第6話 迷路2

授業終わり。私は特別棟へと次の日も向かった。

が、やはり火曜日は先輩は特別棟の教室に来ないらしい。


先週先輩が来なかったため。多分今日は来ないだろうなー。と私は思いつつも放課後特別棟3階にやって来ていた。


そしてまあ予想通りというか。もちろん先輩はいないし。待っていても来なかったため。私は大人しく帰りましたとさ。


これが火曜日の出来事。


……。

……。

……。


そして翌日の放課後。特別棟への廊下は人が居なくて静かで……でも階段には何故かカップルが居て……というところを私は通過して特別棟の3階へ。そして最近通っている教室を覗くと……。


――先輩発見です。


また1人で黙々とやってますよ。ですね。


ガラガラ。


もうはじめましての期間は終わったはずなので私はスタスタ。堂々と教室の中へと入ります。


けれど、もちろん先輩の手は止まらず。こちらを見ることもなし。ですね。どんだけ集中してるんですか。この先輩。

隠し撮りとかしても反応なしですかね?スマホで撮っちゃいますよ?です。

または蹴飛ばしても、いや、くすぐりの方がおもしろいですかね?

とか思いつつ。机をのぞいてみると……。


はい。今日も迷路してますね。って、デカっ!めっちゃデカイ紙。そしてなんかすでに半分くらい終わっていますが……。


すごいですね。こんなに綺麗にイラストが。これ世界遺産シリーズとかですかね?立派な建物が見えています。


ってか。今までの流れ的にこの先輩。これが終わるまで反応してくれないんじゃ…。絶対反応してくれないな。と私は思いつつも……。


「今日はビックな迷路してますね。先輩」


一応話しかけてみました。結果は……。


「……」

「……」

「……」

「……」


5分経過。


「……」

「……」

「……」

「……」


10分経過。あっさらにイラストが出来てきましたね。


「……」

「……」

「……」

「……」


15分経過。にしてもこの大きさ。デカさでも先輩はスラスラ解いていき……ある程度進むとそれまで進んできた線を塗っていた。


「……」

「……」

「……」

「……」


30分経過。暇です。


「……」

「……」

「……」

「……」


1時間経過。眠くなってきました。がイラストはどんどんできています。そして私が見ていた限り。先輩は1度も間違った道を進んでいません。おかしいでしょ。なんでそんなスラスラと進むんですか。


「……」

「……」

「……」

「……」


1時間30分経過—―。


「……」

「……」

「……」

「……」


――2時間経過……むにゃむにゃ……。


「……」

「……」

「……」

「……」


――――2時間と20分くらい……。


♪♪~


の時にチャイムが鳴った。


「はっ!?」


あまりに返事がなかった私は先輩のいた教室内で勝手に椅子を引っ張ってきて机も引っ張ってきて。


先輩の前で宿題したり。覗いたりしつつ。返事を待っていたら……眠くなってウトウトしていたら。チャイムが鳴りました。鳴っちゃいましたよ。ってか私もめっちゃ頑張っていたじゃん。超集中。誰か褒めて褒めて。えっ?途中から寝ていただろって?いやだなー。寝てませんよ。こんなまだちゃんとわかっていない先輩の前で。ちょっと宿題で詰まっていただけですよ。って、まあ私普段から宿題は真面目にしてますからね?賢いのです!でもちょっと詰まったから目を瞑って考えていたらそこでチャイムが鳴ったのです。


ってチャイムが鳴ったということは……下校時間ですよ!マジですか!ですね。


静寂の中での勉強やばいですね。睡魔が来ますよ。あっ、寝てませんからね。何度も言いますが寝てませんからね?


ホント。めっちゃあっという間でしたよ。私すごい集中力。


ってか先輩いつ返事するんですかね?とか思いつつ前を見たら……。


「……あれ?先輩?先輩ーどこですか?」


私の前の席は空っぽ。つまり先輩もう帰ったと。

マジですか。また無視ですか。

なんですかあの先輩。馬鹿ですよね?大馬鹿ですよね。美少女ちゃんの相手しないで何回無視して帰るんですかね!?びっくりですよ!


「……先輩の馬鹿野郎ー!」


と叫んでから私も帰りました。


はい。近くに誰かいたら……でしたが。まあ誰も近くの教室にはいませんでしたからね。セーフ。セーフです。ってか。毎回無視して帰る先輩が悪いですね。


悪すぎます。大馬鹿野郎ですね。


明日は……って、多分木曜はいないから。金曜日か。今度は攻めます。返事するまで話しかけ続けてやりましょう。決めました。先輩は怖くない。怖くない。大馬鹿野郎なだけです。はい。

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