第9話 てんつなぎ2
水曜日。
今日も放課後になり私が特別棟に行くと……。
「うん?あれ?」
先輩は教室には居ませんでした。おかしいな?今日は水曜日。火曜日に居ないことは知っていたのですが。水曜日に居ないのは初めてでした。
まだ来てないのか。今日は何か用事があるのかな?とか思いつつも私は教室にの中にとりあえず入ると……。
いつも先輩が使っている椅子のところに荷物が置いてあって、そして机の上にはてんつなぎのやりかけ広げた状態で置いてあった。ということは……。
「この状況からして……先輩は居ますね」
と現状が何となくわかった私は普段先輩がいる席に座り……。
先輩がやっていたパズル雑誌をパラパラ確認……。
そして……。
へー、てんつなぎっていっても。全問がてんつなぎというわけではなく。いやもちろんてんつなぎはてんつなぎなんだけど。
てんつなぎで数字とかが出てきてそこからさらに出てきた数字を足したり。文字が出てきた場合はその文字で言葉を作ったり……とかいろいろな問題があるんですね。はじめて知りました。
っか1から500?やばいですね。途中で数字間違えそう。とか見ていたら。
「1000……だと」
マジですか。びっくりして声に出ましたよ。デカイ紙は数字でパンパン。これ……ホント途中でわけわかんなくなりそう。目を離したら……次見つけるのが大変というか。途中からとかで放置したら。どこまでやったかもわからなくなりそう。という問題がありまして……。
とか思いつついろいろ見ていたら――。
「何してるんだ?お前」
「あ、先輩。こんにちはー。今日はどこにいってたんですか?」
いつの間にか先輩が教室に帰ってきた。ってか音がしなかったからちょっとびっくりしましたが。まあ先輩はドアあたりから話しかけてくれたのでそこまであからさまにびっくりということはありませんでしたが。
ってか今は先輩がパズルをしてないので、ちゃんと私を見て話している。って、そうか。こうすれば先輩話してくるかー。とか思っていると。
「ちょっと教室にだ。筆記用具忘れたから」
とよく見てみると先輩の手には筆記用具。スリムなペン入れがあった。
「なるほどなるほど。ってか先輩。なんでパズルばかりここ。この教室でしているんですか?」
「ここ空いてたから」
「やっぱり勝手に使ってたー」
「大丈夫だろ?何も言われないし。有効活用だろ」
「そのうち怒られますね。放課後にかわいい女の子連れ込んでるって、広まると」
「まあ大丈夫だろ」
「かわいいに全く触れない先輩」
「まあかわいいが。っか。どいてくれ。時間がもったいない」
「え……?あ……はい……かわいい……かわいいですか」
と私は先輩に席を譲り……先輩の前に置いてある私の指定席に移動しました。
先輩は私が移動するとすぐに座って……遅れを取り戻すかのようにパズル開始です。
ってか。さらっとこの先輩。かわいいと言いましたよ。認めましたよ。私のことかわいいって。でも、恥ずかしがるそぶりなく。普通に、ホント普通に言ってパズル始めましたよ。マジ謎ですよ。適当に言ったんですかね?実はなんとも思ってない?それはそれでショックですね。
っかあれですか?実は私を……は、ないですねー。マジで今は普通に超集中モードでてんつなぎしてますからね。もう私に話した事すら忘れているような感じで問題やってますよ。
……にしても先輩どんどん数字繋いでくな。
近くに次の数字があるわけじゃなくて遠くに次の数字があったりで結構複雑な感じなのに……先輩はスラスラと問題を解いていく。
そんなことを思いつつ先輩を見つつ。私は自分が最近準備した机にちょっと座り……先輩の手を見ていると。うん。早い。ホントスラスラと次の数字へとペンが進んでいく。
あれかな?慣れなのかな?先輩にはすでにできるイラストが見えている的な。だから次の数字をもう予想しているというか。
10、11、12—―とペンでつないでいる時にすでに先輩の目は先の13、14、15—―とかの場所を見ているとか。ちょっともう一般人とはやり方が違うんですかね?
それから問題が終わるたびに少しだけ先輩と会話。が……今日はなかった。
どうやら必死というか。遅れを取り戻そう。って感じにどんどん先輩は問題を解いていく。ってか、この先輩マジでなんで放課後1人でこんなことしているんですかね?ってか。ホント1問終わったらその流れで次の問題という感じでホントいつも以上のスピードで問題を解いていた。
♪♪~
とか私思っているといつものチャイムが鳴って……。
「ふー。もうか。じゃ」
「あー、はい。お疲れ様でした」
それだけ先輩と話すと。先輩はスタスタと帰って行った。
って先輩ガチで超集中モードでしたね。休憩なしですよ。ずっと手を動かしてましたよ。マジですか。そこまで必死とは……ですね
ってか。私毎回教室に置いていかれますが……。
まあ仕方ないですね。あの先輩ですから。一緒に帰るとか言う選択肢が無いんですよねー。
まさか私がかわいすぎるから一緒に歩いているところを見られたくない。ということは……ないですよね。ないですね。あの先輩の雰囲気からして。
でも、うんうん。少しずつわかってきましたね。あの先輩の事が。まあまだちょっとですがね。
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