渡辺渚side 幼馴染み 後編

それから私は余計に和人を避けていた。

そして進級して2年になり、クラスが変わって新しい友達が出来て和人の幼馴染みだと知ると周りは和人の話ばかり聞いてきた。

和人はどうやら人気があるようだった。

それなのに男子からは嫉妬を買わず仲良くしているようだった。

それは和人が本当に良い人だという証明だった。

私は焦ったがある情報を手にいれる。

それは和人が告白をずっと断っていること。

そしてクラスが変わってまでも私に会いに来ることから和人が好きなのは私ではないかという話だった。

その話を聞いたときわたしは安心した。

そして私は間違ってなかったと確信した。

私たちには長く積み重ねた絆があると。

だからどれだけ和人に辛く当たっても和人ならわかってくれると思った。

最近余り人目のないところで話しかけて来るから私が恥ずかしがっているのを理解してくれたんだと思って。

だから少し余裕ができた。

でも人の目は必ずあるものでクラスが変わっているのに和人が会いに来ていると注目を集めていた。

そんな好奇な視線に堪えられずまた人目が無いところでも辛く当たってしまう。

その繰り返しだった。

そんな日常で私も告白をされることもあった。

もちろん全て断っていたが、そんな話は簡単に広まるわけでまた和人との仲をからかわれる。

いっそ付き合った方が楽だと思うこともあったが、心のどこかで和人が私を思って告白を断ることにどこか優越感を覚えていた。

でも和人が告白されることに嫉妬もあって和人に嫌みを言うようになった。

それはもしかしたら心の何処かで私に告白してくれることを期待していたからかもしれない。

何度も告白を断るくらいなら早く私に告白してよ…って。

そんなことを繰り返して数ヶ月後、放課後に友達といつものように談笑していると、

「すまん、渚、少しいいか?」

和人がまた話かけてきた。

しかし周りには友達がいてみんなニヤニヤしていた。

私は恥ずかしくなって和人睨み、ため息を吐いて皆に帰ろうと促す。

しかし和人はいつもと違って私の手を掴んで食い下がってきた。

周りの友達は黄色い声を上げていた。私は余計に恥ずかしくなって和人の手を払いながら、

「屋上で良いでしょ?」

そう言って周りには待っているよう伝えて屋上へ向かった。

そして和人が屋上へやって来ると私は告白されるのかもって思うと恥ずかしくて…

「なぎ‥「あのさぁ、いい加減にしてくんない?」っ!」

私は恥ずかしさのあまり彼を責めていた。


「ウザいんだよね、幼馴染みだからって付きまとわれるの。」

いつもより強い拒絶だった。

それは教室で皆に見られた恥ずかしさもあるが、最近会いに来てくれていなかった勝手な苛立ちもあった。

「私たちはもう子どもじゃないんだからさ、わかるでしょ?友達との付き合いもあるからアンタに構ってられないの!邪魔なの!」

そう言いながら自分はまだ子どもだとわかっていた。

素直になれず勝手に八つ当たりして、でも和人が自分を想ってくれていると信じこんで。

でも自分は子どもだった昔より変わったのだと背伸びして。

言いすぎたと思ったときには和人は顔を俯けて「そうか」とつぶやいていた。

私は気まずくなって「それじゃ」って一言を残して出ていった。

私は後悔しつつも和人なら大丈夫と思っていた。





この時選択肢を間違えていたとは知らずに…

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