概要
この空では、どんなことだって起きる。私たちは、何にだってなれる。
〈空魚〉と呼ばれる生物とともに、人々が空に浮かぶ島で暮らす世界。辺境の街で生まれたネアは、亡き母に教わった歌と物語を愛する少女だった。ある朝、その歌声に引き寄せられるように姿を現したのは、竪琴の音に似た声を持つ仔鯨で――。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!彼女たちは諦めなかった。希望も友も自分の力も信じた。
読み終わった後、あんまり胸がいっぱいで、何と感想を書いたらいいのか分からないくらいでした。
空に浮かぶ島で空魚と呼ばれる生き物とともに暮らす少女たちのお話です。
『黄金の雨』と名付けられた空の国、青い空を巧みに飛ぶ空魚たち、夢の詰まった世界観が広がっています。
人名も空魚の名前も国の名前も語感が綺麗で、まるで穏やかなピアノの音楽でも聴くように美しい世界観を堪能できます。
今作は主人公ネアの成長物語でもありましたが、第二部ではとある陰謀に巻き込まれ、命の危機に曝されます。
もう自分は助からないんだ、駄目なんだという状況まで追い詰められたとき、人は希望を信じることもできないし、自分は無…続きを読む - ★★★ Excellent!!!確かに差異の存在する世界での、敬意に満ちた物語
世界には差異が存在します。
それは読者である私たちの住む現実でもそうですし、本作『竪琴鯨の伝説』でもそうです。
主たる語り手であるネアは、空魚使いという存在が憧れられる世界で彼女は適性に欠けていて、かつ彼女自身も空魚使いになりたいわけではありません。
親友のペトラは空魚使いを目指し、才能あふれる存在でネアとは対照的です。
ペトラはネアと共に在りたい、共に同じ世界を見ていたいと思っていますが、それでも二人の間には明確な差異があります。
彼女たちを師事するイルマもそうです。彼女は優れた空魚使いではありますが、彼女には彼女の夢があります。
この物語では皆のそれぞれの夢や想い、得手不得手が明確に描…続きを読む