第14話 漢字ジグザグ
「…」
「先輩」
「…」
また先輩はパズルに集中中ー。まあいつもの事ですね。
が、今週は今までと教室内の雰囲気がちょっと違います。なぜかって?それは…。
私もパズルをやっているからです!
理由は放課後この教室に来た時に…。
…。
…。
…。
「あっ、こんにちはー。先輩。今日は頭を抱えていませんね」
「相変わらず元気だな。っか廊下を歩いている時に頭を抱えている奴はそうは居ないと思うが…」
「先輩奈良抱えてそうですけどねー」
ちょうど教室に入ろうとしている先輩を見つけて声をかけました。
初ですね。こういうパターンは。先輩ホント放課後すぐに来ているみたいで、なかなか廊下を歩いているところに遭遇しなかったんですよね。
でも今日はちょっと授業が早く終わったこともあり。私は頑張って早歩きで特別棟まで来てみたら…。ちょうど先輩発見です。レアですね。っかホント先輩チャイムが鳴ったら即ここに来てますね。もうほぼ教室の前でしたから。
っかまだ廊下に居るため。パズルをしていない先輩はちゃんと私が声をかけたら普通に返事もしてくれました。ってか普段からこういうやり取りが欲しいんですけどねー。難しい先輩です。
そしてホント少しの距離で下が先輩と話しながら歩いて…。いつもの空き教室に入って…。それぞれの場所に座る。
先輩は座るとすぐにカバンからパズル雑誌を出す。
ってかこういう準備している姿の先輩もレアですね。
私がそんなことを思いつつ見ていると…。あっまた新しいパズル雑誌を先輩持っていました。今週は何するんでしょうかね…。って表紙には…。
「…。漢字ジグザグ?」
「そうだが?」
まるで何を当たり前のことを聞いているんだ?という感じで先輩がこちらを見ました。いやいや普通知らないと思いますよ。と思いつつ。
「先輩漢字得意なんですね」
「いや、これは漢字知らなくてもできる」
「はい?」
「…。小冊子あるからお前もするか?」
「え?」
と、まさかの提案。いやいや明日は大雪ですね。先輩がこんなことを言うとか全く予想していませんでした。びっくりです。
先輩はそう言うとパズル雑誌の間にあった小冊子。ミニサイズの問題を私に渡してきました。
って渡されましたが。私やり方がわからないので…。
「どうやってするんですか?これ」
と聞いてみたら…。
「見ての通りだ」
「いやいや、やり方わからないんですけど…」
うん。なんでみんな知っているのが当たり前だろ?みたいな状況なんですかね。私がおかしいみたいになってますが。先輩がおかしいですからね?とか私が思っていると…。
「…。これがやり方だ」
先輩がパズル雑誌の始めの方にに書かれていたルールを見せてくれた。
「えっと…。あー、なるほどなるほど、同じ字なら同じところ。基本はリストの文字を書いていくだけ。確かにこれなら漢字知らなくてもいいですね」
「まあそういうことだ。だから漢字が苦手な奴でも問題ない」
「先輩…。実際漢字は?」
「苦手だな」
「先輩マジで勉強もしてくださいよ」
「大丈夫だ」
「いやいや、なんかパズルやらせたらすごそうですが。いろいろほかは心配になってきましたよ。なんかたまに聞くパズル以外の先輩…。ボロボロな気がしてきましたから」
と私が話していると。まるで逃げるかのように。この話はここで終わりとでも言いたかったのか。先輩さらーっと問題を始めたため…。また集中モード。いやいや逃げたよ。この先輩逃げましたー。確実に逃げました。これは…。勉強ヤバそうですね。
って、まあもう先輩は終わるまで返事してくれなさそうなので…。私も先輩から渡された小冊子をやってみますか。と思いつつ。椅子に座り問題を見てみた。
ぱっと見レベル的には簡単らしく。大きな問題ではなかった。
試しにやってみると角とかから順番に言葉はスラスラ入っていく。
猪突猛進。心機一転。とかまあわかる言葉から公武合体?なんだこれ?とか思う言葉も多くあったが。たしかに漢字。言葉。意味を知らなくても。リストにある言葉をいれていくだけなので…。
ルールがわかれば私でも普通に出来た。
ちなみにはじめの問題は小さかったからもう終わった。あっという間だった。なんか途中ちょっと詰まりかけたが…。進むと一気に最後まで埋めることが出来た。
「ふー」
と1問で来たので一息。と思いつつ前を見ると…。
「…」
ちょうど先輩も1問終わったのか。こちらを見ていた。いや、なんか恥ずかしいですね。見られるって、ってか先輩がこっち見てるってレアなことじゃないですか?レアですよね?と、ちょっと興奮しつつも、深呼吸。よし。
「なんですか?先輩」
「いや…。まじめにしてるなって」
おー、先輩が普通に返事してくれたー。もしかしてパズルをしている人は仲間と見て普通に話してくれるんですかね?
「ってか、先輩いつからこっち見てました?」
「…」
「あー、逃げたー。もしかしてずっと見てました?」
「…」
「はい無視ー」
また逃げました。ってか先輩ほんとにいつから見ていたんだろう…。もしかして本当に…ずっと?これはついに美少女に気がついた?気がついちゃったかな?先輩も私に気が付いちゃったかな?と、先輩を今度は私が見ていたのだけど…。
なかなか先輩はこちらを見てくれなかった。ってことで私は再度小冊子の方へと視線を移動させた。。
それから地道に私は問題をして…、いや先輩が反応してくれないですからね。とりあえず渡された問題やってました。真面目でしょー。はい。で、2、3問終わったところでチャイムが鳴った。
ってチャイム?
「えっ?もう下校時間?あっという間だった」
「…。それ持ってるか?」
私が時間の速さにびっくりしていると片付けをしていた先輩が話しかけてきた
「えっ?あ、いいんですか?」
「ああ。問題ない」
「なら楽しかったので借りまーす」
と言いながら私は小冊子を自分のカバンの中に投入。ってか今日は先輩といい感じですね。よく話しますし。見つめられましたし。物も貸してもらいました。うんうん。進歩ですね。
ってかそろそろ一緒に帰ってくれますかね?
とか思いつつ顔をあげたら…。
特別棟3階空き教室は…静寂。
つまり私しかいない。
先輩逃走の後だった。
「…。いないし!居ないじゃん!?先輩!どういうこと!?いつ消えた!?」
と私が騒いで静寂を壊しても…。もちろん相手がいないので返事なし。って、先輩挨拶なく消えたよ。なんで?もしかして小冊子貸すってのが挨拶だったの?いやいや、そりゃないでしょってか音もなく消えたー。幽霊かい!
と今日も普通に先輩に逃げられた私でした。
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