで集中してるし…。話しかけるのもだよな。まあ…。うん。頑張れよ。と俺は声をかけた…。つもりってか。まあ頑張っている後輩に向けて思い…。いや変に声かけて激怒されてもだからな。それにパズルを楽しんでいるのなら邪魔しゃちゃなのでね。心の中で思いつつ。教室を後にした。
ちなみにドアを開けても後輩は気が付いていなかった。うん。すごい集中力だわ。あの後輩。とか思いつつ俺はそっと教室を後にした。
…。
…。
…。
だから。ここから先の事は俺が知らないこと。
「出来たー!」
という声が俺がいつも使っているあの特別棟の教室内に響いたのは…。もちろん知らない。
「えっ?下校時間からもう1時間も過ぎてる!?」
とかいう後輩の声も知らない。
あれから1時間以上集中していた後輩がいたということも知らない。
ちなみになぜか家に帰ってから連続で俺はくしゃみをしたのだが…。あれは…。あの時はなんか噂されている?とか思ったが。すぐに忘れたことである。
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