彼女たちは諦めなかった。希望も友も自分の力も信じた。

読み終わった後、あんまり胸がいっぱいで、何と感想を書いたらいいのか分からないくらいでした。

空に浮かぶ島で空魚と呼ばれる生き物とともに暮らす少女たちのお話です。

『黄金の雨』と名付けられた空の国、青い空を巧みに飛ぶ空魚たち、夢の詰まった世界観が広がっています。

人名も空魚の名前も国の名前も語感が綺麗で、まるで穏やかなピアノの音楽でも聴くように美しい世界観を堪能できます。

今作は主人公ネアの成長物語でもありましたが、第二部ではとある陰謀に巻き込まれ、命の危機に曝されます。

もう自分は助からないんだ、駄目なんだという状況まで追い詰められたとき、人は希望を信じることもできないし、自分は無力だと感じるものだと思うのです。
ですが、ネアはどんなに苦しい窮地に陥っても希望を捨てませんでした。
友人のペトラや師であるイルマを信じ、自分の力も信じ、『私たちは絶対にあきらめない、絶対に大丈夫』そんな気持ちで窮地に立ち向かっていきます。

繊細ゆえにちょっと後ろ向きで苦手なものが多い印象のネアですが、ペトラやイルマに支えられ、自分の力で伝説の空魚と出会い、飛空船での旅を経て、凛々しい勇気が開花したように思います。

人々とともに空に棲む空魚たちも、体の大きな子、スピードの早い子、穏やかな子、個性豊かで魅力的です。

夢のような空の国に住む勇気ある少女たちのお話、ぜひ読んでいただきたいです。