第39話 勉強は…

いつものように俺が特別棟3階の教室に向かっていると…。


やつはやって来た。というか後ろから来た。だな。


こいつはホント休むことなく最近特別棟へとやってくる。

ちなみにだが、とくに俺が今日は行くから。とかの連絡はしていない。ってかそもそも俺はいつもやってくるやつの連絡先を知らないし。話すことも多くないからな。


まあそれはいいとして。今日のやつはいつもより早くやってきた。

そのため俺がまだ廊下を歩いている時に…。


「あっ、こんにちはー。先輩。今日は頭を抱えていませんね」


そんな声が後ろから聞こえてきた…。と俺が思った時にはその声の人物は横に来ていた。

今日はちょっと俺の移動が遅かったのだろうか。とか俺は思いつつ…。


「相変わらず元気だな。っか廊下を歩いている時に頭を抱えているやつはそうは居ないと思うが…」

「先輩なら抱えてそうですけどねー」


ちょうど教室に…。というところで俺は捕まった。

今日のこいつ早いというか。これは初パターンだな。廊下で声をかけられるとか言うことは今までになかったからな。


俺はいつも放課後になると即教室から特別棟へと移動してくるのだが…。こいつも今日はなかなかの速さでやってきたらしい。って何故に急いでここに来たかである。


まあ教室まではホント少しの距離だったが。

後ろから追っかけてきたやつと少しだけ話しながら俺は歩いて…。

いつもの空き教室に入った。


そしてそれぞれの場所に座った。


って、いつの間にかこいつ…。普段俺の使っている机の前に自分が最近使っている机と椅子持ってきて指定席みたいにしているんだよな…。

とか思いながら俺は座るとすぐにカバンからパズル雑誌を出した。


…。ってか。なんか今日はすでに前から視線を感じるが…。

まあ今までは準備をしている時にはこいつが居なかったかなら。

でも今日はこいつが早く来たから…。まあ仕方ない。


そんなことを思いつつ。俺は今週のパズル雑誌というか。

新しいパズルを出すと…。


「…。漢字ジグザグ?」


正面からそんな声が聞こえてきた。


「そうだが?」


まあ表紙を見て?だろうが。俺の前にいるやつがパズルの名前を読み上げた。

すると…。


「先輩漢字得意なんですね」


なんか勘違い?をしたらしく。そんなことを聞いてきたが…。いやいや別にこれは漢字知らなくてもできるぞ?と俺は思いつつ。


「いや、これは漢字知らなくてもできるから」

「はい?」


…。どうやらこいつはまだ俺が伝えたいことがわからないらしい。

誰でもできると言った方がよかったのか。とかちょっと俺が考えた時にふと。パズル雑誌に付いていた小冊子が目についた。


小冊子は…。まあおまけ?ではないが。取り外しができる問題。お試し版?でもないが…。まあちょっと小さめの問題詰め合わせ?みたいなやつだな。

俺はそれが目について…。そうか。どんな問題か多分こいつはわかっていないんだから…。説明するよりやらせればいいのか。と俺は思いついて…。


「…。小冊子あるからお前もするか?」


と正面に居るやつに提案してみた。


「え?」


するとなんか…。めっちゃ驚いた顔しているが…。なんで驚いてるんだろうな?ただ説明が難しいというか。誰でもできる問題だぞ?って言うのを教えるために、やってみるか?って言っただけなんだが…。


とか俺は思いつつ。パズル雑誌の間にあった小冊子を目の前にいるやつに渡してみた。


俺が小冊子を渡すと…。


「どうやってするんですか?これ」


とか聞いてきたが…。いやいや普通にするだけだぞ?とか俺は思いつつ。


「見ての通りだ」


と。小冊子を見つつ言ったのだが…。


「いやいや、やり方わからないんですけど…」


どうやら理解できなかったらしいので俺はパズル雑誌のはじめの方を開いて…。って、見たらなんとなくわかるかと思ったが。わからないのか。とか思いつつ。


「…。これがやり方だ」


パズル雑誌の始めの方に書かれているルールを見せた。

すると食い入るように正面に俺の正面にいたやつは見てきて…。っかえらく必死だな。とか俺は思いつつ見ていた。


「えっと…。あー、なるほどなるほど、同じ字なら同じところ。基本はリストの文字を書いていくだけ。確かにこれなら漢字知らなくてもいいですね」


どうやら理解したらしい。ってそうか。はじめからこのルール。やり方のところを見せたらすぐに理解してくれたのか。と俺は思いつつ。


「まあそういうことだ。だから漢字が苦手なやつでも問題ない」

「先輩…。実際漢字は?」

「苦手だな」


悪かったな苦手で。とか思いつつ答える。


ってか勉強に関しては前にも言った気がするが…。

パズルと勉強は違うんだって。違うんだよ。あれは楽しくない。これは楽しいんだよ。うん。やっぱり前にも言った気がするな。って思っていただけだったわ。声に出していなかった。と俺が過去の事を思い出していると…。


