第11話 数独
放課後。
特別棟3階。隅っこの部屋に私入場!
そしてスタスタと当たり前のようにもう座っている先輩の前に行って……。
「先輩」
「……」
「いきなり無視されたー」
翌週。今日は雨。ちょっと薄暗い教室で先輩はいつも通り頭を抱えつつ。パズル雑誌とにらめっこ。そしてやっぱりパズル優先で私の声には無視。完全無視!ホントこの先輩は…。
……。
……。
……って頭抱えてる?
頭を抱えている先輩は初めて見ましたね。これはもしかして……体調不良とかですかね?と私は思いつつ……。
「先輩どうしたんですか?頭でも痛いんですか?大丈夫ですか?」
優等生の後輩ちゃん緊急事態時はちゃんと心配します。必要なことはなんでもしますからね。私はそんなことを言いながら先輩にさらに近づくと……。
「……」
やっぱり無視。今日は手も動いてない……これは本当にヤバいんですか?先輩ついにパズルやりすぎて……脳の血管でも破裂しちゃいましたか?
……って、先輩の近くに行ってわかりました。
これなんだっけ?
あっ。先に行っておきますと多分先輩は大丈夫です。あれです頭を抱えていますが。これはいつも通りでいいと思います。だって……。
えっと……ナンプレ?数独?だったかな。1から9の数字を入れるやつだよね。
新聞とかで見たことあるある。ってか先輩また新しいパズル始めましたよ。って、ホント1週間で1冊のペースなんですね。とか思いつつ。覗いてみると……。
現在先輩はまだ新しい感じ。買ってきたばかり?の真新しいパズル雑誌とにらめっこ中。
あれか。1番の問題からではなく。
何故か最後のページ。
劇鬼ムズ。とかなんか難易度がずば抜けている問題をしていた。
ってか先輩はパズル雑誌の問題1番から順番にしているのかと思いましたが。
たまには最後からとかするんですね。
とか思いつつ頭を抱えて悩んでいる先輩の前。最近の私の指定席に座る。
でもうーん。この姿は今までにないタイプの先輩ですね。一応先ほどは体調の心配をしましたが……多分それはないでしょう。ホントガチで悩んでいるだけですね。今までのパズルならどれもスラスラやっていましたが。これはちょっと違ったみたいですね。
でもよく見ているとなんやかんやで先輩の手はたまにちょっと動いて……って私は……。
「ひまー」
うん。全く相手をしてもらえないので暇です。前は先輩がスラスラ解いているとイラストとかが出てきてそれを見る楽しみがありましたが。今はホント悩んでいる先輩を見ているだけ。それはそれでいいんですが……さすがにずっとは……でも問題を見ても数字だけ。うん。だから「ひまー」と私が呟いたころ。
けど私が「ひまー」と言ったところで先輩が反応してくれるわけもなく。多分それから1時間以上経過してから。カラン。とペンが机に置かれた。
私はその音で先輩の方を見ると…。
「……できたー」
と。先輩がつぶやいた。そして背伸びをしている先輩がいた。
「やっとできましたか。お疲れ様です先輩。そしてひまーでした」
「あー、また居たんだな。ってか暇と言われても知らん」
「毎回居ますからね?暇なんです」
「っか……お前はなんでいるんだ?」
「え?まあ今日は暇でしたが。見ているのは楽しいですから」
「何が?」
「だから……観察?」
「……」
「あ、意味わかんないから無視しようって思いましたよね」
「……」
「無視だー」
「……」
先輩ささっと手を動かして……今度は1番目の問題へと……すると、書き出す前に……。
「……集中できるときに難問終わらすつもりだったんだがな。難しかった」
「え?」
急に先輩はそんなことを呟いた。
って、うん?それは……私が毎回来ているから。集中できないと?だから私が来る前に難問を終わらせようとしていた?うん?
とか考えていると……なんかさらさらとペンが進む音が聞こえてきた。
音の方を見ると……。
「早っ!」
先ほどとは全く違い。スラスラ。いやいやめっちゃ早いんですけど。そんなポンポン数字入るんですかね?いやいや。えー。おかしいでしょ。さっきまでのは何だったんですかー。
ホント今は先輩から悩むがなくなったんですけど。先輩、どっかで答え見てませんか?いやいや早すぎるでしょ。私が驚いている間にもう3問終わりましたけど!?意味わかんないんですけど。初心者問題はそんな簡単なレベルなんですか!?いやいや絶対おかしいでしょ。早すぎるでしょ!
とか私が1人でびっくりしていたが……それからもその日は先輩の手は止まることはなかった。はじめの悩んでいた姿が嘘のようにどんどん問題が解かれていった。
いやいやちょっとくらい考えないの?ってか。適当に書いてない?とか思ったんですが……。
うん。見た感じちゃんと1から9まで入ってる……この先輩やっぱり謎ですね。
♪♪~
「じゃ」
そしてチャイムがなればとっとと消えていく先輩だった……。
いや……私は何を見せられたんでしょうかね。ホント。
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