「先輩マジで勉強もしてくださいよ」


とか言われたので 「大丈夫だ」と一応答えたのだが…。


「いやいや、なんかパズルやらせたらすごそうですが。いろいろほかは心配になってきましたよ。なんかたまに聞くパズル以外の先輩…。ボロボロな気がしてきましたから」


こいつ…。失礼なこと言ってくるな。だったがあまり言い返せないので…。いや事実だし。なので俺は逃げるかのように。この話はここで終わりとパズルをはじめた。

うん。よくやる方法。逃走である。逃走のため俺は問題を始めて…。集中モードへ。


パズルパズルパズルパズルパズルパズルパズル、、、。である。パズルに集中すれば周りも忘れれるってやつよ。


とか思いつつパズルをすると…。どうやら諦めてくれたらしく。というか。俺が先ほど渡したし小冊子をやる気になったのか。自分で準備した椅子に座り問題を開いていた。いや、ちらっと前を見てみたらな。やってたよ。


まあとりあえずこれで静かだな。

あと個人的にはこのパズル雑誌。問題数が多いからいい助けだな。とか思いながら自分のパズルを俺は進めた。


しばらくすると…。


「ふー」


多分1問くらいはできたのだろう。そんな雰囲気が前から伝わって来た。というかなんか聞こえたし。うん。なので俺もチラリと前を見てみると…


「…」


いやさ。ちょうど俺も1問終わったところだったのでね。こいつ出来ているのか?とか思いつつ見てみたら。あちらもこちらを見てきたのでね。目が合ったよ。


いや、なんか恥ずかしいってか…。気まずいな。とか思っていると…。


「なんですか?先輩」

「いや…。まじめにしてるなって」


うん。多分していたと思うのでそんなことを言っておいた。まあ一問はほんとできたみたいだからな。ちらっとこいつの手元を見てみると…。うん。書けてはいるみたいだったからな。


とか俺が思っていると…。


「ってか、先輩いつからこっち見てました?」

「…」


うん。なんか嫌な予感がしたため。俺はパズルを再開した。

ちなみにホントチラッと見ただけだからな?


「あー、逃げたー。もしかしてずっと見てました?」

「…」

「はい無視ー」


こいつ。うるさいってか楽しそうだな。おい。先輩相手に…。

いや今まであまり触れなかったが。多分俺が先輩。ってかこの学校はスリッパやらやら見たら学年はわかるしな。確実にこの俺の前に居るやつは後輩にあたる。スリッパをどこかで交換してなかったらな。


って、マジでこいつ先輩相手に強いな、おい。である。

まあ俺もこの…。後輩?に勝てる気はしないので…。スルーを選択するが。うん。パズルを進めるを選ぶがな。


しばらく俺が無視しつつパズルをしていると…。向こうも諦めたらしく。

また小冊子の方へと視線を移動させていた。いや、再度チラッと見たらな。ちゃんと机の方を見て後輩はやっていたのでね。


それから俺は地道に問題をして…。数問終わったところでチャイムが鳴った。


♪♪〜


「えっ?もう下校時間?あっという間だった」


すると。チャイムとともにそんな声が前から聞こえてきた。途中でちょっと話してからは静かだったので…。まあこの後輩も楽しんでくれたのだろう。

っか多分こいつは問題の途中みたいだから…。


「…。それ持ってるか?」


と言ってみた。

いや、多分小冊子にはまだまだ俺はたどり着かないからな。やってくれると助かる。というのが本音である。だがまあ…。嫌がるというか…。うん。こちらに小冊子を返してくるか。とか俺が予想していると…。


「えっ?あ、いいんですか?」


うん。この後輩意外と問題やりたいらしい。返してくるということはなかった。なので俺も…。


「ああ。問題ない」


と俺が返事をしたら。後輩は笑顔で…。


「なら楽しかったので借りまーす」


そう言いながら後輩は小冊子を自分のカバンの中に入れていた。


まあとりあえず楽しかったのだろう。

るんるんの雰囲気だったので変に話して今の雰囲気を壊してもなので…。


俺もそれから片付けをして…。うん。なんかこいつ楽しそうにしていたから。変に再度声をかけずそのままにしておいた。


そして俺が廊下に出て少しすると…。


「…。いないし!居ないじゃん!?先輩!どういうこと!?いつ消えた!?」


とかなんか声が聞こえてきたんだが…。

いや、うん。さっきまで楽しそうにしてたじゃん。なんで俺が帰ったら…。なんだよ。ってか。追いつかれると厄介なので…。


とっとと逃走した俺だった。

声しか聞こえないけどなんか叫んでるやつと関わると…。だからな。逃走逃走だ。

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